第5話 初めての魔獣戦

「も、戻ります?今どれほど来たのでしょうか?」としん

「あ、まだ森を出たばかりなので

 そ、それほど?かかりません」とへレス。


二人は一旦小屋に戻る事にする。

歩きながら晋は問いかける。

「先ほど、スキルって言ってましたが

 名前とか言わないんです?」と晋。


「うーん。私は言いませんね。物理的な

 攻撃は簡単にイメージ出来るので。

 あーでも、極級は言うかな?」とへレスは言うと

「あ、無し!今の聞かなかったことにして!

 極を使ってるとバレたら怒られる!」とへレス。


「なんかまずいんです?それ」と聞き返す晋。

「んと、私まだ体力が少ないので使ったら

 ダメって言われてるんですよ」と苦笑いするへレス。


「わかりました。内緒にしておきます」と

笑いながら晋は言い返す。


そうこうしているうちに小屋の近くに来ると

二人は武器を取る。

へレスは弓を構え、晋は刀に手をやる。


「また来てる。この頃多いのよね。魔獣。」

その一言にハッとする晋。


「あ、あれが魔獣ですか」


「はい。中級の魔獣です。まぁ

 大したことはないんですが」と弓を

放とうとするが晋がそれを制止する。


「俺が戦っていいですか?」と言いながら。


へレスは弓をいったん収める。

「刀を使うんですか?見たい見たい」と

興奮しながら言うへレス。


「そ、そんなに期待しないでください。

 初めての魔獣戦なので。それと。

 俺がやられそうになったら助けて

 くださいね!絶対ですよ!絶対!」と晋。


深呼吸して魔獣に向かい歩く。歩きながら

鞘から刀を抜く晋。その姿を後ろから

見ているへレスは、

「ふーん。なんだかんだ言いながら

 様になってる」と言うと弓を引く。


魔獣は既に晋を視界に入れており

何時襲い掛かってきてもおかしくないほど

咆哮している。

「やっぱ、怖ええな」と刀を構える。


再度、大きく息を吸い、そして吐く。

それと同時に突っ込む晋。

「こんなもん、先手必勝だ!」と言いながら。


魔獣の右腕が振り下ろされるが晋はあっさりと

それを避けてしまう。

「あ、あれ、よく見えるじゃん」と。

そして下段からの切り上げ。そしてそのまま

返す刀で振り下ろすと、

魔獣は煙となり灰となる。そして

その中にはビー玉位の魔核なるモノが光っていた。


「あ、あれ?もうおしまい?」と少し

拍子抜けと言うか、逆に動揺する晋。

「すごい!すごいすごい!すごい!」と

興奮気味に言いながら走ってくるへレス。


そして走りながら矢を放つ。

「もう一匹!」と言いながら。その矢は

魔獣の頭を貫く。

それと同時に魔獣の首も飛んでいた。


「なんだろう。この感覚は。」と刀を

握る手を見ながら呟く。

「本当に初めてですか?」と驚きながら

へレスは言うと魔核を拾い晋に投げる。


「はい、銅貨2枚分です」と笑うへレス。

「ど、どうでした?俺の攻撃。」

その魔核を受け取りアイテムボックスに入れる晋。


「ふぁぁ!それアイテムボックスなんですね!」

と目を輝かせてへレスは晋の首をじっと見る。

「え、えぇ。持たされました。何かすごい

 モノらしいです。これ」と中からさっき入れた

魔核を取り出す。そして入れる。


「この世界ではよっぽどの人でないと

 持ってないんです。それ、とても高価だし。

 精霊使いのすごい人しか作れないんです。」

と物欲しそうに見ながら言う。

「だ、だめです。これは!」と慌てる晋。


ハッとした顔をして

「す、すみません!ついつい。私、

 物欲しそうな顔で見てました?」と

赤面をしながらへレスは言った。


そしてへレスは小屋に入ると

「あ、入っていいですよ。と言うか

 入ってください。」と中から声がしたので

入ってみると。


「あのぉ、これ全部、入れてもらえないですか?

 重いし。多いし。」と食材に目をやる。

「そ、そうですね。この量はさすがに

 入れた方がよさそうだ」と晋は入れ始めた。


「私がこのまま逃げたらどうするんです?」と

言いながら。


「あ、大丈夫です。さっきも言いましたが

 私強いので」とアレもコレも指さしながら

晋に指示をするへレス。「あ、これも」と。


食材を未だに入れ続ける晋は

「さっきの俺の戦いはどうでした?」と聞く。


「流石、異世界の方ですね。本当に初めて

 だったんですか?ソレにあの攻撃は

 スキルですよね?刀もすごそうだし」と。


晋は一旦手を止め、刀を机に置く。

「見てみますか?感想を聞きたいです」と。

へレスは晋を少し見てから刀を鞘から抜く。

「軽い。・・・綺麗ですね。」一時して鞘に仕舞う。


「もし、鑑定したいなら私の母さんに

 見せた方がいいかも。でもなぁあああ」と

頭を抱えるへレス。


「どうしたんです?何かまずいんですか?」と

晋は刀を脇に刺しながら聞く。


「お母さんは私には言わないですが。

 私も知らないふりしていますが、母さんは

 元剣士なんですよ。多分、すごかった剣士」


「見ちゃったんです!」と目を輝かせながら、

そして興奮しながら言ってくる。

「物置に大きい箱があって!その中に

 すっごい剣!めちゃくちゃ綺麗で!」

「・・・。それに、傷だらけの鎧。」


「あ、なんで私は喋っちゃったんだろう。

 本当に内緒にしててくださいよ!?」とへレス。


「刀の事は、よくわかりません」と前置きをして

へレスは話しを聞かせてくれた。


刀はこの世界には、本当は存在しない武器であり

それに似た造りのモノは存在するが

数える者くらいしか持っていないらしい。


実際、刀持ちの人が戦った所は初めて見たらしく

剣の戦い方とは違うらしい。


「あ、でもそう言う戦い方をする人は知ってます。

 5年ほど前に見た事あります!」と。


カルーアの街で強かった人が

何かの武道会らしい大会に出た時に見たと。

今は街を離れてどこかへ行ったらしい。


「へぇ、その人はどんな人なんですか?

 会ってみたいですね」と最後の食材を

入れ終わった晋は聞く。


「すごい人です!保母さんなんです!」


「はい?・・・え?保母さん?」と晋は

口を開けへレスを見る。






 












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