第3話

俺だってやればできるということを示したい。


何より、こんな田舎町にいるのはもうこりごりだ。


俺はユーリウスおじさんに向かって言い放つ。


「俺は、今のままじゃダメな感じがするんです」


おじさんは腕を組んで黙って聞いている。


「確かに、フレアと一緒にこの家で暮らす生活も悪くないですけど…………おじさんの土産話を聞いているだけじゃ、満足できないみたいで…………」


「そうか……でも冒険者はつらいぜ」


「そりゃあ、おじさんみたいな腕利きになれないけど……俺は、動物も、植物も、魔物についてもっと知りたいんです。こんな俺に、あんなむかつく卵が手に入って、これを逃したらもう、チャンスは来ないかもしれない」


「テイマーになるのが、知識欲か……ありがちだが……悪くない」


そういっておじさんは二コッと笑ってまた俺の頭を撫でる。


「面倒な手続きは俺の方でやっておく、荷物をまとめておくんだ。出発は一週間後だ。フレアも一緒に入学だ。フレアは……精霊に好かれているから魔法使いの才能がある。二人とも冒険者学校に入学させよう…………もとはと言えば、俺が焚きつけたみたいなもんだしな、その責任は取るべきだろう。卵は金貨と一緒に入れていけばおとなしいから、気をつけろよ」


 俺はフレアを見つめると、フレアの方も俺の方を見つめていた。


 ただ、俺は浮かれていただけなのかもしれない。


 偶然だし、ただのラッキーだと、人は言うだろう。


 でも、そうだとしても、今までの俺の生活は平凡だった。


 知りたい。


 もっとたくさんの生き物を。


 ※ ※ ※


 そして1週間が経った。


 俺とフレアは冒険者学校の適性試験を突破した。


 俺は筆記試験と面接だった。


 フレアの方は、魔法使いの才能だからよくわからないが、受かったのなら問題ない。

 

 ユーリウスおじさんの推薦書、おじさんが日頃から勉強を見ていてくれたおかげで、それほど試験は難しくなかった。


 なんだかんだ、このおじさんは侮れない。


 フレアと俺は合格通知書をもらって二人して喜んだ。


 卵は、おじさんが来た時から、ほとんど動かない。

 

 俺はポーチに金貨と卵を一緒に入れた、そして冒険者学校で住み込みで勉強するから生活用品と、教科書。


 フレアの方は、杖を持っている。


 いいなぁと俺は言うと、フレアは恥ずかしそうに笑った。


 そして俺とフレアは二人で汽車に乗って、アルガニア冒険者学校へと入学した。


 アルガニア冒険者学校で入学式を済ませた後、俺は男性寮、フレアは女性寮に入ることになった。


 そうして、俺のドタバタな学園生活が幕を開ける。


 すべてはこの一つの卵をきっかけに。


 ※ ※ ※

 

 魔法生物学の教授であるエレストはマイキーと呼ばれる生徒の持ち込んだ卵を回収し、丁寧に観察する。


 ひとしきり、彼はこの卵を観察し終えた後、一人呟く。


 「これはあの子のモノらしい……まったくとんだ魔法がかけられているものだ」


  

 

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