第8話 無期限活動予定のブルージーニアスに参加

国光無二が歌手になって1年経った頃にある企画が水面下で動いていた。

それは、アイドルと歌手の掛け合わせだった。

メンバーは国光無二とアイドルの黒羽花鈴とクリエイターズのラビットボーイの3人はどうだろうかと話していた。

3人のグループ名は『ブルージーニアス』と言って、訳すと青い天才。つまりは、僕らは永遠になんでもできる。そんな思いから生まれたグループ名だった。

企画したのは国光無二の事務所だった。

国光無二の才能と歌をより生かすために、そして多方面の方との関係性を作るのに、もう2人の協力が必要だった。

黒羽さんの事務所もラビットボーイさんの事務所も了解を得るのに、1年かかった。

ラビットボーイさんの事務所は警戒心が強くて、女性とのグループのメンバーになるなんて、ファンがどう思うかなど色々な面でずっと断りの連絡が続いたのだった。

だが、1年後ラビットボーイに事務所がそのことを伝えるとラビットボーイは国光無二さんのファンだった事が分かり、彼自身がどうしてもやりたいと聞かず、承諾したのだ。

黒羽さんのところは最初はどうしようか迷っていたが、この企画に参加した事でアイドルとしてもっと上に行けるのではないかと思い、参加を決めた。

そして、全てが整ったところで国光無二に企画のことを話した。

良いと言ってくれると事務所は思っていた。

だが、期待は見事に裏切られた。

国光無二は一言ポツリと言った。

『誰かとグループを組まないと私は売れないんですか?私は1人で歌もダンスもしたいんです。それなのに、組む相手は今大人気のクリエイターズのラビットボーイさんに、アイドルの黒羽花鈴さんじゃ明らかに人気の差が出るに決まっているじゃないですか。私には人気がそこまでありません。だから、もう少しだけ1人でやらしてください。お願いします』

すると、事務所側は何も言い返せず、分かったとだけ言って、その企画は一旦白紙になった。

それから、国光無二はRoseという楽曲をYouTubeに出した。

無二がマイクに向かって歌を歌った。

『あの日私に向けて咲いたRoseは、私よりも誰かのものだったの?一輪咲いた花に願い事を懸けるなら、私は多分彼に嫌われた理由を欲するはず...』

YouTubeに載せた曲はやっと100万回行く感じだった。

これがもし、誰かとグループで活動するとしたらもっと自分の今を出せるのかな。そんなこと考えるのは良くないかもしれない。

でも、Roseを出してから事務所に話した。

『グループとして活動する前に、私のファンが本当にいるかを確かめるために、ファンミーティング開いてもいいですか?』

事務所はグループとして活動することを前向きに考えてくれていた事に、感謝をしてファンミーティング開いてもいいよと言ってくれた。

それから、12月1日にファンミーティングを開く事になり、YouTubeでもその事を報告した。

YouTubeのコメント欄には必ず行きますというファンが何人かいた。

12月1日になり、来てくれたファンは大体5000人くらいだった。

ファンのためにグッズはもちろんのこと、自分の顔をぬいぐるみにしたものやアクリルスタンドなどを販売した。

1曲目はデビュー曲のサンサンから始まり、途中ファンと話して、最後は新曲のRoseで終わりにした。

ファンからの質問を設けたりもした。

そこで、1人の男性と1人の男の子そして1人の女性から質問があった。

最初に男性が言った。

『北海道から来ました。生で無二様を拝めて今心臓が破裂しそうです。それで、質問はなんでYouTubeチャンネルをダンスレディな彼女の日常にしたんですか?』

『北海道からわざわざ東京に来てくれて感謝しています。ありがとうございます。何故、この名前にしたかと言うと私の得意分野は主にダンスでした。ダンスが日常をそして世界を変えたんです。だから、ダンスレディになりました。質問ありがとうございます』

次に男の子にマイクが渡された。

『あー、えっと。トドロキダイチって言います。11歳です。僕の夢は歌手になることです。僕はどうしたら歌手になれますか?』

『トドロキダイチくん、まずはいろんな事を体験して自分のものにするんだ。それが、作詞作曲にも繋がるから。いつか共演できたらいいね。今日は来てくれてありがとう』

お辞儀をするダイチくんを可愛く感じた。

最後に女性にマイクが渡された。

『こんにちは。無二さんの曲は身に沁みるというか大好きです。それで、無二さんのこれからの夢はなんですか?』

『私の今の夢はもっと有名になって、誰もが知る歌手になることですね。音楽にもっとのめり込みたいですね。もちろん、ダンスと同じくらいね。質問ありがとうございました。今日があなたのいい日になりますように』

そして、最後は舞台で無二は泣きながら手を振った。

また、みんなに会えるようにもっと大きくなって帰ってくるために、私は期間無期限のグループに参加することになった。


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