第3話 吉凶入り乱れ!ツッパリ『凛』と真面目『凛』の日常!!(3)




「吾妻、凛から聞いてるぜ。今夜の集会で、単車がイカレたって?直せたんか?」


「ウッス!おかげさまで直せました。ご心配おかけしました!」



瑞希お兄ちゃんの問いに会釈する秀君。


しかし僕には、それよりも気になることがあったので聞いた。



「秀君、『俺達』って??僕と円城寺君と秀君なので、3つではないのですか??」


「凛君の疑問、正解な。4は、直った単車を磨いてる、うちの隊長の分だ。」


「なるほど!」



ちなみに秀君は、特攻隊長補佐をしている。



「それなら、数が合いますね!一緒に頼んであげるなんて、優しいです♪」


「ははは!ありがとな、凛君。」



穏やかな口調の秀君のおかげで、疑問が解決する。


興奮も少し落ち着いた。


そんな僕の前で秀君は語る。



「あの特隊(特攻隊長)にも、凛君ぐらいのしっかりさがあればなー・・・つまんねぇ単車の修理もしなかったのによ・・・。」


「そんなことないです、持ち上げすぎですよ!僕がしっかり指示を出していれば、秀君たちのバイクはあんなことにはなりませんでした!すみません・・・!」


「いやいや!凛君が謝ることないって。特攻隊長が乱暴にしたから、単車のネジがゆるんだわけだし。」


「ですが、お礼は言わせて下さい。特攻隊長の丹社の修理まで、君が手を貸してくれたこと、感謝してます。ありがとうございます。」


「まいったな~お礼言われるのもなー」


「けっ!つくづくお人よしだぜ!」


「円城寺君。」


「凛道が連れてきただけあって、迷惑な野郎だぜ!」


「よせよ、大河。凛君に当たるなよ。」


「いえ、それは構いません。ただし、僕が連れてきたは間違いです。ついてきたが正しいです。」


「似たようなもんだろうがっ!?」


「味噌とウンコは違うでしょう?」


「があー!!ああいえばこう言い、こういえばああ言い!!」


「そこはきっちり白黒つけないとだめです。」





〔★凛はどうでもいいことで、細かかった★〕






「大河、ほえるのはそこまでにしろ。つーか、凛!そんなに派手な単車の接触したのか?」



もだえる円城寺君をなだめながら、瑞希お兄ちゃんが僕に聞いてきた。



「えーと・・・そうですね・・・派手と言えば、派手ですが・・・」



なので、瑞希お兄ちゃんの問いに、できる限りありのままに答えた。




「パトカーに体当たりして、他のチームの特攻部隊を蹴散らして、ウィリーしながら刃物を持った半グレを小突いて、奪った他の族の旗を車輪に巻き込んだまま暴走して、居眠り運転の車の運転手を体当たりで起こして、それだけは出にやったので、ここに帰ってきた時に、単車のどこが壊れているか確認する際に、謝って車輪のネジを1本自分で破壊してしまったために、修理が必要な状態になってしまったのですよ・・・」


「自業自得かよ!?てか、そんだけ暴れてネジ1本の損害なのか!?」


「不思議ですよね~」




〔★ヤマトのバイクも強かった★〕



「てか、居眠り運転手はどうなった!?無事なのか!?」


「はい。事故る前に気がついて、停止する手助けをしたところで警察が来ましたので、後を任せて集会に戻りました。」


「マジかよ!?よくパクられなかったな!?」


「それが・・・居眠りではなく、何らかの病気で気を失ったらしいとつなぐがいいまして・・・近くにあった救急措置の機械・・・名前忘れましたけど、それで治療して救急車も呼んだんですよ。」


「マジかよ!?関山、医療知識まであんのか!?つーか、迷惑かけつつ、人命救助するとか、お前らの集会、ちょっと普通じゃねぇーぞ!?」


「奇遇ですね。僕も、今夜の集会は変わってると思いました。」


「ほのぼの言うなよ!?常識で考えろ!わかるだろう!?」


「わかりません。」


「はあ!?」


「僕、新米ヤンキーなので、まだヤンキー世界の常識を把握しきれていません。」


「そうだった!!わかんねぇーのもだし、オメーはそういう子だった!!となると、そうなるわな・・・!!」




〔★凜のつぶやき、瑞希は納得した★〕





僕の説明に、瑞希お兄ちゃんが大きくため息をつく。


それで不安になったので聞いた。



「あの・・・やっぱり僕、総長としておかしいですか?」


「・・・おかしいと思うのかよ?」



怪訝(けげん)そうな表情で聞き返され、正直に答える。



「警察官としておかしいバラさんが、『おかしい!おかしい!』と連呼してきましたので。」


「ぷっ!ははははっ!」



それで瑞希お兄ちゃんは大爆笑。



「そっか、そっか~・・・・・で?凜としては、間違ったことをしたと思ってるのか?」


「え?えーと・・・他の族ともめるのは承知の上です。警察をまくのも反抗期で、すさんだ未成年らしい振る舞いです。人身事故を防いだという点は、自身を持って良いことをしたと思います。つなぐだけじゃなく、円城寺君と秀君と、他のみんなで連携して、地域の方々と協力できましたので。」


「・・・地域の方々と協力って・・・走りより、喧嘩中心にした方がいいかもな・・・」


「え?」


「まあ、凛の好きなようにしろ。とりあえず、人命救助はよくやった!」



そう言って笑うと、僕の頭をナデナデしてくれる好きな人。



「あ・・・えへへ・・・そんな・・・」


「ちょ、瑞希先輩!?」



嬉しくて照れたら、円城寺君が素早く反応した。



「凛道だけズルくないすか!?」


「なによ大河、オメーも先輩に頭ナデナデしてほしいのかよ?」


「はあ!?な!?お、俺はそんな・・・!!」


「ハハハ!大河はそんながらじゃねぇのは俺も知ってるよ!」


「えっ!?」



明るい顔で言う瑞希お兄ちゃんに、円城寺金の表情が凍り付く。


お兄ちゃん多分・・・円城寺君も撫でてほしいと思ってますよ?



(僕へのナデナデが減ると困るので、言いませんけど・・・)




〔★凛は自分の独占欲を優先した★〕






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