第50話 ドキドキな期待感

ウィスに抱き抱えられながら、馬車に乗り込んだ。

御者に何かを伝えると、ウィスがぎゅっと抱き締めてきた。

ゆっくりと馬車が動く。


抱き締めたままピクリともしないウィスの頭をポンポンと撫でて、


「ありがとう、ウィス。私はもう大丈夫だよ。」

と笑顔で言った。


「…作戦とはいえ、リタに怖い思いをさせた。しかも顔にこんな傷までついて…。」


泣き顔のウィス!これはレアだ。


「じゃあ、後でアダライト殿下にはたっぷり報酬を貰わなきゃね。がっつりと。」


ニヒヒと私が笑うと、ウィスの顔が近づき唇が触れた。


あれ?こんな流れじゃなかったよね?


何度も何度も、軽く唇が触れる。


きゅうんっ!と胸が苦しくなって、私からもウィスにキスをした。


馬車が止まり御者の人が「到着しました」とドアを開けるまで、お互いに身体中にキスをした。


またもやウィスに抱き抱えられながら、自宅に着いた。


私を下ろすことなく、ずんずんと寝室へ歩くウィス。


なんとなくドキドキした期待感で、胸が一杯だった。


そっとベットに下ろされ、額にチュッとキスをされた。


ウィスの顔を見上げると、仄かに目元が赤く、瞳は劣情に潤んでいた。


「ちょ!ちょっと待ってよ!そんな事してる場合じゃないんじゃない?ほら、お風呂も入ってないし、私何にも食べてないからお腹が空いてて!」


しかしベットに乗ってきたウィスの瞳が、甘く怪しく潤っている。


「後でいくらでも好きな物作ってやるから…今は俺だけ見てて。」


頬を両手でそっと包まれて、ウィスのキレイな瞳が近づいてきた。


しかたない、空腹よりウィスを優先するか。











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