第35話 シンリュウキシダン

 あの日放たれ弾丸は2人を未来へと吹き飛ばした。クロックバレットで撃ち抜かれた身体は

フォビア達が去った後2年先まで吹き飛び新世界へ横たわったのだ。


「気づけば僕らはアースファビオなる星の第五層、ジャングルにいた、、。」


「でもわかるのだ、、!ここはシャドウアース

匂いでわかるのだ!!」


バラックのドアから見えるジャングルはすっからかんのまま、奇抜なファッションに取り憑かれた友人のごとく長い蔦を森中に伸ばしていた。


「僕たちが時を超えた2年の間に世界が書き換えられたみたいだね、、。シャドウワークス、、ファビオによって、、。」


「ブラディが心配なのだ、、。ファビオに

殺されてるかも、、。」


不安げに青の住処を曇らせるナナゴウ。


「ブラディは心配ないよ、。復讐に取り憑かれた奴らなんかには負けやしないさ、、。」


ガチャリ


2人はバラックの窓を開け緑の木々の隙間から

注がれる太陽のシャワーを浴びた。


「きもちいいのだぁ〜。」


脳内からはジンワリとセロトニンが溢れ

森のマイナスイオンと挨拶のキスを交わした後、2人をリラックスさせ水辺に誘った。


バラックの近くには小さな川が流れ、そのせせらぎの中を緑や褐色の魚が走っていた。


2人は手のひらで水を汲み、そこに生まれた

手鏡に自分を写した。カゲルとナナゴウの

姿は水の皮でゆらめきながら幻の命を煌めか

せた。そして魂を再び内に戻すように彼らは

それを喉に注いだ。


ゴクン


「うまいのだぁ〜。」


ナナゴウが顔をくしゃくしゃにして吠えた。

その表情は少女と竜が見事に同居した35年

ローンの新築にも見えた。そしてその家に

招かれざる客が近づいていた。


ザザ!!


ザザザ!!!


「誰だ!!」


カゲルはナナゴウの背中の向こうに大声で吠えた。


ガチャ、、ガチャ


金属の接触音とともに銀色の甲冑を被った

5人の騎士がシダ植物を踏みつけ現れた。

彼らは全て180センチを超える体躯をこれ見よがしに見せつけて言った。


「貴殿が黒龍殺しのサトウカゲルか?」


オレンジの羽を額につけた男はヤクザ映画の鉄砲玉のような声だった。彼らはその羽によって

それぞれを見分けているようだった。


「黒龍は死んでないのだぁ!!」


突っ込むナナゴウをなだめてカゲルは口を開けた。


「俺がサトウカゲルだ。君たちは何者だい?」


「俺たちは神龍騎士団だ。サトウカゲルお前に用がある!!俺たちときてもらおう!逆らうなら、、、。」


キリッと眉を突き上げ、オレンジは言葉を絞り出した。


「お前らには死んでもらう!!!」


竜騎士達はそりたつ壁のように2人を囲んだ。






















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