かなしみのプリン その②

 その日は早出であった。

 しかも残業ナッシング、なんて素晴らしい日。


「ふー、早く帰って小説の続きでも書きたいにゃー」


 きのみは会社を出て携帯端末を確認すると、着信履歴がひとつ。

 登録していない番号、しかも、070な番号からである。

 普段であれば、きのみはこの手の番号にかけ直すことは無い。

 10回くらい連続でかかってきたら、チチキトク、スグカエレ的なものが近所のおばちゃんから?!と思うのだが、一度だけ残ってる着歴にかけるなんて、何かの詐欺にかかりやすい人の典型的パターンである。


「……かけてみるかにゃ」


 が、なぜかこの日のきのみは慎重さに欠けていた。

 きっと早出ノー残業最高イヤッホウ!だったのだろう。

 結論から言うと、それが事件の早期発覚に繋がることになる――。

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