かなしみのプリン その④(完)

「うっうっ、プリンうめえにゃ、プリン……」


 泣いている。

 きのみは泣きながら、小さな容器にたっぷりと盛られたプリンを食べていた。

 目の前には、すでに空の容器が二個。

 そこに貼られたラベルの消費期限は明日になっている。


 なぜ、こんなことになってしまったのか。

 ここまで読んだ皆様には、おおよその見当はつくだろう。


「どうして宛先確認しなかったのにゃ……」


 そう、お世話になっている人へ送るはずのプリンは、あろうことか宛先自宅にしたせいで、見事にきのみ宅へお届けされてしまったのだ。

 普段から、その方へ送ることが多いため、ろくに確認もせず今回もやってしまったのだが、珍しいことに直近、自分宛てに「ミ○オリジナル4パックセット」を購入したのだ。

 その結果、初期設定が自宅になってしまい、このザマである。

 普通に再度きのみが送り直せばいいじゃんと思うだろうが、そこは消費期限が見事に邪魔をした。

 念のため、声のみイケボのおにーさんに確認したが、最短で明後日着。

 つまり、間に合わないのだ。

 さすがに贈答品に消費期限切れを渡すわけにもいかず。


「うめえにゃ……、うめえにゃ……、クソ高いだけあるにゃ……」


 こうして、きのみのイヤッホウな一日は悲しみの中で幕を閉じるのであった。

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