第23話 先は長い
「なんで、手紙が届かなかったんだ?何度も送ったんだぞ?」
現在私は、ウィスが椅子に座り、その膝の上に乗せられるカッコである。
「さ、さすがに恥ずかしいってか……近くて……」
膝の上で、挙動不審で視線が定まらない。
ウィスは、後頭部にチュッとキスを落とし、私の肩口に顎を乗せた。
「定期連絡の便は、ちゃんと送れているし、届いてる……他の隊員の私信もきちんとやり取りできてるんだけどな、おかしい。」
私の髪を指にクリクリと巻き付けながら、耳元で話す。
やぁーめーてー!無駄に良い声なんだから!
心拍数が、バカ早い。ま、これよりもっと凄い事、してるんだけどね……
「………まさか、あのアホ令嬢か?」
「え?アホ令嬢?」
「あぁ、治療班に俺狙いの令嬢がいるんだが、何度断っても纏わりついてきて、いい加減ウンザリしてるんだ。」
なんですと!私のウィスに、纏わりついてるですって!?
って、いやいやなんだか照れますな。いやはや。私のウィスって、やだなぁもう。ははははは。
一人でワタワタしながら、初めての心境の動きに右往左往している。
「なんで照れてんの?」
ドキッ!とした。心読めんのか、ウィス!
侮れんな。
「立場上、邪険にも出来なくて、ヤキモキしてるんだけどな。」
そう言いながら、耳やうなじをチュッチュッとキスしまくる。
「ちょっとウィス、もういい加減にしてよ。恥ずかしいでしょう!」
「やっと両想いになれたんだ、このくらい許せよ。はぁ、もう帰りたい……」
今回は、殿下の計らいで特別に魔術師さんにここに送ってもらったけど、まだあと2年はウィスはここに居なければならない。
また離ればなれだ。
ズクンと胸が痛くなった。
「……寂しい…な。」
後ろからぎゅゅゅっと抱き締められ、私の顎をそっと掴んで唇同士が触れる。
「俺もだ。」
今度は動悸がヒドイ、大丈夫か?私の体!
「手紙の件は捜査しておく。だから、リタからも書いて欲しい。恋文。」
「こ!恋文ぃー!?いやいやウィスさん、手紙は検分されるんでしょ?他の人に読まれるってことですよ。そんな顔も知らない人に、『好き好きー』なんて手紙、見せられないって!」
「俺は書いてたぞ。早く抱きたい とか。」
「このお馬鹿!!そんなこと書くな!あーー!、もぉーー!知り合いとかだったら、恥ずかしい事この上ない!!」
「俺のだって分かっていいだろ?」
シレッとそう言いきるウィス。
ちょっと、嬉しいけど、うぅぅ、恥ずかしいよっ!
「あと2年、待っててくれるか?」
「……なるべく早くね。」
「じゃあ、明日にでも敵陣に突っ込んで、終わらせてくる。ちんたらちんたら、あと2年もやってられない。」
「ぎゃー!それはダメッ!昔もそうやって大怪我したでしょうが!!学習しろっ!」
ウィスが、ふっと柔らかい笑顔になって
「あれからだよな、俺にとってリタが唯一になったのって。」
懐かしいな と、はははと笑った。
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