第24話 初めての評価日は緊張した。

ついに可愛さで殻を破る評価会が始まった。

練習生は才優雅くん1人しかいないが、彼は練習室にいる国光無二とラビットボーイの2人に自分を見せなければいけないと思うと怖かった。

彼は扉の前で足が震えた。

その様子を見て、扉の前に立つ優雅に向かってアズが声をかけた。

『大丈夫...じゃなさそうだね。でも、大丈夫だよ。緊張した時はわたし流なんだけど左手を銃の形にして例えば扉に向かって撃つ真似をするの。今から私は彼らの心を撃ち抜く表現をするんだって強く思うの。そうするとね、何となく自分の表現に自信が持てるんだよ。やってみて』

彼は左手で銃の真似をして扉めがけて撃った。

すると、なんだか彼は力が抜けた気がした。

彼はアズに言った。

『先輩、僕行ってきます』

『行ってらっしゃい』

そして、僕は練習室で披露した可愛さMAXで殻を破るダンスとして選んだ曲がクリエイターズの『ズッキュン甘い君に贈る愛』だった。

この曲はクリエイターズのみんなが踊るのも嫌がる曲だった。

彼は曲が始まるとダンスが始まった。

彼の目は国光無二やラビットボーイに愛を振り撒くように笑って回り踊りだした。

ダンスの中にハートや可愛さを取り入れたダンスをした。

そしてダンスが終わって、優雅は深々とお辞儀をした。

ラビットボーイは拍手をして言った。

『すごいじゃん。殻を破れてると思うよ。ねえ、無二もそう思うよね。1日で創作ダンスにこの曲選ぶなんて勇気いるよね。すごいよ、本当に。えっ!もしかして、無二は殻を破れてるって思わないの?』

無二の表情はなんとも言えない顔をしていた。

『私は、この曲のおかげでしかないと思う。可愛さで殻を破れとは言ったけど、曲を可愛さまみれにしろとは言ってないよ。でも、私は正直あなたのダンスには驚いた。殻は破れたと思う。でも、大切なことが足りない気がする。大袈裟な程に可愛くする必要は無いと思うよ。でも、合格だよ。次の課題はラビットボーイに聞いて』

『えっ!?僕ですか。そうだな、僕はちなみに俳優してるんだけど、優雅には敵わないよ。だって、劇団氷山にいたんでしょ。だから、僕からの課題はマイクを通してどれだけ歌を表現出来るかかな。練習期間は1日とは言わないよ。僕らも仕事があるから、5日後でいいかな』

『はい、それで課題曲は何ですか?』

『そうだそうだ。課題曲は僕らの曲の『水の中』でいいかな』

『分かりました。では、また5日後よろしくお願いします』

そして、初めての評価会は終わった。

終わった後の優雅の顔は終わって良かったのか少し泣いていた。

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