第11話 コクリュウヲタイジセヨ

「ほほう驚いた、、。ヴァズギアを倒すとは、、。」


アジトの中の闇が囁くようにファビオは囁いた。


2人が潜ったヴァズギアのリングにヒビが入り

濃黒な影の中から2人が飛び出した。


「やったみたいだな…カゲル…。」


嬉しそうにブラディはタバコを口にあて

外界、口腔、肺胞、血液へと煙を案内し

各名所を優しく案内した後、捨てるように吐き出した。


「ああ、、ブラディ危なく死ぬところだったよ。」


「ヴァズの野郎、力だけはすごいからな…。」


空気中をクラシック調に踊る煙からブラディの

心情をカゲルは感じた。


「う、うるぜぇ、、!テメェも切られてみろ

もうあんな痛みコリゴリだ、、。」


冬眠後も中々出てこない引きこもりの熊のようにヴァズギアは洞穴を開いた。


「やるじゃないカゲルン!剣もすごいけど

あんなに動けるとは思わなかったヨイ!」


エリオアがモスキート種特有の高音で賛辞した。


「全然だよ、、必死に動いてただけさ、、。

俺には兄貴がいたんだけど全部俺より3倍はできてた、、。」


過去を思い出し、カゲルは1センチ俯いた。


「そのできる兄貴のことは知らねえが、、

これでお前が常人の3倍動けるってことは証明された、、

お前はこれからシャドウワークスの仲間だ!

俺はお前の兄貴ではなく、お前が欲しい!

カゲル!俺のものになれ!!」


ファビオクラウストロの鳴らした言葉は

空気中を伝播し、カゲルの耳を優しく開け

脳を揺らし涙をこぼさせた。


「な、なんで、、涙が、、。」


頬を下る涙川はまるで枯れることを知らないようだった。


グッ


戸惑うカゲルをエリオアが抱きしめた


「ファビオの言葉は心を揺らすんだヨイ。枯れるまで泣きなよ少ネン。キミは全てを悟るには

若すぎるネイ、、。」


「うぐ、うぐぐぐ、、、、。」


感情の上流で起こった大雨はせきとめていた悲しみをナイルへと注ぎカゲルを絶叫させた。


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





「                  」


悲しみが大河へと去った後、枯れた砂漠の少年

は言った。


「ごめん、取り乱した、、。俺をシャドウワークスに入れてください!!」


「その言葉をまってた、、!!」


ファビオは闇の中で笑った。


「じゃあファーストミッションだ、、。

ブラディ、、カゲル、、

西の国ファーゼノンの城に住み着いた黒竜を倒してこい!!!」


「了解だぜ…。ボス…!!」

トグロを巻いたブラディの煙がそう答えた.









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