小説を書くルール

第8話 小説の文章にはダイエットを

　文章のダイエット？　何言っているんだと思われましたよね。

　ずばり、重（じゅう）言（げん）、二重表現などと呼ばれる言葉です。

『車に乗車』『馬から落馬』『お金を入金』『一番最初（最後）』『被害を被（こうむ）る』『予（あらかじ）め予約しておいた』『後で後悔』などなど。

『車に乗車』『馬から落馬』『お金を入金』は、説明は不要かと思います。

『一番最初』

　最（もっと）も初（はじ）め。それより前がないですから、同じ意味の『一番』は重（じゅう）言（げん）となりますので不要。一番最後も、同じ理由です。

『被害を被（こうむ）る』

　害を被（こうむ）る。被害で、害を被（こうむ）る事は分かっています。それがどうなったのか？　被害を受けたとなります。

『予（あらかじ）め予約しておいた』

　予（あらかじ）めしていた約束。予約に、予（あらかじ）めと入っていますね。予（あらかじ）めは不要です。

『後で後悔』

　後で悔（く）いるですから、『後で』は不要。

　……と、色々あります。

　ただ、ついつい言ってしまう言葉もありますね。

　とりあえず、応急処置しよう。

　存亡の危機。　

　春一番の風。

　後ろから羽交い締めに。

　とりあえず施す処置が、応急処置。

　存亡の危機は、正しくは存亡の機。

　春一番が、風の一種類です。

　羽交い締めは、後ろからしか出来ません。

　口頭よりも、文章として見ると重言は分かりやすいと思います。

　修飾語に同じ文字が使われている事が多いので、落ち着いてチェックすればすぐに分かると思います。

　落ち着けば、字は違っていても、同じ意味の言葉が重なっているのも見付けられるでしょう。

　文章にダイエット、分かって頂けたでしょうか？

　文章に、不必要な文字は一文字も要りません。　文章はしっかり、ダイエットしましょう！