第21話 ラビットボーイの決断がいい方向に行きますように

『タンタンタッタッタッで回ってピース。意外と振り付け簡単だね』

さらっとダンスが簡単だねと言うラビットボーイはある意味天才なのかもしれない。

それに対して、そうだねと国光無二も言っている姿を黒羽花鈴と真野アズは真顔でガン見していた。

その顔を見て、ラビットボーイは2人に謝った。

『ごめん、僕ってさキャラ的にも天才肌だし分かってないことばかり言うそんな奴だから許して』

2人は声を合わせて言った。

『『許しません』』

そんなコントみたいなことをしていたら、マネージャーが急に練習室に入ってきた。

これはどうでもいい話だけど、最近事務所がデカくなり、練習室がパワーアップして、全員で練習も出来るし個人で練習出来る所も出来た。

1番変わったのはマネージャーさんが1人から2人になったことかな。ちなみにマネージャーさんの名前は覚えてません。

それから、事務所が変わっただけでなくブルージーニアスのそれぞれの個人の諸事情も変わった。

まず、黒羽花鈴は今契約している事務所を辞めて、国光無二の事務所に入った。

国光無二はダンスと歌を真剣にやりたいということで、朝番組のコーナーを真野アズにバトンを渡した。

ラビットボーイはクリエイターズというグループとブルージーニアスに兼任していたが、自分の求めるグループのカタチと自分の個性を発揮できるのがどちらかと考えた時にダントツでブルージーニアスだった為、彼はクリエイターズのメンバーと話し合い卒業というカタチでクリエイターズを去った。

彼は3月3日のみみの日に卒業公演を行った。

彼はクリエイターズとして最後の挨拶をした。

『WE are クリエイター。ラビットボーイです。みんなとっても大好きでした。僕がいなくなったら他の9人全員みんな悲しむのは分かっていたけど...(ラビットボーイから涙がこぼれ落ちる)』

それを見ていたお客さんが大きな声で叫んだ。

『泣かないで』

『あなたが存在しているだけで、嬉しい』

『推しはいつまでもラビットくんだけだよ』

様々な声に後押しされて、ラビットボーイは言葉を続けた。

『僕は他の9人のメンバーがいたから、ここまで頑張れました。お客様にはいつまでも幸せでハッピーになっていて欲しいんです。クリエイターズとしてのラビットボーイはこれで最後になりますが、これからのブルージーニアスでの僕の活躍に期待してて下さい。絶対に僕はもっと素晴らしい姿を見せるので、いつまでも僕のファンでいて下さい。本当に今日はありがとうございました。最後の曲は、10人で『行くぜ!僕らの世界征服』です』

10人それぞれが後ろを向き右手で拳を作り天高く突き上げて、音楽が始まるとラビットボーイがお客さんの方を向き歌い始めた。

『足音は僕らの方が大きいね』

そして他のメンバーが歌った。

『誰かが僕らを馬鹿にする。そんなの無視無視無視だ。だって、僕らはヒーロー寄りの戦隊モノだからさ』

そして曲の終盤になり、メンバーの1人がラビットボーイをお姫様抱っこして言った。

『ラビットボーイと僕らはいつまでも一緒さ』

最後はピンク色のペンライトをお客様が振り、ピンク色の桜吹雪が舞った。

晴れてラビットボーイはクリエイターズを卒業して、クリエイター事務所を辞めて国光無二の事務所に入ったのだ。

そして、新メンバーの真野アズは朝番組のコーナーを担当することになったのだが、国光無二とは違う持ち味で人気だった。

なぜなら、国光無二は笑顔って感じで少し鈍臭い感じのキャラだったが、真野アズはセリフは棒読みしかも生中継で笑うこともなく、芸人さんが場を和ませようとアズを笑わそうとしても、アズは笑いもせずただ無言を貫くこともあった。そのため、放送事故多発が何回もあった。マネージャーもヒヤヒヤだった。

でも、視聴者にはそれが受けていた。

#真野アズ今日も笑わずがランクインするくらい人気だった。

真野アズのそのキャラがブルージーニアスをもっと人気にさせていた。

なぜなら、YouTubeでのメンバーとの会話では普通に笑っていたからだった。

真野アズ=不思議ちゃんとして確立していったのだった。

こんな感じでブルージーニアスの最近の諸事情は色々あった。

話は戻すが、練習室に入ってきたのは1人の少年だった。

だいたい年齢的には14歳くらいかな。

マネージャーは言った。

『彼は有望株のハタくん。実は事務所をデカくさせたはいいが、ダンスに歌に演技を教える先生を雇えるお金がないんだ。だから、ブルージーニアスのみんなにお願いがある。この子に色々教えてあげて欲しい。君たちの言う通りブルージーニアスに見合う新メンバーは見つからなかった。でも、ブルージーニアスの次のグループの中心メンバーに入れるハタくんだけは見つけた。ダンスも歌も演技も仕事の合間でいいから教えてあげて欲しい』

僕らは多分同じことを思っているだろう。

『この会社もマネージャーも馬鹿だ。所属しているアイドルに専属の先生になってくれと頼むのは頭がおかしいと出来ない行動だ』

僕らは言葉を失ってしまった。



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