第11話 S

「これなんかどうだ?依頼」とアスティは

それをはぎ取り受付に渡す。


「申し訳ございませんが。ランクDの方には

 それはちょっと・・・。」と受付のお姉さんは

完全にブチ切れたように、そして呆れたように言う。


「ちょ。あれ?」とアスティ。

「そもそもです!いい加減仕事してくださいよ!」

と受付のお姉さん。

「やってるでしょうに!」とアスティ。

「バカなの!?なんでギルマスが依頼すんのよ!

 挙句にランクDだし!」と完全にブチ切れ。


「だって俺のランク失効してるじゃねえか!

 復活させろよ!」とアスティ。


俺とへレスは掲示板の依頼を見る事にした。

「これなんかどう?」とへレス。


依頼書

田畑を荒らす野生動物の駆除

報酬 銀貨1枚 内容によって増減


「魔獣じゃないのかぁ。まぁでも

 へレスが決めたならそれでいいよ」と

俺が言うとへレスは受付に持っていく。


「じゃ頑張ってね、へレス。このバカをお願いね」

と受付のお姉さんは手を振って見送る。


「あいつ絶対、解雇してやる」と涙ぐむアスティ。


そして依頼場所


「そっち行った!打ち漏らした!シンお願い」

そういいながらへレスは弓を放つ。

「尋常じゃねえ数だな!」と俺は一心不乱に刀を振る。


その数およそ100匹。

「なんでこんなにいるんだよ!」とアスティ。

「師匠が知らなければわかるわけないでしょう!」

俺はそう言いながらも刀を振る。

「なんだよ!その師匠って!」とアスティは

言いながらも剣を振る。


おれはアスティの剣を見る。

「あれはいいモノだ。流石ギルマスだ」と。


「異世界の師匠だからですよ!」と言いながらも

スモールサングリアを切り倒す俺。

「あれ?煙になりませんね!」と聞くと


「なるか!魔獣じゃあるまいし!」とアスティ。

へレスは何故か喜んでいる。

「食材!食材よ!」と言いながら!


一時してほぼ討伐が終わる。

「久しぶりに剣を振った。疲れた」と

いいながらアスティは座り込む。


「ひゃっははは!」と言いながらへレスは

スモールサングリアをアイテムボックスに入れる。


「これ依頼主に渡さなくていいの?」と俺は聞くと

「いいのよ、依頼は討伐なんだから」と黙々と

入れている。コイツ、強い。そう思うシンであった!


冒険者ギルドへ報告をし、手に入れた

スモールサングリアを売りに行く。


「うぉ!合計金貨1枚!うはうはだ!」とへレス。


「ほかの街に行ってくださいね!」と

無茶苦茶叱られているアスティ。

「わかったよ!明日にはカティの街に行くさ!

 なあ!シン!」と俺に振られた。

「俺に聞かれてもわかりませんよ。

 へレスはどう思います?」とへレスに振ってやった。


「行く!他の街に行く!」と

やはり街を出たいのだろうか。まぁそう言う

お年頃なんだろう。と俺は少し苦笑いをした。


外に出ると既に夕刻だった。

「今日はここで休んで明日の朝、早く出よう」

とアスティは言うと

「いい宿を知っている」とニヤニヤしながら

歩き出す。


「3人いいですか?」と扉を開ける。

「あらま。お早いお帰りで」と笑う女将。


3人で1泊ね。銀貨2枚ね。

「高いよ!お母さん!」とへレス。

「冒険者さんにお母さん呼ばわりされる

 筋合いわないわ」と俺をチラ見する女将。


頼む、巻き込まないでくれ。親子の問題に。

「ってかなんでアスティ様が居るのよ」と

ビールっぽい何かを持って来る女将。


「初めまして!アスティと申します!

 ランクDです!」と冒険者身分証を見せる。

「あらま!失効してるの?笑える」とマジで笑う女将。


「あのぉ、なんで4杯?へレスさんはまだ

 成人じゃないんじゃ・・・。」と俺は聞くと


「もう成人よ?」とへレス。

「成人なのよ、それが」と女将。

「成人だねぇ」とアスティ。


どうやらこの世界は指定された魔獣を倒せば

成人となるらしい。


「2年前になっちゃったのよ。この子」と女将。

「子じゃねえし」とへレス。

「まぁ私は11歳だったけどね」とへレスを

上目使いでみる女将。


そうこうしながらもアスティの掛け声がする。

「プロージット!」と!


「うめえな!おい!」とアスティ

「うんうん!」と泡のひげを蓄えるへレス

「マジでうまいですよね!これ」と俺。

「仕事の後の一杯はやっぱうまいわね!」と女将。


「なんで母さんがお飲んでるのよ!」とへレスは

おかわりと言いながら言うと

「自分でついで来なさいよ!あ、私のも注いできて」

と女将は言う。


へレスはなんだかんだ言いながら注いでくる。

俺とアスティさんはそれを見ながら

「旨いねぇ、このエール」と。


そうこうして夜も更ける。

「すまん。明日にカティの街に行くが

 依頼がある。」と急に真面目になり話すアスティ。


「へレスも女将も聞いてくれ。勿論、シンもだ」

そうアスティは切り出すと


依頼内容はこうだ。

獣人、いわゆる亜人を拉致して売り飛ばす

集団が居る。国からの依頼だ。

相手は魔獣とかじゃない。人間だ。

ヤルかヤラレルかになる。

それを壊滅させる。


そういうとアスティは女将とへレスを見る。

「相手は人間だ。断ってもいい。しかし

 その場合は俺はぬける。そして他を探す」と。


女将はグイっと飲むと少し微笑みながら下を向く。

「相手は人間・・・。」と笑いがなくなるへレス。


なるほど。そう言った仕事もあるのか。

だから女将はへレスを・・・。と俺は二人を見る。


おれはエールを一気飲みして

「俺はやってもいいです。残念ながらそう言った

 仕事もしてきましたし」とアスティを見る。


「お前もしかして」と俺を見ながらアスティは驚く。

「俺、Sなんですよ。特戦群。おかしいでしょ?

 この年齢で。放り込まれたんですよ。」と俺は言う。

そして話をつづけた。


自衛隊に入って1年くらいしたら、変な検査を

させられて。そしたら情報課と言うわけわかんない

所に配属ですよ。

そしたら、またいきなりですよ。

本来ならば審査とかあるのに。

多分その頃から、俺の異世界行きは決まってたと

今はそう思っています。
















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