力を失った創造の神が行く異世界奇譚

Leiren Storathijs

プロローグ

 破壊と創造。再生と退化。生と死。

 これら全ての権限を持ちながら、最高位に立つ存在。

 この世の全ての概念、事象、物質を創り上げた存在。


 その名も、創造神カオス。


 彼は、今まで何千、何万、何億という世界を作り上げ、そして破壊してきた。

 【創造】の概念を持ち、【神】の住まう世界もまた創り上げた。

 もはやその所業は、神の暇潰しでもあり、遊びでもある。


 よって、この神に知らない物は存在しない。全知全能の神とは即ち、カオスである。


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 しかし、そんな神でも知らない物が一つだけあった。

 本来なら存在しないはずの異物。

 神の手から逃れた異物。


 世界の理を。神の理を揺るがしかねない物が、そこにあった。


 それは大きく、カオスの【世】に亀裂を生み出し、間もなく破壊に至る。

 異物が生み出した世の大穴は、カオスさえも呑み込んだ。


 まるで、世界の全て。森羅万象を否定するかのように。

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