第5話 吉凶入り乱れ!ツッパリ『凛』と真面目『凛』の日常!!(5)



「たく!普通のヤンキーならサボるとこだっつーの!凛はそこがわかってねぇーのな~!」


「え?だめですか、カンナさん・・・・?」



心配になって聞けば、大きくため息をつくヤンキーガール。



「まぁ・・・・・凛は普通じゃねぇのを、わかった上で、あたしもつるんでるわけだし・・・」


「カンナさん?」



そうつぶやいた彼女は、もう不機嫌な顔じゃなかった。



「あん!?何言ってんだ、カンナ!?まさか・・・・!?」


「う、うそだろう、カンナ!?」


「もしかして、カンナ・・・・!?」



動揺する円城寺君と悠斗君と秀君をちらっと見ると、視線を僕に向けながら言った。




「うちの総長が行くって言ってんなら、あたしらも合わせたやらなきゃダメだろう?」


「じゃあ、カンナさんも学校に行ってくれるのですね!?」


「そうしないと、凛のしょぼくれた面、見る羽目になるからな?」


「わぁーい♪ありがとうございます、カンナさん♪」


「おーおー、しっかり感謝しろ!つーか、凛!マジで変わりもんすぎるぞ、テメーは?」


「うん♪よく言われます。」


「なぁ~に、他人事みたいに言ってんだよ?あーあ、始業式から参加すんのは、小坊以来じゃねぇーかな?」


「ななななな、カンナぁ―!?テメー裏切るのかよっ!?」


「うっせぇ、大河!凛の方向性に合わせるだけだよ!」


「カンナが、カンナが、また一つりんどー色に染まって行くぅ・・・!!」


「誰が凛色だ、コラ!?寝ぼけるな、悠斗!」


「つーことは、俺らもシカトするわけにはいかねぇか・・・寝ようと思ってたのによ・・・」


「ガタガタいうな、秀!文句あるなら、龍星軍抜けていいんだぞ!?」


「誰もそこまで言ってねぇよ。・・・・『総長の指示』だもんな、大河?悠斗?」


「「くっ・・・・・・・!」」



カンナさんの言葉を受け、秀君が話をふれば、反対派の円城寺君と悠斗君がうつむく。




〔★総長の肩書発動、大河と悠斗を黙らせた★〕




反論が出なかったことでホッとする。



「どうやらみんな、学校へ行く気になってくれたようですね?よかった~!」


「よくねぇーよ!俺は『自主的』に行くとは言ってない!総長権限さえなけりゃなぁ~!!」


「そうだそうだ!カンナを惑わせやがって~!」


「誰が凛に惑わされてんだよ、悠斗!?戸惑うことはあるけどなボケ!!」


ゴン!


「痛っ!?カ、カンナぁ~!?」



カンナさんから、ツッコミにしては強めのコブシが悠斗君の頭部に入る。



「四の五の言わずに凛に付き合えや!一蓮托生、覚悟の上だろーが!?違うんか、悠斗!?」


「ち、違わねぇけどよ~」


「ふざけんなボケ!なにカンナに言いくるめられてんだよ!」


「大河っ!」



カンナさんに押されていた悠斗君を、円城寺君が援護する。



「いいか、俺らは龍星軍の看板背負ってるんだぞ!?ルール守って良い子ちゃんするような、中途半端なツッパリは、他の奴らにやらせてればいいんだよ!!そんなダセェことできるか!」


「ダサいのですか、円城寺君?」


「そんなこともわかんねぇーのか、凛道!?学生=勉強にこだわんな!ぬるいことしてっと、他の族に寝首かかれっぞ!気合い入れろ!!」


「ぬるいことをしてるつもりはありませんが、円城寺君のこだわりは・・・・・・・めんどくさいですね。」


「ケンカ買ってほしいんか、テメーはっ!?肝心なところでテメーは甘ちゃんなんだよ!!だからダメなんだろーが!?」


「ダメなんですか、円城寺君?」


「頭としてダメだろう!!?」



龍星軍への愛にあふれる男子の言葉。



「―――ということだって!瑞希お兄ちゃーん?」



円城寺君への返事に困った僕は、それを右から左へ、好きな人へと受け流した。



〔★漫才では、『流しボケ』ともいう★〕



「ぶっ!はははは!ダメなことねぇーぜ?いいんじゃねぇーのぉ~学校に行くの?」


「「えっ!?」」



僕の問いに爆笑する瑞希お兄ちゃんと、そんな初代龍星軍総長の言葉に固まる円城寺君と悠斗君。



「み、瑞希先輩!?」


「マジすか真田先輩!?」


「はっはっはっ!学校って言っても、今日は始業式だけだろう?」



楽しそうに言うと、円城寺君達を見ながら瑞希お兄ちゃんはしゃべる。





「宿題出して、適当に先公の話を体育館で聞いて、帰ってくるだけの簡単なことじゃねぇか?どこが嫌なんだよ、おめーら?」


「そうっすけど、瑞希先輩!ツッパリで、族の俺らが―――――――!!」


「そろって初日に登校っていうのは、メンツが―――――――!!」


「つーか、俺らも普通に夏休み明けの始業式に行ってたわ。」


「「マジすか!!?」」



あっけらかんという瑞希お兄ちゃんに、なぜか衝撃を受けてる円城寺君と悠斗君。




〔★男子2人が思ってたと違ったらしい★〕




「あんまり『龍星軍名乗ってる』から~って、気張りすぎんなや。まぁ、オメーらの気が進まないなら無理やり行かすのもどうかと思うぜ~なぁ凛?」


「・・・そうですね。」


(授業があるわけでもないので、勉強内容に遅れが発生することもないし・・・)


「瑞希お兄ちゃんがそこまでおっしゃるなら、各自の自由にします。」


「そーしろ。つーことで、初っ端から学校に――――――」


「―――――――――行きますっ!!」


「大河!?」



瑞希お兄ちゃんの声にかばるように円城寺君が大声で叫ぶ。



「考えてみれば、瑞希先輩の言う通りっすよね!?」


「ちょ、大河!?オメー!?真田先輩が行ってたって聞いて、意見変えやがったな!?」


「あん?半日、体育館と教室にいて、先公の前で黙ってるだけだぞ?サボんなよ、悠斗!」


「それ全部、真田先輩が言ったことだろうが!?このオウム野郎ー!!」


「さすが、円城寺君!瑞希お兄ちゃんへのリスペクトが完璧ですね!?」


「へっ!オメーにばっかり、良いとことられちゃ叶わねぇからな?」


「それならば、ぼくも負けてられませんね!頑張ります!」


「上等。いつでもかかってこい!」


「うんうん。凛も大河も、仲良くなってきたよな~よかった、よかった!」


「騙されないで真田先輩!?まやかしっすよ!?」



〔★瑞希による臨時和平が成立した★〕






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