第12話 未熟な私たちが花咲く時は突然に

ブルージーニアスはニュース番組に紹介され、出演することになった。

打ち合わせではそのままの存在でいてくださいと言われた。

変にキャラ立てなくてもいいそうです。

そして、ニュース番組『スピンズニュース』が始まった。

女性アナウンサーの羽済陽香(うずみようか)アナウンサーが紹介した。

『みなさん、今日もあなたにとっておきの情報をピックアップします。それでは羽済Qどうぞ』

そして、紹介VTRには12月9日にデビューを果たしたブルージーニアスの3人が映っていた。

3人のデビュー曲は今YouTubeで500万回を突破しているとも言っていた。

そして紹介が終わり、ついにTVに私たちが映る番になった。

羽済アナウンサーは言った。

『では、みなさんお待たせしました。ブルージーニアスの皆さんです』

私たちに緊張はなく、やっと芸能人になれたそんな感じがした。

そして横に並び、ラビットボーイ、国光無二、黒羽花鈴の順に自己紹介をすることになった。

ラビットボーイは口を開くなり言った。

『スピンズニュースをご覧の皆さん、僕がラビットボーイです。クリエイターズでも活動中なのでよろしくお願いします。クリエイターズでも可愛さを売り出していますが、ブルージーニアスでは天才的な可愛さが売りなので、アイラビュー』

そして、その可愛さに気持ち悪さを覚えた無二は言った。

『ラビットボーイはただの顔が可愛いだけの人間ですから。こんにちは、はじめまして。最近髪を染めたいと思っている国光無二です。群れるのは嫌いですけど、この2人なら群れても構わないと思い、ブルージーニアスになりました』

黒羽花鈴は1人笑い出しながら言った。

『フフッ....みなさん、こんにちは....私たちは変わってるので、それだけは覚えておいてくださいね。メンバーカラーは紅色です。TVを観ている貴方にキスをしたら、唇はわたし色に染まるかな。フフッ、冗談です』

羽済アナウンサーは話題を変え、どうしてブルージーニアスという名前なのか聞いた。

すると、無二が答えた。

『ブルージーニアス、訳せば青い天才とかジーニアスだけで天性という言葉が出てきます。3人には突出した才能の塊があると言っていました。私たち3人は1人では浮くけど3人集まれば天才は伝説になる。ただ私たちはまだ未熟な青さがある。それが、ブルージーニアスです』

羽済アナウンサーはでは最後にTVを観ている方に一言いいですか?と言った。

そして、国光無二は言った。

『みなさん、私たちを見てくれてありがとう。特別な存在は私たちだけじゃない。みんな特別だ。だから、そこにいる君もいつかブルージーニアスに入れるよ』

そして、3人でデビュー曲を歌い、ニュース番組が終わるまでワイプで頷いたり、発言したりして終わった。

そして、終わった後に気づいたことだが、Twitterでは#僕もいつかブルージーニアスがトレンド入りしていたらしい。

ただマネージャーさんから国光無二に渡されたものがあった。

そこには、今日出演した番組のプロデューサーからだった。

『ブルージーニアスの皆さん、今日はありがとうございました。なかでも、国光無二さん面白い人ですね。今度、スピンズニュースでレギュラーとして出演していただきたいなと思い、手紙を書きました。どうか検討のほどよろしくお願いします』

3人は素直に喜べなかった。

選ばれたのは国光無二だけだったからだ。

3人は考えた末に、ブルージーニアスのためと出ることにした。

それから、木曜日の朝の顔に急遽国光無二が抜擢された。

残りの2人は木曜日の朝必ず画面越しに国光無二を見ることになった。

その時の2人は悔しいでも、悲しいでもなく仕事があって良かったということだった。

それから、1年後にラビットボーイは舞台に出演が決まり、黒羽花鈴は未だに仕事がなかった。


1人取り残された気がして、黒羽花鈴は毎日のように自分を責めて泣いていた。

他の2人が黒羽花鈴の悲しさに気づいていた。

でも、どう声をかければいいか分からなかった。

マネージャーは花鈴に声をかけて言った。

『花鈴、今はまだ花は咲かない時期かもしれない。でも、もうちょっとで君の時代が来るはずさ。そのためにもオーディションやライブで全力出そう。いいかい、君は立派な花になれる』

その日から花鈴はオーディションもライブパフォーマンスも頑張った。

無二はそれを見て思った。

私も頑張らなきゃなと思った。

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