10ぽめ
吾輩はポメである。名前はテンだ。
吾輩の仕事には庭で毛皮を干すというものがある。もちろん、お嬢さんにふかふかの毛皮を堪能してもらうためだ。お嬢さんに安心してふかふかもふもふしてもらうためにはノミダニなどいてはいけない。太陽光による小まめな消毒が必要だ。
ふむ。日光を効率よく浴びるためには少しでも高いところがよかろう。
吾輩は庭に置いてあるてぃーてーぶるの上に飛び乗った。これはお嬢さんがよくお茶を飲んでいる場所だ。よく吾輩も椅子に座らされお茶会なるものに参加させられる。お嬢さんは吾輩のことをぬいぐるみか何かと勘違いされてござらんか?と思わぬでもないが、貴重なてぃーたいむを吾輩と共に過ごしたいということならば吾輩には否やはござらん。
お母上が置いたであろう、如雨露を横にずらし、てぃーてーぶるの上に寝転ぶ。
嗚呼、今日も心地よい日光だ。
吾輩の毛皮がふんわりと膨らんでくるのを感じる。
このように狭いところに乗れるのは、このポメならではだな。
吾輩は珍しく矮小なるこの身を肯定した。
うむ。そろそろいいのではないか?部屋の中に入ろうではないか。
吾輩はてぃーてーぶるから降りようと立ち上がる。
つるっ
何!?肉球で踏ん張れぬ。これでは降りれぬではないか。
吾輩の肉球は硝子の上では踏ん張れなかった。てぃーてーぶるは大した高さではないが、非力なこの身では飛び降りたら怪我をしてしまう。かつての壮麗なるハスキーの姿であれば颯爽と舞い降りることができる高さであるのに。
嗚呼、何故吾輩はこんな卑小な身に生まれ変わってしまったのか。
嗚呼、あの白く長く美しい脚が懐かしい。
嗚呼…
吾輩は絶望によりきゅんきゅんと情けない声を上げて泣いた。
そんな吾輩に救世主がやってきた。お母上だ。
お母上は吾輩をヒョイっと抱き上げると、地面に置いてくれた。
有難う!お母上!
吾輩は無事、生還することができた。
このような辱めに二度と合わないようにしなければならぬな。
吾輩は決意を新たにしお父上の食べるおやつを狙うことにした。すこしでも大きくなるために。
吾輩はポメである。名前はテンだ。
ーあとがきー
お読みいただきありがとうごさいます。近況ノートに、挿絵(写真)があります。良ければ見てやってください。
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