第3話 少女との出会い
「うーん。蛇が居ない」と
睡眠から覚め、木から降りた
草払いをした地面を眺める。
「あかん。爆睡してしまった。
しかし、生きている俺。すごい俺」
とも言う。
「一人か」とさらに呟くと
「やっぱすげえな、異世界。こういった
感覚も研ぎ澄まされてるんだ」とも。
刀を振り回すには少し狭いと思い
サバイバルナイフ片手に、そのモノが
通ったであろう方向へ進んでいく。
「おっと、スリングショットも取りあえず
準備しておこう。怖いし」
ゆっくりと、確認しながら進んでいく事
20分ほど、いきなり面前が開ける。
「おっとっと」そう言いながら木の陰に隠れ
小型のスコープを取り出す。
明らかに人が作った建物だな。
こう言った所に住むって事は、ここには
魔獣とかの危険生物はいないって事かな。
更にスコープで確認を行う。
ほうほう、食事は外か。竈がある。
寝るだけの小屋なのか?うーん。
人の気配があるのかどうなのかわからん。
思い切って接触してみるか。
そして小屋に近づく。
「年季が入った竈だな。」と確認をし
建物の扉の前に立つ。
「すみませーん。誰かいますか?
私はこの辺で蛇を落としたものです。
それが無いとお腹が減って力が出ません。
知りませんかー?蛇」と大きな声で言う。
生活の知恵に書いてあった。
言語は、というか言葉が通じると。
扉の向こうに気配を感じる。
晋は3歩ほど下がり両手を上にあげる。
更に後ろに下がる。
「ここまで下がればアノ板の隙間から俺が
確認できるはずだ」と。
「こ、こんな所にどのような御用でしょうか。」
と中から声がした。
「いえ、本当に食べようと思った蛇を
落としてしまって。なんか紐みたいな
にょろにょろ動く奴。」とゆっくりと話す。
「あ!シュランゲの事ですね。す、すみません!
食べちゃいました!ごめんなさい!」と
声が聞こえ、そして扉が半開きになる。
「おいおい、開けちゃうのか。
おれが盗賊とかだったらどうするんだよ」
と思いつつも、晋はそこに手をあげたまま
座り込む。
その姿を見たからだろうか。
扉が開き、中から現れたのはなんと、
まだ15歳くらいの少女であった。
しかし、手には弓がしっかりと持たれている。
それも矢を引いたまま、片手で。
座りながら両手を上げている晋を見て
「すみません。何か替わりのモノを
準備するので待っててください」と言うと
中に入ろうとするが
「いや!待って!蛇、じゃなかった
シュランゲはいいから、ここから一番近い
街を教えて欲しいんですが」と晋。
「そ、それならここから半日ほど歩いた所に
カルーアと言う街があります。
と、途中までなら送りますよ?」と返事。
「そうしていただけると助かります。」
そういうと晋は少し、カマをかける事にした。
「あの、私が悪人とかそんな存在だったら
どうするおつもりで?」と聞く。
「あ、大丈夫です。私強いので」とその少女は
普通に答える。
「私は貴女より強いかもしれませんよ?」と
晋は答えると
「そうですね、じゃあ私の前を歩いてください。
私は弓を構えながら後ろから誘導します」
「今からで大丈夫です?」と晋は言うと
「じゃあ少し準備をします。待っててください」
と言うと建物の中に入っていった。
数分後、扉が開くとそこには先ほどとは
うって変わって綺麗な装備を身に付けた少女が
立っていた。
「うわ、まだそんな恰好で。いい加減
手を下ろしてください。そして立ってください。」
そう言いながら、建物の右側の方向にある
木に矢を放った。そして、それは木に突き刺さる。
「すっげえ」と俺はそれを見て、少女を
見直すと既に、弓に矢が引かれていた・・・。
「そ、それもすげえな」とも呟く。
俺を前に歩きはじめる。後方5メートルの
位置を付いてくる。が、
「ぬ、抜けない!ちょっと待って!そこで
止まってて!」と少女は慌てたように言う。
「ぬ、抜きましょうか?」と俺が言うと
「だ、大丈夫です!これくらいしないと!」と
言いながら「ふんぐ!」と可愛い掛け声がした。
「い、いきましょう。抜けました」と。
「よ、よかったですね。というか、矢って
使い捨てではないんですね」と晋は聞くと
「この弓と矢は大切な方から貰ったモノなので。
1本たりとも失くしたくないんです」と
何か嬉しそうな声で返事をする少女。
一時、まっすぐ歩いていると、晋の頭の
横を矢が通り過ぎて行った。
「ぶっ」と思わず声に出す晋。
「す、すみません。今度はあの矢の方に
向かってください」と少女。
その方向に歩いて行く二人。
「こ、今度はぬけたみたいですね」と
晋は少しわらいながら言うと
「は、はい。思いっきり弱めに打ちました」
と返事がした。
「あ、あの。いえ、俺は
言う名前です。お名前聞いていいですか?」
と晋は思い切って聞いてみた。
「あ、珍しい名前ですね。私はへレスって
いいます。」と返事がする。
「なぜあんな所に住んでいるんです?」と
聞くと
「いえ、住んではいません。3日に
一度は街の家に帰ります。
弓の練習と、まぁ、食材集めですね。
家が宿屋をしているので。 貧乏宿屋なので
自前で食材獲ると浮くじゃないですか。
いろいろ」と笑いながら答えてくれた。
「さ、さすがにその宿屋って先にお金を
払わないと泊めてくれませんよね」と聞くと
「さ、さすがに前払いですね。でも安いですよ?
もしかしてお金持ってないんですか?」と
なにか笑いながらだろう、そう聞かれた。
「あのぉ、魔獣倒せば魔核手に入るんですよね。
どこか近場で魔獣が出てくる所って
あります?それ倒して取りあえずお金にします」
と俺が言うと。
真面目に、押し殺したような声が返ってくる。
「あなた、何者ですか?」
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