第12話 ニシノクニへ
「ブラディ、、ファーゼノンってどこにあるんだ?」
煙と戯れていたブラディは煙をふき出すと同時に
「表の世界でいう八王子だ…。黒龍は八王子のスラム街にデケエ城を建てて住んでいる。
顔は九つの九頭竜だ…。スラムのガキたちを
従えて王様気取りときてやがる…。」
呟いたブラディの煙は九頭竜の召喚には至らずトグロを巻いた出来損ないの蛇が宙を泳いだ。その煙にカゲルはブラディの揺らぎを感じた。
「そいつを取り締まるのが今回の仕事ってわけね、、。そいつは強いの?」
「……。強い…。固く見積もって五部…
俺らの能力を100%発揮して尚且つ力を合わせなけりゃ勝てねえ…。そんな相手だ…。」
ゴオオオオオオオオオ
電車が闇の中から現れた。2人は駅のプラットフォームにいたのだ。11両編成の黒色の電車は2人の前に立ちゆっくりと口を開けた。
「乗ろう…。こいつはダークレイルウェイK-235系…。ファーゼノンへ俺らを運んでくれる…。」
「いこう、、。」
2人が乗り込むと235系は口を閉じ、車掌のアナウンスが聞こえてきた。
ブラディの言った通り、車両は専用のようであり2人の他には数名程度の同業者らしき人が乗り合わせていた。
「彼らは?」
「シャドウワークスの構成員だ…。見慣れない顔だから下っ端だろうが、黒龍退治を直接あるいは間接的に依頼されたんだろう…。」
カゲル達の視線に気付いたのか下っ端らしき
3人組が近づいてきた。
「もしかして、、ブラディさんですよね⁈」
細身でモヒカンヘアーのトンマという男はガチャガチャとオイルドカウハイドの革ジャンを鳴らしガチャガチャと喋った。
「オレ!ファンなんすよ!ダークマキアで1000匹の特級カオスをぶっ殺した話は痺れました!
ダークスレイプニルの心臓を一キロ先から撃ち抜いたのってホントなんすか⁈」
「ああ…。間違ってはねえ…。」
ハットを深く被り直しブラディは答えた。
「すげぇ!!ほんまもんだ!!オレらギルドの掲示板で黒龍のミッションを知ってきたんすよ!
まさかブラディさんに会えるとは!
隣のこいつがチンギス、後ろのデブがカンザスっす!」
「ダァ〜れがブタだよ!トンマ!!」
トンマの後ろから明らかにそれの背格好をした
カンザスが吠えた。
「デブっつったんだよ!デブ!」
「おい、ルッキズムに抵触するぞトンマ、
時代に合わせたワルを目指すのが俺たちだろ?」
隣のチンギスが細身のメガネに革ジャンで
仲裁した。見た目にしても言葉にしても
秀才のようだがなんだか残念なやつだった。
「騒がしい奴らだな、、。ブラディ、、
ダークマキアって?」
「バディの旦那はこっち来たばかりですか?
ダークマキアは一年間も続いた戦争の名前っす!それまでこっちはカオス族が牛耳っていたんすけどその戦争に人類が勝って、今の国や町ができたんすよ!ブラディさんはその戦争の英雄ってわけですよ!すごくないすか⁈」
カゲルの問いにトンマが答えた。
戦いに敗れたカオスは地球とシャドウアースの
間に逃げ込み、死んだ人間の魂を食べて息を繋いでいるようだった。
当時のシャドウワークスの働きぶりは凄まじく
ブラディは当時のバディと共にカオスの親玉であるギガノケイオスを掃討し武功を挙げたのだという。
「ヒカリさんは元気してるんすか?マキアの後
一緒に暮らしてるんすよね?」
沈黙が歌のように流れた。
「あいつのことは…言うな…!!」
沈黙はサリエリのように悲しく歌って見せた。
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