第4話 私自身の嘘の気持ち

『ダンスレディな彼女の日常』に今日載せるのは私の受けたカウンセリングの一部だ。

2週間に1回通っているカウンセリングのお兄さんは良い人だ。

今日はお兄さんの許可を得て、この動画を回している。

音声だけだけど、みんなに公開するね。

それじゃあ、スタート。

『先生、毎回悩みに真摯に向き合ってくれてありがとうございます。今日も良いですか?』

『もちろん、良いよ。今日はどうしたんだい』

『私、まだ芸能界というところに入って1年くらいなんですけど、事務所のおかげでドラマにもちょっぴり出させてもらえて、主題歌も歌わせて頂いて、それから私の歌も流行って私という存在を知ってもらったことにとても嬉しく思っているんです』

先生はうんうんと聞いていた。

無二は続けて言った。

『それで、私そろそろ死んだ方がいいと思うんですよね。だって、色んなことが上手くいくなんてそんなにないことですよね。これがずっと続くかも分からないし、そろそろ死ぬことを考える時期かなって思うんですけど、どう思いますか?』

先生は腕を組み悩んだ末に言葉を選びながら言った。

『あまり不安になってそれで死に結びつけるのは良くないと思うよ。まだ、国光無二さんの時代はこの先続くと思うし、僕自身思うのは君はこの先もっと活躍していく存在だと感じるよ。だから、思い詰めないでほしいんだ。死なないでとは言わない。ただ死ぬ選択を早めないでほしいんだ』

『先生に相談しといて良かったです。もう少し考えてみます』

そんなカウンセリングが終わり、音声だけだった映像から無二の顔が映った。

無二はニッと笑い、言った。

『どうでしたか?私の受けたカウンセリング?結構、重めでしたかね。人には色々あるように私にも色々あります。でも、これが今の私の悩みであり辛さなんです。だから、私の今を受け止めて下さい。では、ダンスレディな彼女の日常をご覧頂きありがとうございました。国光無二でした』

YouTubeに投稿された2個目の動画のサムネイルは『私自身の嘘の気持ち』だった。

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