第6話 吉凶入り乱れ!ツッパリ『凛』と真面目『凛』の日常!!(6)



「大河の裏切り者!夏休み明けの初日なんぞ、小坊じゃねぇのによぉ!!」


「うるせぇ!爆裂弾兼龍星軍の俺らも行くぞ!こいつは、爆裂団の頭の指示でもある!悠斗テメー、それでも聞けねぇってゆーのかぁ・・・!?」


「大河この野郎~!真田先輩がからむと、堂々と手のひら返ししやがって!!中坊の時なんか、オールでバックレたのにっ!」


「あーもー!つべこべ言うな、悠斗!あたしらも行くんだからいいだろう!?まだ文句言うのか!?」


「く・・・・わ、わかったよ・・・!」


「聞いたか、凛?龍星軍、全員参加だからな?これでいいか?」


「もちろんです!ありがとうございます!」



こうして、仲間全員が真面目に学校へ行くことが決まった。



「ハハハハハ!マジで、凛は面白いなぁ~!?」



ホッとする私を見て瑞希お兄ちゃんが笑う。



「え~そうですか?」



怒ってる顔よりは、何百倍も良いので笑顔で答える。



「そうだぞ~?もう行くんだよな?朝飯弁当に詰めてるから、持って帰れよ。」


「えっ!?いいんですかぁ~!?ありがとうございます~!」


「当然だろう?ガレージまでついて行ってやるよ。」


「やった~!ありがとうございまーす!」


「調子良い奴。」


「えへへへ!」



呆れた顔をしつつも、再び僕の頭を撫でてくれる瑞希お兄ちゃん。


その手が僕から離れた時、並んでガレージへと向かって歩き出す。



(嬉しい~!瑞希お兄ちゃんとのツーショット♪)



幸せへと歩き出したと思ったが、実際はそう上手くはいかない。



「やれやれ・・・真田先輩ばっかに面倒はかけられねぇーわ!あたしも途中まで見送ってやるよ。」


「え!?」



お兄ちゃんと2人っきりと思ったら、面倒見のいいカンナさんが親切をしてくれた。



(余計なことをぉ~~~~!!)



そう思ったけど、相手に悪気がないのはわかっているので社交辞令は返さなくてはならない。



「あ・・・・ありがとうございます、カンナさん。」


「あん!?凛、なんだよその面は!?不服そうじゃねぇーか!?」


「い、いいえ!そんなことはありませんよぉ~」



思わずそうです!!と言いそうになったけど、我慢!!


(本当は不服だけど・・・あーあ。)




〔★凛的には、ありがた迷惑だ★〕




「そんなに『兄貴と2人』だけが良かったのかよ、ブラコン!?」


「痛っ!?ちょっとカンナさ~ん??」



頬をふくらませながら僕を小突くと、そのまま僕の腕に自分の上を絡めるカンナさん。


それを反対怒鳴りで見ていた瑞希お兄ちゃんが、ニヤニヤしながら僕に小声でささやく。



「よかったなぁ~凛!高千穂がついてきてくれて?」


「その顔、やめてもらえませんか・・・!?」


「照れるなよぉ~!」



僕とカンナさんが恋仲だと勘違いしてる瑞希お兄ちゃんからの冷やかしは、かなりつらい。



「カンナっちだけズルい系~!俺も俺も!」



そこへ更なるカオスが追加される。



「俺もリンリン、お見送りしたげる系~」


「え!?」


「俺もお供します!凛さん!!」


「えっ!?」


「光である我が君に、影のように寄り添う、オ・レ♪」


「ええっ!?ちょっと!?」


「カンナが行くなら俺もだ!」


「ちょ!?」


「大河どうする?」


「・・・瑞希先輩が行くから行くわ、ボケ・・・・!」


「え~・・・!?」



あっという間に、パズドラのドロップのように増えていく。



(じゃ、邪魔者が増えた!!)



ゲームのように、移動させたり、3つそろえば消せないところが残念だ。



〔★ほぼ、全員ついてきた★〕



こうして、ぞろぞろとみんなで固まってガレージに向かう。



「そういや、凛はどこの高校なんだ?」


「え?」



思い出したようなそぶりでカンナさんが聞いてきた。



「凛、中坊じゃないんだろう?そうなると、第一中学じゃない。高校なら、どこの学校に行ってんだよ?」


「え!?そ、それは・・・」


「凛はこの夏で、さらに有名になったからなぁ~送り迎えぐらいしてやるから教えろよ?」



「そ・・・・」


それは出来ない。



てか、どこの高校に行ってるかなんて、絶対に話せない。



「お、お気持ち気だけで十分ですよ~!」



笑ってごまかす。



(『100%、凛道蓮の学校をカンナさんが発見することはできい』と確信は持てるけど――――!!)



それでもヒントは出せない。


バラすわけにはいかない。




(私の恋路がピンチになる!!)




〔★今まさにピンチだ★〕





話題を変えようと頑張るが、そんなことを知らないカンナさんは甲斐甲斐しく言ってくる。



「はあ?なに水くせぇこと言ってんだよ。遠慮すんな、凛!」


「高千穂の言う通りですよ、凛さん。何なら俺がお迎えに上がりますから。どちらの高校です?」


「ウェイウェイウェイ!それなら俺が送迎する系~!あれ?でも俺、リンリンの学校俺も知らないなぁ~??教えてぇ~リンリン♪」


「言えよ、りんどー!カンナに送り迎えって、いいご身分じゃんか・・・!?今度は俺らがお前の学校に乗り込んでやる!校門でたむろしてやるから!」


「悠斗、それはただの嫌がらせだ。つーか、関山なら知ってるんじゃねぇか?どうなんだ?」


「良い質問ですね、吾妻殿。俺も気になってたんですよ。我が君の学校情報、探しても見つからなかったので♪」


「・・・。」


それは見つからないと思う。



(むしろ、見つからないようにしてるから・・・)



返事に困って固まっていたら、腕を組んでるカンナさんにつつかれる。



「マジかよ、凛!?忍者も知らねぇーとか、どんだけ慎重なんだよオメーは?」


「いや、あの・・・」


「わが君~あなたの通う学校はどこですかぁ~?俺にだけは教えてくださーい♪」


「えーと~」


「はあ!?なに自分だけ、リンリンの情報独占しようとしてんだよ!?リンリン、教えるなら、ちーちゃんだけだよねぇ~!?」


「ええーと~」


「やめろテメーら!凛さんが言わないのには、なにか理由があるからだろう!?」


「可児君!」



ヒートアップするのを止めてくれたのは、落ち着きのあるお寺の息子さん。







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