かなしみのプリン その④(完)
「うっうっ、プリンうめえにゃ、プリン……」
泣いている。
きのみは泣きながら、小さな容器にたっぷりと盛られたプリンを食べていた。
目の前には、すでに空の容器が二個。
そこに貼られたラベルの消費期限は明日になっている。
なぜ、こんなことになってしまったのか。
ここまで読んだ皆様には、おおよその見当はつくだろう。
「どうして宛先確認しなかったのにゃ……」
そう、お世話になっている人へ送るはずのプリンは、あろうことか宛先自宅にしたせいで、見事にきのみ宅へお届けされてしまったのだ。
普段から、その方へ送ることが多いため、ろくに確認もせず今回もやってしまったのだが、珍しいことに直近、自分宛てに「ミ○オリジナル4パックセット」を購入したのだ。
その結果、初期設定が自宅になってしまい、このザマである。
普通に再度きのみが送り直せばいいじゃんと思うだろうが、そこは消費期限が見事に邪魔をした。
念のため、声のみイケボのおにーさんに確認したが、最短で明後日着。
つまり、間に合わないのだ。
さすがに贈答品に消費期限切れを渡すわけにもいかず。
「うめえにゃ……、うめえにゃ……、クソ高いだけあるにゃ……」
こうして、きのみのイヤッホウな一日は悲しみの中で幕を閉じるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます