第6話 身分証

その後、森を出て街までもう少しの

所まで歩いてきた。雑談と言う、

『この世界の事』を色々と教わりながら。


「レアなモノですかぁ・・・。」と

へレスはトートバッグを下げながら考える。

「やっぱり、素材ですかねぇ。魔核もかな。

 私に言わせればこのバッグがレアなものです!」

とご満悦に歩いている。


「ちなみにドラゴンとか。それから取れる

 モノはやっぱりレアですよね?」と聞くと

「そりゃそうですよ。」と当たり前のように

答えてくれた。


「冒険者ギルドに登録してみたら?

 そしたら、そう言った話も聞けるんじゃないかな」

と至極まっとうな提案をしてきた。


『冒険者ギルド』なんと甘美で心躍る言葉だ。

異世界とは冒険者ギルド!どんな物語でも

最初に訪れる場所!どんな主人公でも登録しちゃう

『冒険者ギルド』!

しんは妄想の中で、既にドラゴンを討伐した。


「あ、あのぉ。ヨダレ垂れてますよ?」と

へレスは赤面しながら言ってきて、俺を

妄想の世界から連れ戻してくれた。


一時して街の入り口に来ると門番が

「お、へレスちゃん。お帰り。

 沢山取れたか?」と笑いながら聞くと

二人は仲良さげにハイタッチをしている。


「で、そっちの吾人はどちらさま?」と

門番は槍を構え、しんに目を向ける。


「ここだけの話よ?」と門番に耳打ちするへレス。


「帰ってくる時に、そう、森で魔獣に襲われて

 助けてもらったの。リーラの国から

 来たみたいで。何かの特命を受けている

 のかもしれないわよ?ジェニ様を探すとか?」


「ほら、見えるでしょ?アイテムボックス。

 あんまり、詮索したらヤバいかもよ?」と

へレスは晋の首元を見る。

そして門番も首元を見る。

「ど、どうぞ。ごゆっくり滞在してください」

と少し焦りながら門番は晋を通す。


少し歩いて、門から離れると

「うまくいったね」と笑いながらへレスは言う。

「あ、ちょっと待って」と晋はメモ帳を取り出す。


晋は生活の知恵を読み流しをする。

「書いてねえじゃねえか!街への入り方!」

そっとメモ帳を閉じ、ポケットに入れる。


「さて、奇跡も起きた事だし、まずは

 宿屋へ行きましょう?」と晋はへレスに言うと

「まず、魔核をお金に替えましょう。

 私も、お金持ってないんで。」とへレスは言い

冒険者ギルドへ二人歯向かう。


「おおお!おう!おう!おう!おう!」と晋。

冒険者ギルドの看板を見て大興奮する。

「来たよ!来ちゃったよ!異世界!いや、

 昨日から居るけどさ!」とガッツポーズする。


そして中に入ると、受付の綺麗なお姉さんの

所に行きへレスは魔核の入った袋を

お気に入りのバッグから取り出して渡す。

「あら、可愛い袋ね。」と受付のお姉さんは

言いながら魔核を数え、お金らしきものを渡す。


「はい、銀貨3枚と銅貨4枚ね」と。

「そちらの方は?」と聞かれると

「うちのお客様。冒険者になりたいみたいですよ?」

お金を受け取りながらそれに答えるへレス。


「そうなの。じゃあ身分証を見せて」と

受付のお姉さんは事務的に話を進める。

晋は後ろを振り返り、メモ帳を読む。


生活の知恵

冒険者ギルドに登録をしろ!


「お、あった。流石、長友課長」と言いながら

続きを読む。


冒険者ギルドに登録するには身分証が

必要だ。メモ帳③の最後のページに

張り付けてある。とある人物のモノを

解析鑑定して、素材も

作ってある。心配するな!日本のコピー機の

能力を信じろ!あ、名前は勝手に書いておいた。


「おお!初めて助けられた!」とメモ帳に

セロハンテープで張ってあった身分証を

はがし、そして振り返り差し出す。


「ぶっ!」とそれを見て噴き出す受付のお姉さん。

「こ、これは。本物なのでしょうか?」と

晋をじろじろと見る。


「あ、へレスちゃんはちょっと席を

 外してくれないかな?」とお姉さん。

へレスは返事をして、奥の掲示板みたいな

所へ行き張り紙を色々と見ている。


「と、言います・・・と?」と

冷や汗が出るのを感じながら言い返す晋。

「これ、相当昔に発行されたモノですよね?

 リーラの国はあるにはありますが。

 これは以前のリーラの国の身分証です。」


「ずずず、ずっと病で寝ていたんですよ!

 気が付いたら、今!なんちゃって!」と

焦りながら言う晋。


「まぁ確かに戦乱で住民たちは様々な所で

 生活することになりましたからねぇ。」

と、お姉さんはしみじみと言いながら

ジロジロと身分証を見る。


「そそそ、そうなんですよ!森!そう

 森の中です!俺!ばあちゃんと!」と

吹き出る汗をぬぐいながら説明をする晋。


「なるほど。確かにの方々は

 半数以上が行方不明でしたからねぇ」

そう言うと、少し待つ様に言われ・・・。


「はいどうぞ。新しい身分証を発行しますので

 今度からはソレを使ってくださいね」と。

 

晋はホッとしながら身分証を受け取る。


「あぁ、あとギルド登録しておきましたので。

 ランクBからになります。」と。


「あれ?」と思いながら後ろを振り向き

メモ帳を見る。


生活の知恵

冒険者は最初はランクDだ!そしてクラス4!

駆けあがれ!そしてランクSSになって

ドラゴンを倒せ!そして素材持って来い!


「あ、あの。最初はランクDでは?」と

受付のお姉さんに聞くと

「大丈夫大丈夫。忖度です。忖度。」と

笑いながら答えてくれた。


「あ、先ほどの身分証はこちらで

 処分しときますね」とも言ったので


「あ、お願いします。」とホッとしたせいか

晋は軽い感じで返事をし

「じゃあ今後ともよろしくお願いします」

と丁寧に頭を下げる。


へレスを呼び、終わったと告げると

二人は宿屋へ向かうためにギルドを出た。


受付のお姉さんはそれを見送ると奥の部屋に入り

「これをすぐにアスティ様の所へ」と

一人の女性に渡す。


受け取った女性はその身分証を見て

「ぶほ!マジですか?」と驚く。そして

「早速、行ってきます!」といいギルドを出て行った。











 


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る