3ぽめ

 吾輩はポメである。名前はテンだ。


 先日、母上さまと散歩に参ったときに不思議な犬にであった。見かけはポメラニアンなのに少し大きい気がするのだ。

 吾輩は聞いてみた。


「もし、貴殿はもともとその大きさか?」

「いいえ、もともとは主の手のひらに乗れたぐらいでごさいました。」


 なんだと?

 吾輩は衝撃を受けた。


「もし、貴殿はポメラニアンでよろしいか?」

「いいえ、わたしはスピッツでござります。」


 なんと驚いた。ポメラニアンは大きくなるとスピッツと呼ばれるようだ。

 吾輩の未来に光明がさした。屈強なハスキー犬に戻れなくてもせめて、スピッツになってみせようではないか。



 また別の日、吾輩は母上と散歩に参った。

 前方から吾輩を拡大したようにみえる犬がきた。


「もし、貴殿はもともとその大きさか?」

「いいえ、昔は主に抱かれておりました。」


 なぬ。もしや最終的にここまで大きくなれるの


「もし、貴殿はポメラニアン、いこそこそや

 なんだと…最終形態があるというのか。


 ポメに生まれて以来、吾輩はこの身の脆弱さに絶望していた。だがしかし、絶望するにはまだ早かったようだ。吾輩にはスピッツ、ひいてはサモエドになる未来が残されているのだから。


 待っておれ、我が主。今に大きくなり、かつてのように我が被毛で包んでくれようぞ。

 待っておれ、我が主。今に大きくなり、かつてのように主のぼでぃがーどを立派に努めてみせようぞ。


 吾輩はポメである。名前はテンだ。


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