第22話 今の実力


謁見を終え、カインとナユタの二人と別れてから一週間の時が経った。

季節は冬──窓を見れば一面が白銀世界と見てとれる。

パラパラと降り注ぐ雪は辺り一面を化粧するかのように景色を変えていた。


「ルゥ、追加の書類じゃ!」


元気よく声を出し扉を開けるのはムラサメ。

両手で持たないと落ちそうな紙の束を持ってきた。

そんな姿に少し羨ましいと思う部分がある。

そう・・・・・・巨乳だ。

丁度よく上からたわわが紙の束を押さえている。

ボインッと音が聞こえそうで、なんとも言えない感情が芽生えそうだ。


「そこに置いといてくれるかしら。直ぐに手をつけるわ」

「うむ!しかしすごいのぉ。まさかカインと同じ速さで事務処理をするとは、化け物か?」

「貴女が苦手過ぎるのよ。はぁ・・・・・・これは代わり見つけるの大変よね」


俺は今、前副団長であるカインが毎日の様にこなしていたであろう事務系の仕事をしていた。

副団長のポストが空いたのもあって、可哀想だなと思い引き受けたのだが・・・・・・もう毎日疲れてクタクタだ。

よくもまぁカインはこんなの仕事をしていたものだ。俺からしてみても化け物だと思う。


「妾は街を見て回るのでな!」

「行ってらっしゃい。次いでに甘い物をご所望するわ。疲れるのよこの仕事は。甘い物食べて気分転換しないと」

「ならとっておきの店を知っておる。ふっふっふっ!待っておるがよい!」


んじゃのぉ〜と緩りと手を振りながら部屋へと出ていった。

カインが使っていた副団長室に取り残された俺は、またも書類に目を通す。


「えっーと次は・・・・・・騎士団員の要望?どれどれ──」


大人対応であろう高さの長机に同じく椅子は子供体型の俺には合わない。

なのでちょいと座りながら、背伸びをしないといけないもの疲れる要因である。

椅子に座れば、足がぷらぷらと宙を浮くからな。


「シャワー室の蛇口が壊れてるので直して欲しい?これは了承ね。汗を流せないのは苦痛よ」


判子をトンっと押して次に目を通す。


「次は──臨時騎士副団長が可愛すぎて辛いです?・・・・・・知るかバカ!」


思いっきり紙をクシャクシャにして投げた。

意外にも騎士団は暇なのか?おん?と心の中でツッコミを入れる。

そんなこんなで真面目な要望八割、おふざけ二割の書類を片付けて一息つく為の紅茶を入れた。

客人用のソファーに座り、天井を見上げる。


「この一週間、なにやってんのよ私は」


女王陛下であるアリーシャから事件を解決した功績として貰った褒美の中に設備が整った住宅とあった。

しかし、俺はまだこの目でどんな家なのかも見れていない。

鍵は専属メイドであるアリアとターニャが受けとり、家具等買っておくように指示はしていた。

二人は既に貰った家で過ごしているであろう。

しかし、主である俺はというとムラサメの屋敷で過ごしている。何故か?城が近いからだ。

書類仕事は朝から兎に角あるからキツイ。

朝からやらないといけないのは前副団長カインが原因である。

カインはナユタに引っこ抜かれた後は書類仕事をするなとアリーシャから命令されていたらしい。

そのせいで溜まりまくった挙句、俺へと降り掛かっている。

終われば追加、それが終わればまた追加とエンドレス事務処理を行っている俺は、正にブラック企業に就職してしまった哀れな社会人みたく働いていた。


─トントン。


不意に聞こえた扉をノックする音。

客人が来る場合は必ず近衛兵が知らせに来るのだが、今回はそれがなかった。

でも気配で大体の人物は分かる。

扉の先にいるのはアリーシャだろう。

獅子王眼を手に入れてからは一層のこと、気配に敏感になっていた。

偶に窓の向こうで飛んでいる小鳥の声が、ちゃんと会話に聞こえるのもこの眼のお陰だろう。


「どうぞ」


短く返答を返すと、読み通りアリーシャが部屋へと入ってきた。

傍にはメイドが一礼して立っている。


「ルゥ様、様子を見に来たよ!」

「いらっしゃい。丁度区切りが良くて休憩していたわ。休憩が終われば、またやらないとだけど」


俺がそう言うとアリーシャは机の上に重ねられた紙の束を見る。

アリーシャは俺の前だと普通の女の子として接する。

敬語もないし、自らを王だからといって見下すこともない。


「大変だね。・・・・・・でも安心して!こっちで人材を見つけたから、明日からは来なくとも大丈夫だよ」


その言葉を聞いた瞬間、脱力してしまいソファーに寝転がった。


「ルゥ様!?」


いきなりの事でびっくりしたであろうアリーシャは声を上げた。

いやだってさぁ、もう疲れたのよ!特別給料出るって聞いたけど、しんどいのぉ!!


「──・・・・・・たい」

「へ?」

「甘えたい・・・・・・甘えたい甘えたい甘えたい!アリアにギュッてして膝枕してもらいたい!添い寝とか甘々な声で囁いてもらいたい!──アリアに会いたい・・・・・・」


欲望たらったらな俺の文句を聞く女王と名も知らぬメイドさん。

実際の所、本当に心の中にある本音である。

なんだったらアリアとエッチな事もしたい。

そんな風に考えていると横になっていた俺の頭が少し持ち上げられ、また下ろされるとぷにゅんと柔らかい感触が伝わってきた。

お?これ膝枕だ。膝枕マイスターの俺には分かるね。

しかし誰だ?と思い上を見ると半分天井が見えない。そう、おっぱいのせいで。


「僭越ながら、アリア先輩は居られないので私が努めさせてもらいます。貴女様はよく頑張ってますね。ここに来るまでに色々と聞きましたよ?いい子いい子」


優しく頭を撫でる名も知らぬメイドさんは、目をうっとりさせながらこちらを見てくる。

あぁ・・・・・・ママだ。この人は、正真正銘の・・・・・・ママだよ。バブみ爆発しそうである。


「ありがとう。貴方の名前は?」

「アリーシャ女王陛下のメイド、シュラと言います」

「そう・・・・・・つまりはママね」

「は、はい?」

「私、今から全力で貴女に甘えるわ。ママ、もっと頭撫でて」


俺の声に、何故か顔を赤くするシュラ。

そして俺達は止まらなくなった。

対面座位で俺はシュラのおっぱいに顔を埋め、シュラはひたすら耳元で喋りながら頭を撫でてくれる。

そんな光景を永遠と見せられてる女王たるアリーシャは一言。


「働きすぎって良くないね。だってルゥ様がこんなにも壊れちゃうんだもん」


少しした後、ムラサメが帰ってきて。

しかし買ってきたであろうケーキを下に落とし、口をアワアワとさせ、仕舞いには──


「妾のルゥじゃぁぁぁ!そういうのは妾がするのじゃ!ほれ、おっぱいで挟んでやろう!」

「──おっぷ!やわらぁかぁぃ」

「そういう事なら二人で癒しましょう。私は後ろから・・・・・・サンドイッチの出来上がり♡」


──おっふ。

幸せすぎて心のちん〇が勃起するッ!!!!

暫くお姉さんと外見はお姉さんだが、中身はおばあちゃんに甘える時間を過ごした。

それが終わると皆で紅茶を飲みながら、ムラサメが手から落としてしまいぐちゃぐちゃになったケーキを囲んだ。

ケーキを食べている途中、今日で副団長はお終いだと伝えるとムラサメは大声を出して部屋から出ていく始末。

なんでこうも直ぐに退場してしまうんだよ。


「ルゥ様はティータイムか終わり次第、帰っていいよ。代わりの人はここにいるし」

「え、もしかしてシュラさん?」

「はい、私にお任せ下さい。事務処理から戦闘、破壊工作から隠密行動までやってみせます。壊すの・・・・・・好きなんです♡」


ニッコリと笑顔を見せるが、内心とんでもない癖を持ってるなこれ。

壊すのが好き──それは物は当たり前だし、もしかしたら人間も有り得るかもしれない。

しかし有能でもあるのは助かる。

現にこの人が来てくれたお陰で、俺は救われたのだから。


「私は公務に戻るから、後は二人でごゆっくり」

「一人で大丈夫?なんだったらついて行くわよ」

「気持ちは嬉しいけど、大丈夫!庭みたいなものだからね」


そう言ってアリーシャは執務室を後にした。

残ったのはシュラと俺の二人。

シュラは俺の為に追加の紅茶を入れてくれた。

もう少し休んでいけという事だろう。

それに一人は寂しいからな、付き合ってあげよう。


「ナガレにはもうお会いになられましたか?」


不意に彼女からそんな問いかけが聞こえた。

何故、彼の存在を知っているのか?関係者なのだろうか。


「ええ、もう会ったわ。謁見の後は住んでいる屋敷に戻るって言ってたわね。元気にしてるかしら」

「毎日の様に貴女の為に頑張っていますよ。あっ、申し遅れました。黒死蝶No.6に席を置いています」

「──ぶふぅぅ!!」


勢い良く紅茶を吹き出した。

はいぃ?なんで黒死蝶の人がここにいるんだよ!?

しかも騎士団の副団長だなんて、アリーシャも何を考えているんだ。

いや、待てよ・・・・・・落ち着いて考えれば確かにこの人選はアリだ。寧ろ正解だと言ってもいい。

黒死蝶のナガレから別れ際にメンバーは六人で、少数精鋭だと聞いた。

つまり序列的に彼女が一番低い。

とは言え、単独で世界樹の契約者を殺す程の実力はあるだろう。

少なくとも俺より強いとハッキリ分かる。

そして今回の様にいきなり城が襲われたりしたら、即対応出来る人物──つまりはシュラが必要って事になる。

流石はこの国の女王陛下だな。考えが深い。


「リーリャはNo.はあるのでしょう?気になってたのよ。あの子はどれぐらい強いのか」

「あーあの子はNo.2ですよ。私は世界樹の契約者一人なら対処出来ますが、あの子は三人相手でも余裕な顔をして帰ってきますから。金狼族って凄いですよね」


そう言ってシュラは椅子に座り、書類を見始めて作業を始め出した。

金狼族──約三百年前、厄災をもたらす七つの種族が存在した。

その中でも気性が荒く、暴走を起こせば大陸が失われる程に強く、種族の中で最も神に近いと言われていたのが金狼族である。

しかし、神が七つの種族を恐れて先に手を打ち、一人残らず殺したと聞いたが生き残りがいたんだろう。

でもそんな彼女でも序列は二位という事になる。なら一位はどれだけ強いのか気になるな。

そんな事を考えていると紅茶を飲み干した。

そろそろ屋敷へと帰ろうか。

あぁ、ムラサメの屋敷じゃなくてもいいんだったな。


「帰られるのですか?」

「うん、仕事はシュラがやってくれるだろうし。いつまでもここに居たって意味無いでしょう?行動あるのみだわ。新しい家の場所も聞いているし大丈夫よ」

「そうですか。ちょっと寂しいですね・・・・・・もっと甘やかしたいのですが」


それを言われるとここに居たいと思ってしまう。正直にシュラは甘やかし上手である。

声は落ち着きのある声で眠たくなるし、撫でる時も繊細で気持ちが良い。

抱きしめてくれる時も、ちょっと肉付きが良いのかマシュマロみたいだし。

だが!今は我慢我慢だ・・・・・・俺も甘えたいよ。


「偶に自宅にいらっしゃい。私もシュラに甘えるの好きになっちゃったし、ご馳走だって用意するわ」

「いいんですか!?お母さんにそう言って貰えると嬉しいです」


彼女は初めて俺の事を母と言った。

その顔は紅くなっていた所を見るに、少し恥ずかしかったのだろう。

でも心の奥底で、そう思ってくれて嬉しい。


「では次の機会に、沢山甘やかしてあげますね。ドロッドロになるまで・・・・・・♡」


俺はニコリと笑って部屋を後にした。

廊下を出ると少しひんやりする。何も無い廊下を歩いていると、偶に騎士服を来た人達を度々見る。

まだ正式に皆に副団長をやめたと発表してないからか、必ずこちらに敬礼してくる。

まぁ俺も律儀に返してるんだけどね。

騎士団本部から外に出ると更に寒い風が顔に当たり、より一層の震えてしまう。

早く春になれ暖かくなれと心の中で言いながら、歩き出した。


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寒空の下、アリーシャから貰った家の前まで来た。

城からはだいぶ離れており、どちらかというと商店街やその他の店がある庶民地区に近い。

一応は貴族が住む地区には入っているが、買い物が楽で助かるだろう。

ここに来る前にムラサメの屋敷に行き、スライムのスゥーや馬と魔物の混合種であるフィーに会いに行った。

理由としては俺と一緒に来るかどうかを聞きに行った訳だが・・・・・・。

これに至ってはちょっと寂しかったなぁ。

フィーは着いてくると行って現在進行形で背中に跨っているのだけど、スゥーは余程ムラサメの事が好きらしい。

なので無理強いはせず、ムラサメに預けて大切にするように伝えて欲しいとメイドに言伝しておいた。


「自由に生きていいのは、モンスターであるアグニも一緒よ。フィーも我儘を言いなさい。出来るだけ叶えてあげるわ」

『・・・・・・・・・感謝する』


言葉は喋った訳ではないが、獅子王眼を手に入れてから数日後にフィーの言葉が分かるようになった。

根本を辿ればフィーは騎馬とアグニから生まれた馬型のアグニである。

馬の血が流れているからか、フィーの言葉は分かるのだが純粋なスライムであるスゥーの言う事は分からない。

フィーは常に落ち着いていて冷静でクール、口数が少ないけど悩みを聞いてくれる優しい馬だ。

俺はフィーから降りて、手網を引っ張りながら敷地内へ入る。

住宅ってよりか・・・・・・屋敷だな。パッと見てそう思ってしまった。

普通に一軒家かと思ったが、そうじゃなく──結構大きい屋敷であった。


『大きいが、我の部屋は・・・・・・』

「勿論、馬小屋はちゃんとあるって手紙に書いてあったわ。フィーの事はこれからターニャに世話を任せるから、安心して」

『ありがとう、主』


ボッーとこれから住むであろうマイホームを眺めていると、前から見知った人物がぱたぱたと小走りで来た。

そのままの勢いでぎゅっと抱き締められ、ほのかに香る花の匂いに、ついうっとりしてしまう。


「おかえりなさい、ルゥ様。ずっとお待ちしてました。暫く離したくないです」


顔を合わせ、俺の頬の輪郭を指でなぞるように甘えてくるメイドはアリアだ。

彼女の左手の薬指には眩く光る銀の指輪──謁見の日の帰りに一人で店に行き、俺が彼女にプレゼントした物である。

俺を愛してくれる彼女は、大喜びで泣いてしまう始末だったが今は暇さえあれば指輪を見て、にやけている。

相当嬉しかったのだろう。何せ婚約指輪みたいな物だし。


「ただいま、アリア。家の事を任せっきりで申し訳ないわ。片付けは済んだのかしら?」

「一通り終わって、普通に生活出来るようになってますよ。褒めて下さい」


頭を少し下げて撫でろと言わんばかりに、獣耳をぴょこぴょこと震わせている。

しっぽもピンッと上に上がっている所を見ると、余程期待しているな。

彼女が望むように、俺は頭に手を乗せ撫でてやる。

すると気持ちよさそうに目を細め、まるで本物の猫のようにゴロゴロと泣いてそうだ。


「わぁー!ルゥ様ぁー、おかえりなさぁい!!」


屋敷の窓からブンブンと勢い良く手を振る影が一つ──ターニャである。

手を振り返すと、二階の窓から飛び降りてこちらに走ってきた。

流石は戦闘メイド、身体能力も高い。


「ターニャ、お疲れ様だったわね。フィーも連れてきたわ。これからお世話を貴女に任せるから、挨拶したら馬小屋に連れて行ってあげて」

「フィーちゃん!久しぶりな感じですね!あれ、スゥーちゃんは来てないんです?」

「余程ムラサメが気に入っている様子で、引き離すもの悪いかと思ってね。あの子はムラサメに任せたわ」

「・・・・・・ルゥ様」


おっと、少し顔に出てしまっていたか。

確かに寂しいが、永遠の別れではないから大丈夫な筈なのにな。

気持ちを切り替えないと、このままズルズル引きずってもダメだ。


「さて、中の案内を頼むわね。アリアにお願いしようかしら」

「お任せ下さい。さ、こちらへ」

「ターニャはフィーちゃんを案内するです。終わったらまた別の仕事をやるです!」


こうして各々別れ、俺はアリアに何故か手を握られ案内が始まった。

手を握る必要はないのだが、アリアがそうしたいのであれば我儘に付き合おう。

屋敷の中に入ると、息を飲むほど豪華であった。

大きなシャンデリアが照らすその場所は正に神々しさを覚えるかのようで。


「わぁお・・・・・・!」


そう反応する俺を見てアリアは嬉しそうに声を弾ませた。


「この屋敷を用意する前に色々と要望を聞かれたんです。サプライズ目的で私が伝えました。気に入って貰えましたか?」

「うん!すんごくいいわ!他にも部屋を見せて欲しい。今日からお世話になる家だからね」


そして二人でマイホームを巡るちょっとしたデートを開始した。

まずは料理担当のアリアが主に使用するキッチン。広く作られており、動きやすいように設計されていた。

収納スペースもコンパクトだが、容量も多く便利である。

次に寛ぐ為のリビングは──最高に俺好みであった。暖炉を囲むようにふかふかのソファーが配置され、別の場所には木の温かみがあるテーブルとイス。

その他可愛らしい調度品やぬいぐるみ等が置かれていた。

ちなみにぬいぐるみはターニャの好みらしい。

次にお風呂を確認すると、これまた嬉しすぎて涙が出そうだった。

もう温泉だろうと言われても変な感じは無いぐらいな大きな浴室である。

寒い空の下を歩いて来た俺からしたら、今すぐにでも入浴したい。

そして客人用の部屋や、ターニャの部屋等を見て回った。

ターニャの部屋に関しては、もう女の子の部屋って感じで可愛らしかった。

そして待ちに待った俺の部屋はというと──広すぎでは!?


「え、ここ全部私の部屋なの!?」

「正しくは私とルゥ様のお部屋です。今日から二人でこの部屋を使用します」


少し顔を赤くしながら、モジモジし始めるアリア。でもベッドは大きいサイズのやつが1つしかない。

クローゼットなんかはちゃんと俺の分とアリアの分があるのだが、何故ベッドだけ?

あっ、まさか・・・・・・。


「寝る時ってアリアとくっついて寝る感じかしら?そうよね?」

「はい、寝る前に沢山イチャイチャしたくて♡」


まぁいつも頑張ってもらってるし、それぐらいは全然良いだろう。

でもなんというか、ノリが女神ソフィに似てきたな。

直接二人を合わせたら気が合いすぎて、いい関係になりそうだ。


「私はルゥ様一番見せたい場所があります。次はそこへ向かいましょう。きっと気に入りますよ」


アリアの言う通りにその場所へと向かう。

場所的には浴室があった部屋の隣にある下へと続く階段。

地下室なんかもあるのか。でも地下に一体何があるんだろう。

階段を一歩ずつ降りていくと、かなり重い扉を開けた。

すると視界に入ってきたのは、広すぎる空間である。

その場所には何も無く、ただ広い部屋だ。

しかしその広さがあまりにも異常である。


「アリア・・・・・・一体どれぐらい広いの、ここは」

「城の敷地面積と同じらしいです。特殊な加工がされていて、どれだけ壁にダメージを与えても壊れないそうですよ」


広大な部屋に、ダメージ無効の壁・・・・・・もしかして──。


「訓練場?」

「はい、仰る通りです。ここは私が無理を言って用意してもらいました。ルゥ様がこれから強くなる為に必要かと思って」


流石だよ!これだけ広ければ大暴れしても問題は無いな。

それに星焔魔法の開発、改良なんかもしたかったから俺としては嬉しすぎる。


─────────────


色々と屋敷内を見て回り、時間は夜になった。

既に晩御飯を済ませ、俺は自分の執務室にいた。理由としてはターニャに話があるから。

──コンコンとノックの音が部屋に響き、入るように促すと本人がやって来た。

ターニャを来客用のソファーに座らせ、俺も対面して座る。


「ごめんなさいね。もう夜だというのに」

「いえいえ、気にしてないです!それより、話ってなんです?」

「これを見てもらえる?アキナ第二竜姫から貴女の事が書かれた手紙なんだけど、この内容──事実かしら?」


ターニャは手紙を取り一通り目を通すと、不安そうな表情を浮かべた。

きっと事実なのだろうと、勝手ながらに決めつけてしまう。

人体実験の被験者かつ、戦場という死地をその身で生き抜いた。

そして俺と同じく世界七大魔剣の所持者で特殊魔法を使う存在。

そんな事実を隠して俺と過ごしたかったのかもしれない。


「──事実・・・・・・なのです」


震える声で、彼女の言葉が沈黙を切った。

太ももの上で手をぎゅっと握りしめ、覚悟を決めたかのように淡々と告げる。


「私は人体実験のせいで、不老不死になってしまったんです。それを知った当時の竜王は、戦争の道具として利用したのです」


戦争の・・・・・・道具。

つまりは兵器として利用をしたということになる。なんて酷い事をするんだと、そう思った。

彼女の話はそれだけでは終わらい。


不老不死でも喉は乾き、腹は空くというのに食事も与えて貰えない。

自分が戦争を一時的にでも終わらせたのに、その功績は全て白紙にされた。

幾度も人を殺し続け、いつの間にか特殊魔法を目覚めさせて魔剣に出会った。

そんな時にはもう、自分が何者なのかなんて分からなかった。

必要がなくなったという理由で、地下に幽閉された。

何年も経ち、幼き一人の少女が好奇心で地下の扉を開けてしまった──それがアキナ第二竜姫。

何もない暗い空間に紛れ込むように、闇に溶けきった存在に光が救いの手をもらたすかのように。

それからは戦争の道具としてではなく、アキナの専属メイドとして雇われたが周りのメイドに虐められた。

そして数年後の今、こうして俺と出会ったそうだ。


「過去の事なので、今は特に気にしてないのです。アリアさんが言ってくれたんです。私達は家族だって・・・・・・家族だから、守ってくれるって。だからターニャもこれからかも知れないけど、尽くしたいのです」

「そう・・・・・・強いのね、ターニャは。それに貴女に出会えてよかった。アリアの事、守ってあげて。私はどうしても手が離せない状況があるわ。そんな時、戦えるのは貴女だから」


ターニャはニコリと笑顔を見せる。

分かってますよ!とそんな言葉が伝わってくる。

後はターニャがどれぐらいの実力を持っているかが俺の気になる一つの問題だ。

明日辺りでも地下訓練場で試してみるか。

ターニャと出会った時に蹴りを入れたが、その時に彼女は少し苦しそうな声を上げていた。

しかしそれが本当の彼女の実力じゃない筈。

元戦争の道具だったターニャがそんな弱い筈がないと俺は思っている。

ターニャと少し話して、明日に手合わせする約束をした後に俺は寝室へと向かった。


寝室の扉を静かに開けると、規則の正しい寝息が聞こえてきた。

ベッドを見れば、黒髪の可愛らしい獣耳が二つ顔を出している。

もう寝たのか、時刻は九時半ぐらいなのだが早いな。

いやメイドとなれば朝が早いから、これが当たり前なのかも知れない。

俺としては寝る前にイチャイチャしたいところなんですけども。

まぁいいか、と思いアリアを起こさないようにベッドに入った。

完全に意識が睡眠に呑まれる前に、横でスヤスヤと寝ている天使にちょっかいをかける。

頬っぺたを人差し指でちょんちょんと突っついたり、柔らかい獣耳をモミモミと軽く揉んだり、おでこにキスをしたり。


「おやすみなさい、アリア」


良き明日を願って、俺は瞼を閉じた。


────────────────


アリアに起こされ、朝食を食べ終わると今日の日程がメイドによって告げられる。

俺としては緩りとおやすみしたいのだが、そうはいかないらしい。

これでも英雄として名が広まってる故に、貴族達とも交流を取らないといけないらしい。

全く面倒だと思いながらも話を聞いていた。


「午前中はターニャと約束事があるそうで、午後にはモルドレッド宰相から直に話があるそうです。何やらルゥ様にしか相談出来ない内容らしく、こちらに来るそうですが」

「宰相が直に相談ねぇ・・・・・・なんか嫌な感じがしてならないわ。何か裏がありそうね。午後は気を張らないと。そういえば、ターニャはどこにいるのかしら?姿が見えないけど」


朝食を食べに来てもいないし、朝から姿が見えないターニャ。

いつもなら大食いで、一番この屋敷では食費が掛かる子だと言うのに。


「あの子なら訓練場で食事をすると言って、ご飯を食べる分だけ持っていきましたよ。ルゥ様が食事を終えれば、来るようにと伝言を預かってます」


ほほう・・・・・・準備がよろしい事で。

これなら全力を出してくれるだろうと、俺は早速足を進めた。


訓練場に着くと、そこで体をほぐす為に準備運動をしているメイドの姿があった。

そこ格好で戦うのかと思ったが、ちょっとロマンがあって良いかも。

戦うメイドさんってかっこいいですよね?

そんな彼女の足元には一振の槍が置いてあった。

きっとあれが世界七大魔剣の一振『黒竜閃』に違いない。

槍使いって所を見ると、アッシュを思い出してしまう。

しかし、きっと彼よりかも強いかもしれない。


「あっ!ルゥ様、おはようございますです!」

「おはよう。準備万端ね」


元気よく声をあげたターニャは大きく手を振った。

天真爛漫という言葉が本当によく似合う子で、いつまでも笑顔でいて欲しいと不思議と思ってしまう。


「私はいつでも行けるわ。ターニャは大丈夫かしら?」

「準備運動もバッチリです!久々に全力を出せるって思うと、ちょっとワクワクするです!」

「ふふっ・・・それじゃあ、少し離れるわ。私も全力を出すけれど魔法の使用は禁止、戦闘が終わったら気づいたことがあれば迷わずハッキリ言ってちょうだい」

「了解です。剣技は出してもいいんです?」


剣技とはある一定の領域に達したもの達が扱えると言われる、己の剣の腕が生み出す特殊な技の事である。

例にあげれば、ムラサメが使った事のある『滅・昇り龍』なんかが剣技だ。

剣技に関しては開発も必要になってくる為、今の俺には使えない。

いや、使えるのだが何一つ持っていないのが正解だ。

ターニャの場合は戦争の繰り返しで、その中で芽生えさせたものだろう。


「剣技は使用の許可を出すわ。私も一つは持っていたいから、参考までに見てみたいと思ったの」

「分かりましたです。それじゃあ、このコインが下に落ちたら開始で」


お互いに少し離れ、俺は氷蘭鉄心を鞘から抜いた。

対面するターニャも黒竜閃を構え、俺たちの間には主人とメイドの関係が一時的にもなくなる。

そして、コインが投げられ地面への降下していく。

今は──全力の殺し合い。


──チャリン。


コインが地面に着いた瞬間、先手をしかけてきたのはターニャだった。

真正面に高速移動からの横にステップを踏み、踏んだ衝撃を活かして体を捻らせて槍に体重を乗せた一撃を俺へと向ける。

余りにも早すぎる動きに一瞬、呆気日になったが刀を縦に持ち防御した為かモロには喰らわなかった。

しかし、かなりの重みが体へと衝撃を伝え、俺はバランスを崩す。

しかしターニャは追い討ちはせず、俺が立ち上がるのを待っていた。

これだけでハッキリ分かった。

彼女は・・・・・・ターニャは正真正銘、元戦争の道具だと。

確実に相手を殺すような動きを見せてくる。

今の攻撃だって、防御せず攻撃を受けていたら死んでいた。

掠ってても出血多量を狙うような位置を槍で狙ってきた。


「ルゥ様、それでは戦場を生き抜く事は出来ないのです。殺られる前に殺る──相手より先に動き、首を獲る。余裕なんて見せてはいけないのです」

「そうね・・・・・・でも、これからが全力よ!」


体勢を直し、思考を切りかえてターニャの懐へと潜り込む。

刀を水平に構え、彼女の横っ腹を一閃しようとするが槍で弾かれる。

しかしそれでは終わらない──終わらせない。

何度も何度も打ち合い、その度にお互いの得物が火花を散らす。


「やりますねルゥ様!久々に楽しいです!」

「くっ、なんでそんなに余裕なのよ!このぉ・・・・・・あぐっ!!」


槍で弾かれ、がら空きになった胴体に蹴りを入れられて数メートル吹き飛ぶ。

ターニャはゆっくりと近づき、槍を構えて低姿勢をとった。


「大陸最強と謳われる騎士団長ムラサメさんが、かつて一度だけ敗北したのを知っているですか?一人の──竜人族の少女に」


まさか・・・・・・ここまでの実力だとは思わなかった。

大陸最強のムラサメが一度だけ負けた相手が、目の前にいるなんて。

今の俺は完全に怯んで動けない。


「最後に剣技をお見せするです」


全力を出してもなお、届かない領域というのが存在する。

どんなに努力を重ねても、研鑽を積んでも、その存在からは必ず蹴落とされてしまう。

目の前にいる存在からは──ターニャからはそんな大きな存在に感じられた。


「竜顎暴食〈ドラゴイーター〉」


静かに呟く反面、体は全力でこちらを捉えていた。

細い槍は大きな竜となり、その顎が狙うのは正しく俺の体。

負けた・・・・・・全く歯が立たなかった。

こんなんじゃ世界樹の契約者を殺すどころか、その逆で殺される。


「──熱が少し入りすぎですよ。相手は主なのですから、少しは遠慮をしないといけませんね。・・・・・・神殺シノ槍〈グングニル〉」


鼓膜がちぎれそうな程の勢いを持った何かに、ターニャの攻撃は防がれた。

彼女の攻撃を相殺──いや、殺した上でターニャにダメージを与えた存在は俺の前に来てしゃがんだ。


「母上様、随分ボロボロですね」

「ありがとうナガレ、助かったわ」


先程の攻撃でフードが脱げ、いつもは両眼を覆っている帯も外れている。

二つの灼眼がこちらをジッと見つめ、優しく微笑む。


「あいたたたた。ナガレさん強すぎるです〜!ルゥ様もごめんなさいなのです。つい熱が入っちゃって、えへへ」


少し離れたところから歩いてきたターニャはメイド服をボロボロにしていた。

えっと、つまりは大陸最強のムラサメを敗北に追いやる竜人族のターニャをボロボロにするまでに黒死蝶No.3が強いってことか・・・・・・。

訳分からなくなってきた。


「いいのよターニャ。お陰で自分の実力が分かったわ。今日はもう終わりにしましょう。後でリビングに来なさい。貴女が気づいた事、教えて欲しいわ」

「分かりましたです。ちょっと着替えてから行くですね!」


そう言ってぱたぱたと訓練場を後にした。

ナガレはそれを確認すると、下に落ちていた帯を拾って両眼を隠す。

なんの意味が有るのだろうか?隠さなくてもかっこいいのに。


「はぁ、母上様。相手は余りにも格上で、人生の殆どを戦争に身を投じてきた化け物です。それにブレーキが効かない相手でもありますから、今後は私を呼んでください」

「そうする事にするわ。でもここまで実力差があると思ってもなかったわね」

「仕方ありません。獅子王眼はまだ完全に馴染んでいないでしょうし、何より魔剣から天恵を引き出していないのも問題です。後は体がまだまだ出来上がってないのもあります。成長途中ですから、あまり無理をしないでください」


まるで本物の親の様に言葉を繰り出すナガレ。

それだけ心配してくれているのだろう。

それと気になる事を言っていたな。

魔剣から天恵を引き出していないという言葉はどういう意味だろうか?


「天恵って何かしら?魔剣から何か得られるの?」

「おや、ご存知なかったですか。魔剣や聖剣なんかはそれぞれ、使用者に能力をもたらします。共通しているのは身体的能力の超飛躍的向上です。これがあるだけでもターニャに強さでは近づきます。しかし、まだ母上様はそれを引き出せていない」

「空気の流れが見えるのだけど、それは天恵ではないの?」

「は、はい?おかしいですね・・・・・・」


ナガレは顎に手をやり、しばらく考える。

するとハッとした表情を見せた。どうやら答えが見つかったようだ。

俺の中で取り敢えず分からないことはナガレに聞けば正解ってのが、何故か納得がいっている。


「共通して使用者にもたらしてくれる身体への超飛躍的向上。それとは別に各々の剣によって全く異なる天恵を与えてくれます。ターニャの使う黒竜閃は自身に強力な速さをくれるんです。

これこそが天恵ですね」


成程、だからあれだけターニャは高速戦闘が出来ていたのか。

ギリギリ眼で追えていたのは、獅子王眼のお陰だな。


「そして普通、始めに身体超飛躍的向上の能力を得て、天恵を扱う事が出来るのですが・・・・・・段階があるんです。黒竜閃の場合、初期段階だと多少自分の動きが早くなったかな?と思うぐらいに感じる事ができます」


天恵をちゃんと扱うまでに段階がある・・・・・・あー、そういう事か。

俺ってばもしかして身体の超飛躍的向上よりも、先に天恵の方を扱おうとしてる?


「母上様の氷蘭鉄心は初期段階だと空気の流れが見えるようになるのでしょう。答えを言うなら、天恵は『氷創』──あらゆる物を氷で創造するという能力、それも瞬時にですよ」


やっぱり天恵を先に使おうとしていたな。

でもそうなると気になる事がある。


「天恵を先に得てしまったら、身体の向上はどうなるのかしら?」

「ちゃんと得ることができますよ。母上様はごく稀なケースですが、前例がない訳じゃないですからね。早速使えるように、明日から私が指導しましょう。ターニャよりも詳しく教えてあげますから」


それから暫く話をしてリビングへ向かう事にした。

今日からナガレはこの屋敷で住む事を決めていたらしく、その相談に訪れた所でアリアに俺の場所を聞いて、ここに来たらしい。

それと彼は明日から剣と向き合う訓練と基本的な体作りをサポートしてくれるそうだ。

星焔魔法は?と聞いたところ、それは後からでも問題ないということを教えてくれた。

それとナガレは今日から黒死蝶のメンバーがここに住むことも伝えてくれた。

国外に行って調査をしているメンバーがいる為か、この家に住むのはナガレとシュラだけらしい。

まさかリーリャが調査組だとは思わなかった。

それとシュラという甘やかしマスターがこの家に住むことになるのもびっくりだ。

今日から存分に彼女に甘えよう。

アリアに嫉妬されないように甘えないとな。


──────────────


リビングではターニャが一人、寛いでいた。

アリアは通常通りに仕事をしているのだろう。

俺とナガレが来た事に気づくと、紅茶と珈琲と用意して、次いでに菓子なんかも出してくれた。

そして三人でソファーに寛ぎながら、これからの俺が何を強くするべきかについて、本格的に話し合おう。


「さっきの戦闘でターニャは私の動きについて、どう思う?」

「剣の腕は全く悪くないです。剣筋も、芯も全くブレていなかったし。ただ、素直にここを攻めよう!ってのが見え見えです。ポーカーフェイスを覚えた方が良いかもですね」

「ポーカーフェイスね・・・・・・」


常に何を考えているか、相手に分からなくするために感情を殺す。

確かに参考になる考えだ。


「ふむ、体に動きについてはどうでしたか?やはり魔剣の天恵を引き出していない母上様に違和感は?」

「違和感はありましたですね。全体的に動きが遅い。剣の腕は素晴らしいけど天恵は使用しない。それなのに何故かターニャの攻撃をギリギリで見切る。不思議って思ってました。攻めの時は動きが遅く感じるのに、避ける時はそれの何倍も早いんですよ」

「獅子王眼が馴染んできているのかしら?」


リーリャに貰った獅子王眼は自然を味方につけるという代物。それは森羅万象全てである。

そして避ける時は空気の流れが視覚化させる為に、先読みして分かってしまうのだ。


「明日からは先程伝えた通り、体力作りと天恵を引き出す特訓ですね。獅子王眼に関しては、時間が解決してくれるでしょう。まだしっかりと馴染んではいないですが、それでも良い所までは来ていますよ・・・・・・半分って所ですかね」

「ターニャも特訓、付き合いますです!」

「明日からメイドの仕事を頼むわね。ナガレが見てくれるらしいし、大丈夫よ。それに今日からこの屋敷に住むらしいし」


そう言うと、ターニャは目を見開くと同時にナガレを見る。

ん?何か変な事でも言ったかな、俺。


「そ、そうなんですね〜」


何かを濁すように誤魔化すように、そう呟く。

明日からの特訓内容が決まった事だし、お開きにしようかな。

午後からはモルドレッド宰相がこの屋敷に来るらしいし、俺にしか話したくない事らしいから気を張らないと。

少し談笑した後、ターニャはメイドの仕事に行き、ナガレは黒死蝶の拠点に戻ると言って解散した。

俺は午後まで暇なので、昨日こっそり頼んでおいた星焔魔法について書かれている書物を見よう。

やっぱり本を見ると落ち着くしな。



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