五ノ巻~石田三成~
次の日。
私、
そして、障子のドアから朝日差し強く射し込み、私は完全に目覚めた。平成時代から着ていたピンクのモコモコとした部屋着から、長政様の奥方であるお市様に巫女服を貰ったため、私はその巫女服に着替えた。お市様曰く、姫巫女の生まれ変わりならこの服が一番似合うらしい。
私は、初めての巫女服に苦戦していると、障子の向こうから、お市様の声が聞こえた。
「莉菜?起きてる?」
「お、お市様!起きています!」
「入るわよ」
お市様はそう言うと、スパーンと勢い良く障子を開けた。私は着替えている途中だったため、恥ずかしくて顔を赤く染めた。
「あら!良い体ね!」
「そっちかい!」
ついつい私は、お市様に突っ込んでしまった。お市様はクスクスと笑い「手伝ってあげる」と言ってくれた。
お市様が手伝ってくれたお陰で、五分もかからずに着替え終えることが出来た。お市様は、私の着替えを手伝った後、何処かへ行ってしまわれた。私は、城内を見てまわることにした。
城内は賑やかで、私が会う人たちはとても明るく、笑顔で挨拶をしてくれる。居心地が良い。
そんな風に思っていると、誰かが私の右肩に顔を乗せ、透き通った声で「御早う」と言ってきた。私は思わず、回し蹴りをするが、避けられてしまった。
その正体は、
「もう!びっくりするじゃないですか!!」
「ついな」
「大谷さん!!」
「すまない。それに莉菜。お前の回し蹴り、鍛練すれば良い武器になるぞ」
「えっ」
平成時代にいたころは、弓道、剣道、空手とか色々やっていたからそれのお陰なのかな?
「これから毎日鍛練してもらうから、良い戦力にはなりそうだな」
「頑張ります!」
私は、そう言うと大谷さんは、また頭を撫でてきた。石田さんもそうだったけど、何? 私の頭何かいるの……? 心配なんだけど……。
「ところで、お前は何をしていたんだ?」
「城内を歩いているだけですよ。覚えないと迷子になりそう……」
「俺もお供しよう。城内をだろうが危険は潜んでいる。お前を一人には出来ない。別に一緒でも構わないだろう?」
「はい!大谷さんナビゲートお願いします!」
「な、なびげいと?」
そうだった! 外国の言葉はまだこの時代の日本にはあまり知られてはいなかったな……。
「案内人と言うことです!」
「成る程、勉強になる」
私は、大谷さんに城内を案内してもらうことになった。厠、馬小屋、大谷さんの自室や高虎さんの自室、そして石田さんの自室も。 推しの部屋が見れて私感激!! そう心を踊らせていると、庭から石田さんと高虎さんの声が聞こえた。私と大谷さんはすぐに駆けつけると、喧嘩をしていた。
「三成!お前、莉菜の武器をそれにするのか!?」
「高虎、お前は馬鹿か?弓にすれば遠距離で相手を狙い、首を討ち取れやすいだろ?接近型の刀にすれば、女だからすぐに討ち取られる。それだと戦力外だ。それに、刀は女には持てない」
「ちょいと待って」
私は、石田さんの「女は刀が持てない」と言う発言にイラッとしたため、口を挟んだ。
「莉菜!」
「貴様か。なにか……」
「これだけ言わせてください。女だか刀が持てない?戦力外だ?馬鹿な話しあるか!元の時代で、実際に刀を持ったことあるし、普通に持てた!「女」と言うだけで馬鹿にすんなよ!!」
しゃべっちゃった……。推しにキレたの初めて……。殺される。そう思った私は、大谷さんに助けを求めると「良く言った」と言われた。いや、助けてよ~。
すると、石田さんが私にこう言ってきた。
「悪い」
と。私は思わずポカーンと立っていると、高虎さんに声をかけられた。
「莉菜?生きてるか?」
「生きてますよ……。石田さん」
「怒ってはいない。俺が悪かった。差別的な態度を取ってしまったこと許して欲しい」
推しに許して欲しいと頼またその時、私のなかで何かが目覚めようとしたが、そこはぐっと堪えた。
「私は大丈夫ですから。それより、私の武器選んでくれていたのでしょ?高虎さん、石田さん。忙しい中、ありがとうございます!」
「莉菜からお礼を……」
「いつでも相談しろ」
「はいっ!」
こうして、私は推しの石田三成と和解をし、武器を選ぶことになった。色々悩んだ末、私の武器は、「打刀」となったのであった。
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