第3話 三バカとトイレ事情
トイレ。
それは、生理現象を済ます為のスペースである。
だが近年、そのスペースを本来の目的以外にも使う人が増えている。
そしてここに変わったトイレの使い方をしている男が居た。
「やっぱり、トイレは落ち着くなぁ~」
と言いつつトイレの中で今日の晩御飯の献立を考えながらヘッドホンでデスメタルバンドの曲を流しながら過ごしている男子生徒が居た。
「学校生活で一番落ち着いてリラックスできる瞬間…」
とその時間を満喫しているとうるさめの話声がトイレに入って来た。
「全く、話もしたけどトイレも行きたいから付き合えって無茶苦茶だぞ樋口」
「いや、まぁ、俺もトイレ済ませたかったから俺はそんなに気にしてないぞそんな向きになるなよ。福沢」
「お前は、柔軟性が凄すぎるんだよ野口」
「お前らはいつも俺に付き合ってくれて本当良い奴らだよなぁ~あぁ~スッキリしたぁ~」
「あのな、そいう事言う時はせめて出し終えてから言ってくれ…樋口」
「なんだよそんな固い事、言うなよ福沢。お前って本当彼女の事意外だと堅物だよな~ていうかさぁ!俺そもそもトイレしに来たんだからよくね?」
「あぁ~はいはい。そんな決め顔で言う事じゃないぞ樋口」
「もういい…お前に一般的な感覚を悟らせようとした俺が悪かった…」
「なんかよくわからんけどもういいのか!ならよし!」
その時、個室トイレが勢いよく開き
「あぁ~もう!さっきからデカい声でそんなしょうもない話で俺の憩いの時間の邪魔するなぁああああああ!!」
とイライラが募りすぎて思わず、ブチギレながら個室の扉を勢い良く開け、出て行った浩平。
「うわぁー!?ビックリしたぁ…誰だお前!」
「は?同じクラスの松原浩平だ!お前ら馬鹿三人組はいつも授業妨害や先生に注意されてるから知ってるから名乗らなくていい!」
「えぇー!?俺らってそんな有名人?なんだか照れるなぁ~」
「照れてんじゃねぇー!!」
「そうだぞ。こいつは本気で俺達を知ってるんだ。俺らはこいつ知らんけどな。だろ?野口」
「あぁ~こんな明らかな陰キャは俺は知らん!!」
「それ、お前も人の事言えないがな!!」
「まぁまぁ、そんなに怒らないで落ち着いて話しようぜ!なぁ!こうだいくん」
「地味に人の名前間違えてんじゃねぇよ!!惚気野郎!!」
「落ち着けってなぁ?俺達が騒がしくしてたなら悪かったからさ」
「はぁはぁ…そうだな。なんだか疲れたしとりあえず、お前らに本気で怒った俺がバカだったからどっか行けよ」
「なぁ、お前悪夢みたいな音楽聞くの好きなんだな変わってんなぁ~」
「っておい!何やってんだよ!この馬鹿!」
「おいおい、せっかく落ち着いてくれたのにちょっかいかけるなよ樋口!」
「だってなんかヘッドホンから聞こえてきたからよ。気になってさぁ~」
「とりあえず、次の授業が始まるから行くぞ野口、樋口あ、こうだいくんも急いだ方が良いよ!」
「え…ってまた人の名前間違えてんじゃねぇ!!」
と少し時は流れて浩平は次の授業で使う道具を持って教室へ移動する。
(全く何なんだアイツら、俺の邪魔しやがって放課後こそは!トイレで満喫するぞ!俺の邪魔は流石に放課後はしないだろ。早く授業終わらねぇかなぁ~)
とか思いながら残りの授業を受け終え、時は放課後
「あぁ~やっぱりトイレが憩いの場だぁ~落ち着くなぁ~今日も一日頑張ったなぁ~俺も。本当トイレでこの時間過ごさないと帰れないわ~後、十分したら帰ろう。」
とトイレを浩平が満喫しているどこかで聞いた事のあるザワザワ響く声がした。
「うぇ~最後の授業の前に飲み物飲み過ぎた~トイレ~トイレ~」
「だからそんなに飲んだら後が大変だって言ったのに樋口は聞かないから」
「だってよぉ~凄く喉が渇いたからよ~」
「まぁ授業前に演劇みたいな声量で謎の演技やってればそうなるだろ」
「そんな冷たい事言うなよ~野口。あっもう無理出すわ!」
「お前いつも急なんだよ!!」
「ふぅ~スッキリしたぁ~あっ!てかさ、今日の最後の授業のなんて先生のさ桂ズレてて強風で飛ばされて慌ててたのマジで面白かったよなぁ~」
「あれはな、地毛って本人は強がってるけど明らかにズレてるのがなw」
「それな!面白いよなぁ!」
扉の前でイライラしている浩平。
「あいつら…さっきも言ったのに。」
我慢出来ず、扉をぶち開けて
「お、ま、え、ら…!いい加減しろ!!」
「うわぁー!?急になんだ!?」
と三人はビックリして声を漏らす。
「さっきも言ったよな…邪魔するなって?」
「そんな事言ってたっけ?」
「このバカ野郎共がぁぁぁぁあああ!!!」
と当事者達は原因も分からず、怒られ自覚をしないままこの後一時間近く浩平に怒られ続けたという。
続
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