第2話 ふぁ、ふぁいあ?

生活の知恵 

まずは飯だ。狩りをしろ。

何故ならば、金を渡していない。

最初は自給自足でもして生き延びろ。

因みに、知る限りのことを書く。

おいしさ度も★の数で知りうる限り記載する。


食べられる物

その辺の草・・・★

※マヨネーズを入れておいた。掛けて食え。

次はいかにも動物っぽいヤツだ。わかるな?

フランゴ・・・★★★

※ニワトリっぽい奴だ。森の茂みに

 隠れているらしいぞ。

スモールサングリア・・・★★

※イノシシみたいなモノだ。

 結構突進力あるらしいから気を付けろ。

ホワイトラビット・・・★★★

※そのまんまだ。白いうさぎだ。

スワン・・・★★★

※そのまんまだ。水鳥だ。

もしも動物っぽいモノを見かけたら狩りをして

食ってみろ。それも情報だ!レアなモノだ!


食べられない物

魔獣。


魔獣と動物の違いは

明らかに動物なのが動物。

明らかに魔獣なのが魔獣。


しんはそっとメモ帳を閉じる。

「星の数って、これ最大値はいくつなんだよ。

 10点中の2なのか?これらは」と。

「ってか、魔獣ってなんだよ。まぁ、

 異世界だからいるだろうけどさ」とも。


結構、木が多くなり、森っぽくなってくる。

「あれってホワイトラビットだよな。

 動物だよな!?」と

目の前にいる動物?を見る。


アイテムボックスからスリングショットを

取り出すと、石を拾い、構える。

「流石、長友課長。よくわかってらっしゃる」


石は一直線にホワイトラビットに向かい

頭を粉砕した。

「ちょ!何この威力!ってか、軌道も

 真っすぐだったし!」と驚く晋。


生活の知恵を思い出す。


異世界では、ありがちな話だが

こちらの力が相当に強化されているらしい。

スリングショットなんて下手すりゃ

ハンドガンより威力が出るかもしれん。

気を付けろ。

肉体的基礎能力、体力、感覚も

すごいらしいから

魔獣見かけたら戦ってみろ。というか戦え。

魔獣は倒したら魔核なるモノを落とす。

それを売れば金になる。

冒険者のほとんどはそれで生活している。

因みにそれもレアなモノなので持ち帰れ。


「うーん。これ誰に聞いて書いてるんだ?

 あぁ、そういえば昔、異世界から来た人が

 在籍していたという話だったな」


しかし『冒険者』と言う言葉にワクワクする

晋であった!


晋は頭のぶっ飛んだホワイトラビットを手に取る。

「居たから思わず狩りしたけど、どこで調理

しようか。もう少し奥に行ってみるか」


一時歩き、

今日1日くらいならここでいいか。

晋はアイテムボックスから調味料セットと

刀を取り出す。

「渡された刀で最初に倒したモノは

 草でした。って言ったら

 殴られるだろうか」と思いつつも

畳2枚分くらい草払いをする。・・・刀で。


大きめの葉っぱの上に先ほどの獲物を置く。

サバイバルナイフで皮をはぎ、火を熾し焼く。


焼いている間にメモ帳を読む。


おまえがやっていたゲームはその大陸で

生活するうえで重要な事が多く含まれている。

まずは街の配置と町中の配置。

まぁわかる範囲でだ。

結構前の情報で作られているので

ある程度ってことで信じろ。

お前は1年間、それをやっていた。

今いる場所くらいわかると思う。


「わかんねえよ!」思わず声が出る。


後、お前が覚えた剣技はそちらで使われている

スキルだ。多分、お前は使えるはずだ!


「・・・。使えるわけねえじゃねえか!」

晋は頭を抱える。


肉がまだ焼きあがらないので、

しかたなくメモ帳を見る事にすると・・・。


その世界には魔法がある。初級程度なら

誰でも使えるらしい!すごいな!異世界!

私も是非とも使いたい!

取りあえず、イメージして撃ってみろ。

詠唱はなんかかっこいい名前でやってみろ。

治癒魔法も出来るらしい。というか

出来てほしいな!やってみろ!


「だめだ。長友課長、頭にドングリが

 入ってるんじゃないか?出来るわけ

 ねえじゃねえか」と晋は思うが。


辺りを見回し、呼吸を整える。そして

晋は頭で燃焼のイメージをする。

恥ずかし気に、そして小声で詠唱する。

「ふぁ、ふぁい・・あ?」と!


「熱っちいいいいい!」と言いながら

手をバタバタさせ、地面で火を消す。


「出来るじゃねえか!バカじゃねえの!?俺!」


晋は考える。何故手が燃えたのか。

何故アニメみたいに飛んで行かないのか。

「そうか、飛ばすところもイメージなのか」


そして再度、手をかざし詠唱を行おうとする。

「おっと、山火事になるな」そう言うと

焼いている肉に手を向ける。


「さっきはライターの火をイメージした。

 ならば、今度は火炎放射器だ。」


一呼吸置き「ファイア!」と今度は

堂々と大きな声で言い放つと!

肉が一気に焼きあがった!


「ああ!わかった!魔法使いが杖使う

 理由が!手が熱いからだ!」と

晋は再度手を地面でこする。

「火傷しないでよかった!」と言いながら。


「うめえな!この肉!これで★3なら

 期待できるな!」とモグモグする。


食い終わると近くで一番大きな木に登る。

そしてハンモックを取り出し枝に括りつける。

「地面よりも安全だろう」と言いながら。

「3時間くらいでいいか」とも呟く。


まだ夜にはなっていないが就寝する。

晋は昼よりも夜が危険と思い昼夜を

逆転させ、数日間行動しようと考えていた。


そう、まだ見ぬ魔獣対策として。


1時間後

就寝中の晋に何かが近づく。

長さ1メートルほどのちいさな蛇。

晋に噛みつこうとする寸前、

蛇の頭にサバイバルナイフが刺さる。


「すげえな、異世界。殺気のような

気配がよくわかる。目が覚めちまった」

と言いながら蛇をポトリと地面に落とし

そしてまた目を閉じる。


「あぁ、もしかしたら食えたかもな」

と思いつつ。



















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る