第1話 誕生
俺の名はカオス。神界における最高の位と権限を持つ神。創造神……のはずだ。
世界の創造と破壊の権限を待ち、だからこそ地や海、空は勿論。森羅万象と摂理を操作、生み出すことが可能。
故に俺に知らない物も出来ない事もなく、いわば全知全能の神。
だが、俺が創った神々が住まう世界。神界にて、いつも通りに世界の創造をしていると、全くの別次元か。別世界線から迷い込んだのか。
それは、俺と全てを消滅させた。
しかし、その記憶と知能は残っている。
またその後に俺が目を覚ました場所は、知っているようで知らない世界。
そう、俺の手ではなく。別の何かが創り出したであろう世界で目覚めた。
だが、今問題視しているのは能力だ。
俺は最高位である創造神としての能力・権限を全て失っていた。
体から多少の魔力を感じることは出来るが、それを実用可能なまでに集めることが出来ない。
言わば、完全に魔力の素質もない人間の中で、下位中の下位ということだ。
これは、以降の神界における俺の立場に影響する重大な問題だが、魔力の流れを微量ながらも感じることが出来る時点で、多少時間掛ければ解決するのが分かるのは、唯一の救いか。
しかしそれ以上の問題が今の俺に直面していた。
ふと体から感じる周囲の魔力で、別の若干ぼやけた視界を作り、自分の体を第三者視点から見ると何故か多く人間に囲まれ、俺は生まれたての姿と小ささで、柔らかな布に包まれていた。
その状況から察するに、俺は人間の赤ん坊として目覚めたことが分かる。
つまりそれは人間の母の腹から生まれたという事実。
これは俺にとっては最上に侮辱的で屈辱的な始まり。
完全に神である俺の存在を元から否定することだ。
あまりにも馬鹿らしく、呆れる出来事に。
俺は赤ん坊という身体的に制限された腹から盛大に産声を上げた。
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