第17話 ここは何処?
「あれ?ここは……どこだ?」
パチッと目が覚めたリタは、見慣れない部屋の豪華なベットで、久しぶりの爽快感と共に居た。
「……えっと、昨日は……家に居たよね、多分。で、なんでここに?ってか何処、ここ!?」
窓からは、遠くに昼の賑やかな街の風景が見える。
「???」
記憶は、自分の家で依頼品を調合していた所までしかない。
「んー?ま、いっか。」
まったく記憶がない。ので、また寝ることにした。
ここのところ、まともに寝てなかったなぁ と思いながら、フカフカの毛布の中に戻ると、トロンと目蓋が落ちてくる。
この毛布、欲しいな 。
まさかの二度寝を堪能していった。
しばらくして、
頬に何かが触れる感触がして、目が覚めた。
「あ、リタさん起きましたか?よかった、よく眠れたみたいですね。」
金髪のイケメンが居た。しかもかなりの近さで。
「殿下?なんでここに?ってか、ここはどこ?」
「ここは私の寝室です。」
ニコニコ尻尾を振っている大型犬、いや、皇太子。
「なっ!なんですと!?殿下のし、寝室ぅー!?」
「リタさんの家を尋ねたら、床に倒れていたんですよ。青ざめた顔を見たら、心臓が止まるかと思いました。でも、よかった…」
ウルウルとした瞳で見つめられ、さっきから頬を撫でてた手が両手になって、ガシッと顔を挟む。
「これからは一緒に居ましょう。リタさんの仕事部屋も整えてあります。今日からそちらでお仕事なさって下さい。でないと、私は仕事が手に着かないんです、心配で。」
何を言ってらっしゃる?この人。
「で、殿下?それはまずいでしょう、いくらなんでも。あー世間体というか、なんというか…」
「ここにいる者達は、私が信頼している者達ばかりです。勿論、口も固いんですよ。なので気兼ねせずに、過ごして下さいね。」
グイグイとホッペを撫でられ、有無を言わさない圧を感じる…
「ではまず食事にしましょう。」
殿下が言うに早く、メイド達がワゴンを押してきた。
「私も一緒に頂きます。さあ、リタさんも。」
自然にエスコートされ、流石生まれながらのロイヤルさに感心しながら椅子に座る。
すぐ横に、太ももが付くくらいで皇太子も座る。
「って、距離おかしいのでは!?」
「いえいえ、これが適切です。私がすぐにリタさんをお世話できる距離です。」
尻尾をブンブンと振り回し、嬉々としながらスプーンを私の口元にもってきて
「はい、あーん。」
どんなプレイ!?
「いやっ、で、殿下!自分で食べられますって!!」
「自分で食べないから、あんなにやつれて、自宅で倒れていたのでしょう?ここでそのような事にはさせません。さ、リタさん あーん です。」
助けてメイドさん!とすがるように周りを見渡すと、目をそらされた……
「口を開けて頂けないのなら、開けるようにする事も出来ますよ……」
ただならぬ雰囲気を感じ、思わずパカッと口を開けてしまう。
程よい温度のスーブが入ってきて、爽やかな味が口の中に広がる。
それをごきゅっと飲み込むと、すぐに焼きたてのパンをちぎって、また あーん される。
「あぁ、幸せでどうにかなりそうです。」
恍惚とした表情の皇太子殿下。
無言で咀嚼する私。
本当に、なんなんだこのプレイ………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます