第36話 コクリュウゴロシ

ジャキン!!


5人の騎士は剣を構えジリジリとカゲル達に近づく。


「お前ら気をつけろ!瞬き一つで首を落とされかねんぞ!!」


リーダーであろうオレンジが全体を鼓舞した。


「隊長!黒龍殺しを生け取りにしたらオラの

階級上がりますかね⁈グヘヘぇ!!」


グリーンがカエルの断末魔のような声で

尋ねる。


「黙れ!!しっかりと陣形を保て、最後まで

気を抜くなよ!!」


ジリジリと陣形は狭まり2人を鉄の壁と

影が覆った。


「よし!!かかれぇ!!!」


オレンジの号令により剣士達は2人に

斬り、、かかれなかった。


「グググゥなぜ動かん⁈」


前傾する男達はオリンピアのスタートダッシュを一時停止したかのように綺麗に止まっていた。


「説明するよ、、。後ろを見て、、。」


「う、後ろ⁈げぇ?!」


5人の影は束ねられカゲルの愛剣によって

釘打ちにされていた。


「俺の剣は影を斬る、、。こんなふうに刺して

固定することも可能なんだ、、。刺した影は硬直して動かない、、。お前達の目的はなんだ?

影もつかえない傭兵じゃあ俺は倒せないよ?」


「お、おみそれしました、、。私たちは騎士団長ヴァズギア様により、あなたを神龍教教会まで案内するよう命令されています。突然の非礼申し訳ありません、、。」


オレンジはギラついた目を一度閉じた後柔らかく口を開いた。


「ヴァズギア?騎士団長?」


「アースファビオ誕生以前より神龍ギガノケイオスを世界の始祖として信仰しているのが神龍教。ヴァズギア様はAF以降、教会直属の騎士団長に任命されています。」


「ヴァズギアが俺に何の用があるんだよ?」


「一つだけ言伝を頂いています。革命の為に鎖を

切ってほしいと、、。」


「革命は果たされたはずじゃないのか?何が目的だ?」


「これ以上はなんとも、、。」


応酬された会話が萎むように閉じ、それに対するようにカゲルは口を開けた。


「まあいい。俺とナナゴウを教会に案内しろ。

何を企もうとも返り討ちにしてやる。」


「はい、、ご案内致します、、。」


「カゲル、、目が怖いのだ、、。」


瞳を飲みこむほどに散大した瞳孔をカゲルは

深呼吸で落ち着かせ、第四層にある教会へと

歩き出した。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る