六ノ巻~三成の気遣い①~
私、
「莉菜、開けても良いか?」
「良いよ!」
私はそう言うと、三成は静かに襖を開けた。そして、私の前に座り話しかけてきた。
「半兵衛殿はもういないな」
「そうだよ。秀吉殿について行ったよ……」
「そうだったな」
「半兵衛より賢い軍師になって、半兵衛を越えるんだ~!」
「まぁせいぜい精進しろ」
「はいはい」
三成は素直じゃないな~。でも三成らしいや!
「そういえば」
「何だ?」
「何しに私のところに来たの?」
「長政様から、町に
「姫巫女の遣いか……」
姫巫女の遣い。平安時代に厄災をを祓う巫女が存在していて、ある日瀕死状態の青年を不老不死の力で助け、二人は恋に落ちた。だが、青年の暮らす村人たちは、巫女の能力を
大谷さんからそう聞いていたけど……やっぱりあの影は姫巫女の遣いなんだ……。でも何故?私明日まで謹慎何だけどな~? 私は気になり、三成に聞いた。
「なんで、謹慎中の私なの?」
「吉継は身体が弱い。風邪をひく」
「それはわかる。兄上は?」
「兄上?……あぁ、高虎か?高虎は……知らん」
「兄上でも良いんじゃないの?」
「……お、俺が暇である貴様を推薦したんだ!ただ単に部屋の中に籠っているだけだと気分も悪くなるだろう!」
「……そう?」
「そうだ!!だから、俺は貴様と共に、姫巫女の遣いの討伐に行った方がよいのではないのかと長政様に仰ったんだ!長政様の許可はもう降りている!」
「わかった!長政様の許可が降りているのなら安心だね!」
「夕食が終わったら俺の部屋にこい!いいな!」
三成はそう言うと、少し顔を赤く染めながら部屋を出ていった。顔赤かった。風邪ひいたのかな? とそんなことを考えながら刀を磨き始めた。私は、三成が長政様に土下座をして、どうしても落ち込んでいる私を外へと連れ出し、気分転換をさせてやりたいと頼んだことを知らないのであった。
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