運ゲースキル【スロット】を手にしたパチンカスの俺が魔王を倒すまで～神様だってサイコロくらい振る！～

少女たちとの出会い

「えーと俺たちは森にカシズの実をとりに・・・・」

「魔物に襲われている子がいるペカ！助けてほしいペカ！」

　いきなり現れた少女に俺が焦って状況を説明しようとしているのをさえぎってスーがそう言った。

　確かに今は俺たちのことを話している時ではない。

　助けられそうな人がいるんだ。ここはその人の力を借りるべきだろう。

「そ、そうだ！。あんた助けてくれ！」

「ああ、この子のこと？あなた達が盛り上がっている間に私がなんとかしたわ」

　悲鳴を聞いていたのは俺たちだけではなかったらしい。

　よく見ると騎士のような少女の後ろに先ほど魔物に襲われていた少女が隠れていた。

　どうやら俺たちがスロットを回している間にこの少女が助けたみたいだ。

「あんたが助けてくれたのか。ありがとな。実は俺たちも悲鳴を聞いたんだけど魔物と戦えるような力はなくて困っていたんだ。」

「力はあったペカよ。カケルがポカしただけペカ」

「お前はちょっと黙ってろ」

　俺はそういってスーの帽子を引っ張った。

　それにしてもなんとか助けてもらえたのならよかった。

　どうしようもなかったとはいえ、少女が死んでいたら良い気分はしなかっただろう。

「当たり前のことをしただけよ。それよりもあなた達見ない顔だけど何者？」

「俺たちは冒険者ギルドのジンって人に頼まれてカシズの実を取りに来たんだ。確か町を出て少し歩けば森があるって言われたんだけど全然見当たらなくってさ」

「そうペカ。歩き疲れたペカよ」

　てめえは全然歩いてねえだろ。

「ジンさんに頼まれたってことならあなた達はガイアの町からきたわけね。多分あなた達間違えて北口から来たのよ。こっちのほうにはカシズの実はないわ。」

「北口？」

「ええ。カシズの実がなっている森は町の南口から出た先にあるの。」

　げ、マジか。そりゃあ歩けども歩けども見当たらないわけだ。

「とりあえず私は依頼も完了したしガイアの町に戻るけどあなた達はどうする？」

「一緒に帰るペカ！」

　まあ確かに俺たちも魔物に襲われないとは限らないし護衛付きで町まで戻れるのはありがたい。

「そうだな。申し訳ないが俺たちも魔物に襲われる事を考えるとあんたと一緒に町に戻りたい。頼めるか？」

「ええ大丈夫よ。あなたはどうする？」

　そういって騎士のような少女は先ほど襲われていた少女に話しかける。

「わ、私はガイアの町を目指して旅していました。私も同行させてください！」

「決まりね」

　結局俺たち４人は一緒にガイアの町に戻ることにした。

◆

　ガイアの町に戻る際中に色々話をした。

　この騎士の少女はマリーという名前でガイアの町のギルドで仕事をしているCランクの冒険者らしい。

　腰まで伸びた長い金髪が特徴的な美少女だ。

　そして襲われていた少女はレンという名前でガイアの町を目指して旅をしていたという。

　こちらも肩まで届くかどうかくらいの水色の髪に少し幼さが残る顔をした美少女だった。

　俺は２人には聞こえないよう小さな声でスーに尋ねる。

「おいスー。そういえばお前の服装や俺の服装はこいつらにはどう見えてるんだ？どう考えてもこの世界には合わなすぎるだろ」

「それは大丈夫ペカ。僕たちの見た目については違和感がないようになってるペカ。これもサポートのうちペカ」

　それはよかった。

　もしそのままならピエロの姿をした子供とスウェット着た男がこのいかにもファンタジーみたいな美少女２人と混ざるんだ。はたから見たらカオスなものだろう。

「そこまでのサポート体制ならスキルももっとマシなものがよかったぜ」

「僕は優秀ペカ。カケルが逆押し７狙いしないマヌケなだけペカ」

「こいつ・・・・」

　クッ、正論なだけに言い返せん。

「あなた達仲がいいのね。見たところスーは冒険者になれる年齢ではなさそうだけど、どういう関係なの？」

「あーそれ私も気になってました」

　そんな俺とスーのやり取りを見てマリーとレンが俺に問いかけてくる。

「ああ、こいつは俺のスキ・・」

「ちょ、ちょっと待つペカ。カケル」

　マリー達の質問に答えようとする俺をスーが止めた。

　スーは２人に聞こえないように俺に耳打ちする。

「カケル。僕がスキルである事とかカケルが異世界から来た事とかは話しちゃダメペカ。話したらカケルは元の世界に戻れなくなるペカ」

　初耳なんだけど。そういうのは来る前に言っとくべきなんじゃねえの。

「スー。どういうことだよ詳しく説明しろ」

「異世界の存在を認識することはルールで禁止されてるペカ。だからカケルもこの世界を救った後はこの世界の記憶を全て消されるペカ。話したら色々あってとにかくカケルはずっとこの世界で生きることになるペカ」

　えーなにそれーきいてなーい。

「ちょっとー何２人で話してるのー」

「い、いやなんでもない」

「で結局２人はどういう関係なの？」

「お、俺たちは・・・・・・兄弟。そう兄弟だ！スーは俺の弟なんだ！」

　おかしくはないはず。俺は２２歳でスーは見た感じ１０～１３歳くらいの見た目だ。

　これくらいの年の差なら兄弟って言い張れなくはない。

　まあスーの性別は知らんが。

「そうペカよー。カケルは僕のお兄ちゃんペカ！」

「へー兄弟なんだ。スーはかわいい見た目だから女の子かと思ってたよ」

　レンはそういってスーの頭をなでている。

「ほーんと。まさか男の子だったなんてねえ。ウフフフフ」

「何故だが寒気がするペカァ」

　マリーのスーを見る目がなんか怖いんだけど。

　とりあえず話を変えよう。そうしよう。

「そういえばレンはなんでガイアの町なんて目指してたんだ？」

「え！？　旅の理由ですか？」

　レンはいきなり質問されたからなのか少し驚いた後に言いにくそうにしていた。

　特に興味もないんだが話題を変えるためとはいえ少し悪いことをしたか。

「乙女の旅の理由を聞くなんてカケルはデリカシーがないペカ。そんなだからモテないペカ」

　こいつ俺に対して態度悪くない？

「別に無理して話さなくても大丈」

「実は私、魔王を倒す勇者様がガイアの町に現れるという予言を聞いて旅をしてきたのです」

　あーそれ絶対俺のことじゃん。