第2章~天才軍師ノ章~
一ノ巻~竹中半兵衛~
馬を走らせ、時には近くの甘味処で休憩をした。私、
大谷さん曰く、ここは私が知っている戦国時代ではなく、姫巫女という平安時代に災いを祓っていた不老不死の巫女が人間に裏切られ、愛していた者に処刑されてしまい、姫巫女は人間に絶望し、全ての人間を滅ぼそうとしている世界らしく、夜になると、私が襲われそうになったあの化け物が現れ、人間を殺している。その化け物を皆、「姫巫女の遣い」だと呼んでいる。
私は、姫巫女の生まれ変わりとして、浅井家に仕えることとなったのだが、主君である
甘味処で三色団子と茶を飲んで休んでいると、女性の格好をしたクセ毛の水色の髪をしている男性が、私に声をかけてきた。
「隣良い?」
「良いですよ!」
「ありがとう」
男性は、私の隣に座り甘味処のおかみさんに、みたらし団子と茶を頼んだ。一瞬、女性だと思ってしまうくらい小柄な体型で、声が中性な為間違えそうになるが、喉仏があるため男性だとわかる。
しばらくすると、男性の頼んだ物が届き、男性はみたらし団子を口に入れて美味しそうに食べた。私は、男性に話しかけた。
「あの……男性のかたですよね……?」
すると、男性は驚いた顔をした。
「何で分かった?」
「喉仏あるので、男性のかたなのかな~って」
「ちゃんと人のことを見ているんだね!嬉しいよ!」
男性は嬉しそうに、団子を食べた。
「僕はね、よく女性に間違われるんだ~男性の着物とか着ても合わなくてね……だから女性用の着物を着ているんだ!だからなのか、女性に間違われるんだ……嫌なんだけどね!」
「そうなんですか……」
「君は僕のことを男性だって言ってくれて嬉しいよ!僕は、
竹中半兵衛!? あの天才軍師!? 豊臣秀吉に仕え、黒田官兵衛と共に両兵衛と呼ばれていたあの!? 嘘……。でも、竹中半兵衛は身体が弱く、若く亡くなるんだよね……。どうにかならないのかな……?
「君は?」
「私は、月城莉菜です!」
「莉菜か~可愛いね!」
「あ、ありがとうございます……」
「莉菜はどこから着たの?」
「北近江からです」
実際は別の時代からなんだけどね……。大谷さんに本当のことを言ってはならないと注意されたから……。
「そうなんだ!僕は美濃に向かっているんだ~!莉菜も美濃に向かっているなら一緒に行こうよ!龍興様にその薬渡さないと行けないんでしょ?薬足りないからね~」
「い、良いんですか!」
「いいよ~!どうせ、道もあまり分かっていないでしょ?僕は龍興様に仕えている軍師だからね~ちょっと今日はサボってここに来たんだ~!」
「サボりなんですね……」
「たまにはサボらないと!疲れるし!近々、浅井と織田の同盟軍が攻めてくるみたいだし!」
あはは……。その浅井から送り込まされた私なんですけどね……。
「さて!腹も膨れたし!どうなの?一緒に行くの?」
「行きます!あと、しばらく斎藤家でお世話になります!私、薬師であちこち回っているので今回は美濃の斎藤家でお世話になって、戦が終わり次第、次の場所へと旅立ちますので!」
「りょーかい!よろしくね!莉菜!」
こうして、私はたまたまサボっていた竹中半兵衛と出会い、そのまま美濃に向かったのであった。
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