第10話 シッコクノツカイカタ

「セブーーーン!エイーーーツ!!

ナイーーーーーーーン!!」


ヴァズギアがじっくりと時間をかけてカウントを進めていく。


「オオオオオオイ!!終わっちまうぞ!!

カゲルヴヴヴ!!最後のカウントで手前の

頭を粉々に砕く!!それまでに戻らなきゃぁ

それまでだ!」


ヴァズギアはボクシンググローブのように手にまとわりついた影を天に突き上げそして振り下ろした。


「テーーーーーーーーーン!!」



ピクッ


カゲルの右手が痙攣しその振動に周りの影が

集塵し、刃渡り70センチの黒剣となった。


ビクッ


カゲルは目を開けた。


ボゴォォォォ!


爆撃音と共に埃が舞い散ったがそれに

カゲルらしき有機物は見られない。


サッ


風が裂ける音を連れてカゲルはヴァズギアの右の視界の外へ消えた。そして、目的地へと走る

ヴァズギアの視野に越境地からこう伝えた。


「俺の能力はシッコクノツカイ!!深海から

引き抜いたこの剣でおまえをたおす!!」


目的地に着いたヴァズギアはエイフェックスツインの様に目尻まで口角を引き上げて笑った。


「てめええええ!なめんじゃ、、、、⁈」


頭部に違和感がみられた。


ポロッ


ヴァズギア自慢のドレッドヘヤーの一部が

切られ、一本はカゲルの手にあった。


「舐めてるのはどっちだ、、?」


無表情のカゲルを映しだした黒刀の平地

には笑みを浮かべるカゲルがゆらめいていた。


「コロス、コロスコロスコロスぅぅ!!」


産卵期のツキノワグマのようにヴァズギアは

涎を吐き出しカゲルに突進した。


あきらかに大振りとなった巨熊の一撃をするりとかわしたカゲルは手土産に熊の陰皮を剥いだ。


巨熊は爆咆をあげた。


「あぎゃぁぁぁぁああああああ!!皮が!!

俺の皮がぁぁー!!」


地に這いつくばり転げ回る巨熊を狩人は眺めながら動物保護団体の会長のように話しかけた。


「大丈夫だよ、、熊さん、、俺が切ったのは影、実際の君じゃない、、。その痛みから逃れる方法は一つある、、。首部をたれて一生俺に従うと誓え!!まだ切ったばかりだから影も切られたことに気づいてはいない、、。

さあどうする?!」


「カゲル、、さんに、、忠誠を、、


ぢがいまずぅぅぅー!!」


「もどにもどしでくだぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


カゲルは10秒指折り数えた後切ったばかりの影をヴァズギアに貼り付けた。


「イ、、痛くねぇ、、、、。」


熊の目の中の瞳孔にニューペインティングの如く怒りが描かれた。


「カゲルゥゥゥ!!!テメェコロスぅぅ!!」


スパッ


「いでええええええ!!」


これを5度繰り返しカゲルは巨グマを味方につけた。










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