第5話 イセカイノトリセツ

「どこから、話すべきか…。」

ブラディは吐き出したタバコの煙を見つめながら口を開けた。

「死んだ瞬間の映像は覚えているか…?」


「確か、影の中に吸い込まれて、、。シャチみたいなのに襲われて、、。」


「そいつは転生の試練だ…。人は死ぬと

影になる…。肉体から切り離されてな…。

しかし、影の世界にも定員はある。

そこで選別が行われる…。

俺の時はデカい蛇だった…。」


指先のタバコを丁寧に処理したブラディは

口に残った煙をとぐろ状にしてみせた。


「お前さんが転生したのは、影の世界

俺たちはシャドウアースと呼んでいる。

みた通り、死ぬ前の世界と変わらない様に見えるが…。」


「そうだね、ここは地球じゃないのか?」


「ニャオ…。」


2人と一匹は東京と思われる駅の構内にいた

人は駅の動線にそって上下に流れている。


影の世界シャドウアースなどと言われても

首を捻る位にフルカラーな服装の人達が歩き

ガヤガヤと話し声、歩行音、音楽が駅内に

散乱していた。


音楽はダンスミュージック調でバスドラムの

ドッドッと言う低音が心地よく響いていたが

その鼓動に紛れて瞳状の黒体が天井に生まれた。


「一つだけ違いがある…。」


ズズズズズ


「ピギイイイイイイイイ!」


黒い瞳から蠢く卵が飛び出した

卵は落下傘で宙を舞い

通行者に襲いかかろうとした。


「異なる点はカオスと呼ばれる影の存在だ…。

こいつらは人間界の欲望、絶望がこっちの世界に排泄され生まれる生き物だ…。」


ガゥン


ガゥン


ピギイイイイイイイイ!!


黒卵は心臓と脳と思われる場所に

風穴を開けられ絶叫した。


「こいつらを片付ける存在…

影の能力を持つ特殊部隊…

それが俺の所属するシャドウワークス…

お前がこれから世話になる組織だ…。」


「特殊部隊?シャドウワークス⁈」


戸惑うカゲルをよそにブラディは言った


「案ずるより産むが易しだ…。

案内するぜ…。俺らのアジトへ…。」


ブラディは艶やかな金の頭をなびかせて

歩き出した。


















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