13.感情が死なない

「ごめん、なさい」


 玄関の向こうで聞こえる、お姉ちゃんの声。

 泣きじゃくる、あの人の声。

 私は相反する二つの気持ちを、扉にもたれ掛かり任せて、膝に額を押し付ける。


 私は、嫌な子だ。

 嫌な子が、あの人に好かれるわけない。

 好きでいて、いい訳ない。


 お姉ちゃんがお似合いだって、分かっているのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る