第26話 2人目の練習生、俺の名は轟ぐるん。

才優雅は学校に行っても何も言われることはなかった。

それよりも知らない男の子が声をかけて来た。

彼の名前は轟ぐるん君だった。

彼は言った。

『なあ、俺も君の事務所で練習生したいんだけど、なれるかな?』

『オーディションに合格したらなれるんじゃないかな』

彼は運動神経抜群で何をやっても爽やかイケメンにしかなれないやつだった。

だから、正直言うと彼はきっと練習生になれるはずだと思っていたらやっぱりそうだった。

彼はいつの間にか2人目の練習生としてブルージーニアスさんに紹介されてた。

『轟ぐるん(とどろきぐるん)です。才とは同じクラスだけど、話したことはなくてまさかこんな大きな事務所の練習生してるとは思いませんでした。ぐるんはちなみに本名です。父が狼のようにグルルッと勇ましくかっこいい大人になれるようにと『ぐるん』という名前にしたそうです。これから、頑張るので宜しくお願いします』

無二は才くんには見せなかった笑顔で迎えるように言った。

『気に入った。私も同じような感じで付けられた名前だから、お互い頑張ろう。宜しくね、ぐるん』

無二さんのそんな笑顔に僕はとても嫉妬してしまった。

僕だって、僕だって君よりも頑張っているはずなのに何で僕より優遇されているんだ。

どうしようもなく胸が苦しくなった。

僕はその場にいる事が辛くて、誰にも見つからないように空いている部屋の端で1人ひっそりと次の課題に向けてマイクパフォーマンスの練習を動画を見ながら練習していた。

練習が1番僕にとって苦しさを紛らわせる魔法だったような気がする。

これから、もしかしたら轟ぐるんと練習生生活をして行くと思うと焦りが勝って、僕は本来の自分を保てるのか不安になってしまった。

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