第4話 バカな男子達と恋話
とある昼休み
「なぁ~なんか面白い話ないか?お前ら」
「はぁ?そんなの自分で考えろよ!野口」
「えー!俺!最近面白い話があるんだけど喋って良いか?」
「なんだ、お前の話なんて不安しかないぞ。樋口」
「大丈夫だって!だってお前らにも絶対に参加できる話だから安心しろ。」
「なんか不安しかないんだが…なんだ?言って見ろ。」
「それはな…恋話だ!!」
「え…」
「はぁ?」
「お前らにとっておきの話があるんだよ!」
「樋口、お前がそんなに自信満々だと不安しかないんだが…」
「同じく」
「お前らは俺を何だと思ってるんだ!!」
「考えなし」
「馬鹿」
「お前らの俺に対する扱い酷くねぇ!?」
「だってお前いつも衝動で喋ってるしな。お前もそう思うよな?野口」
「まぁ、確かに…福沢の言う通りだ。」
「マジか・・・!?」
「で、話したいんだろ?話してみろよ試しに樋口」
「おぉ~福沢…やっぱり持つべきものは友達ってよく言ったもんだな~」
「この前な!俺、一人で学校から帰ってた時の話なんだけどよぉ~多分同じ制服着てるから同じ高校だと思うんだけど全然知らない女子が居たんだよ。それでよぉ初めて見たはずなのになぜかその子に俺、惹かれたんだよ。」
「お、樋口の割に一目ぼれとはピュアな事してんじゃん。」
「それで、思い切ってその子に声を掛けてみたんだよ。」
「お前、結構積極的な事してんじゃん!それでどうなったんだよ」
「それでな、その子が俺の呼びかけで立ち止まってくれたんだよ。それで振り返ったんだよ。そしたら…」
「そしたら!」
「なんとその子は…俺のねぇちゃんだったんだよ!!」
「はぁ??」
「いや、なんでそんな事になってるんだよ!」
「それがな、俺も気になって聞いたんだよなんで高校卒業して二年も経ってるのにそんな恰好してるんだよって」
「お前結構、辛辣に聞くな。それで?」
「それでねぇちゃんがよ。言ったんだよ。この格好して歩き回って現実逃避がしたいって」
「なんでそんな思考になったんだよお前のねぇちゃん」
「それがねぇちゃん半年くらい付き合った彼氏が居たんだけど浮気されてそれで災厄な別れ方をしたばかりらしい~」
「てか重いわ!っていうかこれ恋話じゃなくて失恋話じゃねぇか!」
「確かにな。でもよく考えて見ろ福沢。」
「確かに野口の言う通りだ。樋口にしては上出来だなぁ」
「いや~そんなに褒めるなよ。お前ら~」
「いや、褒めてはねぇ!」
「同じく」
「なんだと…!?」
「全くよぉ~誰か丁度いい恋話を持ってる奴は…ってあ、福沢!お前がまずはしてみろよ」
「俺かよ…」
「だってそうだろ三次元の彼女持ちなんてこの中ではお前しかいないんだから」
「しょうがないか…この話に収拾をつける為だ。話そう。」
「うむ。それで良いのだ。俺と俺の嫁との仲睦まじい話は俺と俺の嫁との二人だけの秘密だからな!!」
「おい、野口。またオタクが出てるぞ」
「ふぅ~そうか、それより、本当の恋話を樋口に教えてやれ野口。」
「分かったよ。じゃあ話すぞ。良く聞いとけよ。特に樋口は!あれは…ついこの前の話なんだが俺の彼女が家に遊びに来てな。今日は親が帰って来るのが遅いんだって言ったら彼女がご飯作ってくれたって事が最近あったな。」
「なんだそのラブコメのテンプレみたいな出来事は⁉」
「それの何が恋話なんだ?」
「マジで言ってんのか!?樋口…そんなの常識だろ!なんでわかんねぇんだ!」
「な、なんでお前そんなに熱くなってるんだよ野口…」
「いや、いくらお前がバカだと言ってもこれくらいも知らないとは思わなかったからな。」
「えぇ~俺がおかしいのか?福沢」
「いや、この話に関してはお前は悪く無いと思うぞ樋口。」
「福沢!ありがとう~」
「おい、その馬鹿を甘やかすなよ!福沢」
「だってな。お前達からしたらそうなのかもしれないが強要は良くないだろ?」
「まぁ、そう言われるとそうだな。ごめんな樋口」
「お、おう!」
「とりあえず俺達には恋話にならないって事だな。」
「難しいんだな。恋バナって」
「俺は、二次元の彼女達の事はいくらでも語れるがな。例えば!この前…」
「はいはい。とりあえずもういいからとりあえず黙ろうな。野口」
とこの調子で話の軸がズレて行き、昼休みは終わり、恋バナの流れは完全になかった事になったのであった。
続
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