2.笑う君を見て。

 ふたつ並んだ手袋を見て、君はひとつでいいのに。と呟いた。

 不思議そうに首を傾げる僕に、君は恥ずかしそうに視線を逸らしながら、だって一つだけなら、履いてないもう一つの空いた手は手を繋げるじゃない。

 そう笑う君の笑顔は眩しかった。


 そんな話をした君は、もうここにはいない。

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