17ぽめ

 吾輩はポメである。名前はテンだ。


 吾輩はかくれんぼの天才である。これは今世になり身についた特技である。


 何故隠れるのか。お嬢さんとのこみゅにけーしょんの一種である。


 さて、我が家のいんてりあだが、お母上は模様替えが好きなようで定期的に模様替えをされる。

 冬が近づいた本日、我が家の長椅子には毛足の長い羊のむーとんなるものが設置された。


 うむ。良いのではないか。


 吾輩は、むーとんの上に乗り、顔を肘掛けの方に埋める。可憐なる吾輩の体とむーとんは一体化し、吾輩はむーとんに擬態することができていると思われる。


 しばらくして、お嬢さんがやってきた。


「あれ?テンちゃんは?」


 お嬢さんが吾輩を探しているようである。


 しめしめ。まだ見つかっておらぬようだな。見つけた時のお嬢さんの反応が楽しみだ。


 カシャ


 む?なんだ?


 吾輩は顔を上げる。


 カシャ


 すまほを構えたお嬢さんと目があった。


「テンちゃん、擬態してる!」


 お嬢さんは嬉しそうに吾輩を抱き上げた。


 お嬢さんが喜んでくれて何よりである。


 吾輩はお嬢さんの顔をペロリと舐めた。お嬢さんは吾輩をぎゅーっと抱きしめてくる。


 案外、可憐なこの身も悪くないのかもしれぬな。


 吾輩はお嬢さんに抱かれながらそう思った。


 吾輩はポメである。名前はテンだ。



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