第25話 ブルージーニアスのドキュメンタリー
ブルージーニアスはデビューして1年経つ頃に、テレビ局の人がブルージーニアスの誕生から日本中を席巻したところまでを動画にしてテレビで放送したいと言ってきた。
事務所はまだ早いと断ったらしい。
でも、テレビ局の人は諦めきれず、もう一度お願いして私たちの1年間の密着ドキュメンタリーが始まった。
その始まりは事務所の一言から始まった。
『もっと誰かに知ってもらえるグループを国光無二を中心にして、始めたい』
そして、国光無二、黒羽花鈴、ラビットボーイ、そして新メンバーの真野アズが来るまでの話がドキュメンタリーには映っていた。
初のライブから東京ドームでのライブの様子までそこには映っていた。
そして、ラビットボーイのクリエイターズ卒業も出ていたし、問題だらけの元練習生ハタくんがモザイク入れて映っていた。
そして、一生懸命な練習生の才優雅くんも顔出しで出ていた。
本当に全部出ていた。
ここまで、テレビが入って良いのかってくらい出ていた。
出来上がったドキュメンタリーを僕らは見た時にすごいの一言だった。
だから、余計に無二は心配になり言った。
『こんなに赤裸々に作って大丈夫ですかね。逆に見た人全員引きませんか?』
テレビ局のプロデューサーは右手をグッドボタンのようにして言った。
『心配しないで、君たちにはプラスにしかならないから』
そして、テレビ局のOJ-tokyoの夜7時から9時までの時間に『ブルージーニアス誕生秘話-今そしてこれからの僕ら-』が放送した。
事務所のYouTubeでも配信した。
結果は思ってもいないことが起きた。
それは、視聴率が25.5%でまあまあなことと事務所の練習生にいなければいけないトレーナーがいない事への批判だった。
ブルージーニアスというトップスターがいるのにその人たちに練習生を任すなんて、なんておかしな事務所だと事務所に非難が殺到したのだ。
ブルージーニアスはやっぱり事務所事情をテレビで伝えるべきではないのに、馬鹿だなと思った。
ただこんな意見も多数あった。
『ブルージーニアスの次のグループ楽しみです。才優雅くん、彼にはデビューしてほしい』
『才優雅くん、15歳。将来有望ですね。そういう子を見つけるのだけは、事務所上手いですね』
そんな意見に才優雅、頑張れよと無二は思ったのだった。
そんな優雅は初めてブルージーニアスのドキュメンタリーを見て、モザイクがかかっていた元練習生の名前を見て仰天したのだった。
彼とは面識はないが、彼は同じ学校の後輩で周りからチヤホヤされていたのを思い出した。
彼はブルージーニアスの事務所の練習生になったけど、なぜか怒られて辞めたと話していた。
そのなぜかについて彼は語らなかったけど、こういうことかと初めて理解出来た。
学校でも反省している様子はなかったし、なんだかブルージーニアスさんの皆さんには申し訳ないなと思った。
でも、明日学校に行ったら僕はその元練習生の彼になんて言われるんだろうと思うと、ドキドキだった。
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