2ぽめ
吾輩はポメである。名前はテンだ。
床で寝ていた吾輩は腹の下の冷たさにより目が覚めた。
なんだこの冷たさは。ご存知の通り吾輩にはふわっふわの被毛が生えている。そう。吾輩は寒さに強いはずなのだ。床こどきの冷たさを感じるはずはないのである。
うっすらと目を開ける。吾輩の腹の下には、お嬢さんの足が入り込んでいたのである。
なんと、この矮小なる吾輩からでも暖をとると言うのか。お嬢さんのなんと傍若無人なことか。
よかろう!吾輩の全力を持ってお嬢さんを冷え性から救って差し上げよう。
さあ、吾輩の熱を奪うが良い。
あ、何をなされるのだ。そんなこと前世ではしたことなどなかったではないか。
吾輩は、お嬢さんが着ているふりーすなるものの中に仕舞われてしまった。吾輩を寒さから守るなんてあってはならないことだ。
吾輩はポメである。かつては屈強なるハスキーであった。
このように脆弱な扱いは許されない。かつてのハスキーとしての誇りを持ち、お嬢さんを寒さから守らねばならないのである。
「あったかーい」
なぬ!?これも吾輩から熱を奪っておったのか。さすが我が主。なんというエゴイニスト。
さあ、お嬢さんの命令で伸ばし続けている我が毛皮から熱を奪取されるがよい。
…はっ、眠ってしまっていた。
お嬢さんは、相変わらず吾輩を持ち運び暖をとっている。
吾輩はポメである。名前はテンだ。
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