第10話 小説は、文字数を増やすのは簡単!

 文字数は、いくらでも増やせます。


 理由は単純。『書かれた事しか分からない』からです。


 漫画や映像作品なら、セリフ以外に絵や映像で分かる事が多いです。それはセリフや地の文として書かなければ伝わらない、小説との大きな違いなんですよ。


 例として、登校中の学生の一コマを参考にしてみましょう。


 ◇◇◇◇◆◇◇◇◇


「オッス、りゅう! 今朝は早いんだな!」


 後ろから背中をばしっと叩かれ、飛び上がる程驚いた。元凶は幼馴染であり、腐れ縁のゆうすけだ。


「おま……驚かせるなよ」


「朝の弱いお前でも、さっきくらい驚いたら目も覚めただろ?」


「そういう問題じゃないだろ……」


 しばらくブツブツ文句を言っていたら、かなが笑い出した。


 ◇◇◇◇◆◇◇◇◇


 かながしれっと登場しましたが、かなはいつからいたのか描写がありません。つまり、読者にはかながなぜいるのかの情報がないのです。


 次は、かなの情報を入れて書いてみましょう。


 ◇◇◇◇◆◆◇◇◇◇


「オッス、りゅう! 今朝は早いんだな!」


 後ろから背中をばしっと叩かれ、飛び上がる程驚いた。元凶は幼馴染であり、腐れ縁のゆうすけだ。俺を見付けたゆうすけが小走りにでもなったのか、遅れてかなが合流した。


「おま……驚かせるなよ……

 かな、おはよ」


「おはよー、りゅう


「朝の弱いお前でも、さっきくらい驚いたら目も覚めただろ?」


「そういう問題じゃないだろ……」


 しばらくブツブツ文句を言っていたら、かなが笑い出した。


 ◇◇◇◇◆◆◇◇◇◇


 これで、かながいつ加わったのか分かりました。


 それでも、まだ入れれる情報はあります。


 三人の容姿、性格、制服をどんな風に着こなしているのか? などなど。


 ◇◇◇◇◆◆◆◇◇◇◇


「オッス、りゅう! 今朝は早いんだな!」


 教室に入ったところで後ろから背中をばしっと叩かれ、飛び上がる程驚いた。元凶は幼馴染であり、腐れ縁のゆうすけだ。俺を見付けたゆうすけが小走りにでもなったのか、遅れてかなが合流した。


「おま……驚かせるなよ……

 かな、おはよ」


「おはよー、りゅう


 少しぽやんとしているが、かなは爽やか系のいいヤツなんだ。さらさらの濃い茶色い髪に、童顔が悩みらしいが……

 そんなかなは高校に入ってから出来た、大事な友達なんだ。制服をちょっと着崩していても、爽やか加減は減らない。そして、けっこうモテるのが羨ましいヤツだったりする。


「朝の弱いお前でも、さっきくらい驚いたら目も覚めただろ?」


 ゆうすけはノリが良いが、時々、悪戯が過ぎるのが難点だな。だが、サッカー部の部員で、ガタイが良い。それで圧迫感とか威圧感を与えないのは、その性格のお陰だろう。

 黒髪に日焼けした、意外と精悍な顔つきでこいつも女子にけっこうモテる。


「そういう問題じゃないだろ……」


 こいつの性格は知っているし、好きな部分でもある。だが、まだふらふらのあさイチに驚かせるのは止めてもらいたいもんだ。


 しばらくブツブツ文句を言っていたら、かなが笑い出した。


 ◇◇◇◇◆◆◆◇◇◇◇


 ……と、こんな具合です。情報が入るほど、文字数は増えます。


 無駄な情報は要りません。ですが、必要な情報は、必ず書かなければなりません。



 必要な情報は全部入っていますか? 今は書かなくていい説明まで入っていて、冗長な文になってはいませんか?


 必要な情報が全部入ったら、文字数はある程度にはなります。


 さらに少し情報を足せば、文字数はもっと増えます。


 くどくなく、必要な情報が全て盛り込まれた文章を心がけると、文字数は『自然と多くなる』もの。


 そう、文字数はいくらでも増やせるものです。増やし過ぎに注意をしまょう!

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