第8話異世界の女の子は怖い

家の扉を開け、玄関へと入り「ただいま〜」と自然と声を出すとメイドのアリアさんにアリーシャ王女殿下と呼ばれていた彼女が、パタパタと歩きながら俺の帰りを迎えてくれた。


「お、お帰り・・・なさいませ。ルゥ様・・・」


なんだろう、王女殿下と言われる程に身分が高い人にお帰りなさいと言われるのが想像できないのだが。

でも実際、こうやって玄関に来てくれた訳だし・・・ちゃんと言葉は交わさないと。


「はい、ただいま。アリーシャ王女殿下はもうシャワーは浴びられたのですね」

「ひゃ、はい!」


え、何今の・・・ひゃ、はい!って。

もしかして目の前で人を殺した奴相手にめちゃくちゃ緊張してたりする?

いや待て、普通なら逃げたりするよな。

自分も殺されるかも!とか考えたりして。


「あ、あの・・・私の事は、アリーシャと呼んで、ください。王女殿下なんて呼ばれると・・・緊張してしまって」

「えっと・・・敬語とかも使わない方がいい?」

「そうですね・・・仲良くしたいですし、何より恩人ですから」


なるほどな。

つまりアリーシャは仲良くしたいってだけだったのか。

そういえばメイドのアリアさんがいないけど、どうしたんだろう。

とりあえず家に上がろうかな。


「お荷物、持ちます」

「え、いいよ・・・それに王女殿下に持たせるなんてダメ。か弱い女の子に刃物を持たせるなんて」

「そう・・・ですか」


気持ちは嬉しいのだが、流石に太刀を持たせる訳にはいかない。

いくら何でも危なすぎるし、少しでも指を斬ったりなんかしたら、それこそ何を言われるか分かったもんじゃない。

王女殿下と言われる程だ。国の中枢にいる人間に切り傷を負わせたとメイドのアリアさんにでも知られたら・・・考えたくもないな。

国の偉い人っていうのは、ぶっちゃけ関わらない方が得策だ。

確かに関係があれば、視野も広がるし色んな面で協力をしてもらう事も出来る。

しかし一度でも転けたら、そこでジ・エンドな訳だ。

周りから嫌われただけで毒殺とか暗殺だって安易にしてくる奴らがこの世界の偉い人達だろう。

今までの平和な世界とは、おさらばって事だな。


「アリアさん・・・だっけ?何処にいるの?」

「アリアは服がなくて・・・それで浴室から出られないのです。それで、私がルゥ様の帰りを待っていました」

「アリーシャも服は変えてないよね?土汚れが着いてるし」

「ご、ごめんなさい!こ、こんな・・・汚い姿で」

「いやいや、責めてる訳じゃないの。ただ替えの服がないから、仕方なかったんでしょ」


替えの服か・・・。

アリーシャの身長なら俺と同じぐらいだし、探したらありそうだけど。

メイドのアリアさんに用意出来る服は・・・ないかもな。

外見年齢としたらアリーシャは同い年ぐらいだろう。

しかしメイドのアリアさんは十八歳ぐらいだ。

まぁ先ずは行動しないとな。

俺は自室に向かい、アリーシャとアリアさんの替えの服を探した。

アリーシャはアリアさんが湯冷めしないように、様子を見てくるとの事。

タンスの棚を引くとカジュアルな長袖の服やらズボンやらが出てきた。

しかしサイズは全部俺にあったものである。

やばい、どうしよう。

やはりアリーシャの服はあるがアリアさんの服が・・・ない。

困っていると部屋の外から声が聞こえてきた。


『ダメですアリア!風邪をひきますよ』

『しかしアリーシャ殿下、私は何時までも浴室にはいられません。それにルゥ様にも挨拶をしないと』

『でもそんな格好で挨拶なんて・・・破廉恥ですよ!』


いやちょっと待て、破廉恥ってなんだ破廉恥って。もしかして裸で来る訳ないよな?

おい待ってくれよ。確かに俺の身体は良いとして、他人の身体を見るのは嫌だよ!?

それに死体を埋めに行く前、少し会話はしたけどスタイルは良かったし、そんな人の裸なんて見たら・・・勃〇するぞ。

あっ・・・・・・・・・勃〇する代物が俺の股間にはないんだった。

でも心の準備は全然出来てねぇよ!

そんな風に考えていると、ガチャと音を立てながら扉が開かれる。

開かれた扉から出てきたのは全裸のメイドさんだった。

ノックぐらいしてくれメイドさん。


「先程は助けてくださり、ありがとうございます。ルゥ様が来なければ、汚物の慰め者として扱われる所でした。私達にとって貴方は英雄のような存在にございます」


メイドのアリアさんが入ってくるや否や、堂々と俺に感謝の意を述べた。

すごく良かった。感謝を述べたのは良かったよ。気持ちも伝わったしさ、うん。

でもね、やっぱ全裸で感謝されても困るものは困るぞ。

この後、俺が何を言えばいいのか分からない。

普通なら助けるのは当然だとか言うんだろうけど、全てアリアさんのスタイルのいい身体に目が行く。

程よく発育した胸とか、キュッと締まったくびれとか、柔らかそうなお尻とかね。

ビューティフォーって言いたいぐらいだけど、あまり変な事を言うと引かれるしな。

しかし不思議とムラムラしては来ないな。

男だったらこんな場面にあった瞬間、バッキバキにもう先っぽが空を向くほど固くなる訳だが。

もうそんな事もないのね。・・・・・・トホホ。

しかし全裸は行かんよ全裸は。

こちらとしても風邪なんかになってもらっても困るしな。


「とりあえず、服を着ようね」

「しかし、私の服はボロボロに破れてしまっていて・・・」

「アリア、それでも、全裸よりかは・・・マシだよ」


よく言った、アリーシャちゃん。

それにメイドなんだから、そういうのもちゃんとしないとダメな筈なんだろうけど・・・。

もしかして駄メイドだったりする?

いや駄メイドが悪いって言っている訳では無いが、服だけは着て欲しい。


「仕方ありませんね。破れたメイド服、着てきます」


そう言ってアリアさんは部屋を後にした。

アリーシャは俺の傍に来てぺこっと頭を下げた。


「ごめん、なさい。アリアは仕事はきちんとする人なんだけど、偶にこんな風に暴走しちゃって・・・」

「大丈夫だよ。アリーシャも服を探してくれる?アリアさんの分だけ見つからないの」

「う、うん。分かった。それじゃあ、こっちを見るね」


こうして二人で探した結果、一着だけあった。

なんで一着だけあるんだろう?なんて思ったりもしたが、それよりか先に見つけた服を着てもらおう。

アリーシャに白色のティーシャツと紺色のズボンを渡し、俺は部屋を出る。

流石に着替えを見る訳にもいかないだろう。

部屋を出てリビングに向かうと、アリアさんは所々破れているメイド服を身にまとい、椅子に座っていた。

いやメイド服ボロッボロやんけ・・・。

これは早く着替えてもらわないと、スースーして嫌らしいだろうな。


「アリアさん。服持ってきたよ」

「ありがとうございます。着替えますので少々お待ちください」


そしてスルスルとメイド服を脱ぎ出す。

俺は何故か見入っていた。

なんかこう、あまりにも綺麗すぎて言葉が出ない。


「ん?じっと見てますが、何か身体についてますか?」

「あっ、いや何もないよ!ただ・・・その、綺麗だなって」

「ありがとうございます。ルゥ様にそう言われると心が満たされますね」


そう言って着替え終わったアリアさん。

アリアさんに持ってきた服もティーシャツなのだが、プリントされている言葉が『怠惰一番』というなんとふざけた言葉だろうと思った。

それに胸が大きいせいか、『怠惰』の部分だけやけに強調されていてインパクトがすごい。


「アリア、私は着替え終わった・・・よ?」


アリーシャが着替え終わり、リビングへとやってきた。

しかしアリアを見て首を傾げる所を見ると、やはりティーシャツにプリントされた『怠惰一番』が強すぎのか、ちょっとの間だけ固まってしまうアリーシャであった。


──────────────


王女殿下であるアリーシャとそのメイドであるアリアは着替え終わり、ようやく落ち着いて話が出来る状態になった。

俺を含めて三人はリビングの椅子へと座っている。


「改めて自己紹介するね。私はルゥ、ルゥ・ガ・エンドロール。よろしくね」

「アリーシャと言います。アリーシャ・ナナ・プラティオです。えっと、プラティオ王国の・・・第八王女です」

「アリーシャ殿下の専属メイドのアリアと言います」


やはり王女とメイド、確かに着替える前の服装なんかも上質な物だった。

それだけで身分が高い人だってのはハッキリ分かる。

しかし問題はそこじゃなくて、どうしてここまで来たのかが問題だ。

しかも護衛なんか一人もいない訳で、普通なら王族の人間なんて何処を歩くにも護衛の一人ぐらいは横を歩いているだろう。

俺が以前、生きていた世界でも総理大臣とかその官僚とかはSPって呼ばれる護衛がいた訳だしな。


「気になるけど、どうしてアリーシャとアリアさんはこの森の中に来ていたの?」

「えっと、それは・・・」


薄紫色の髪をくるくると指で絡めながら、説明に困る様子のアリーシャ。

ちょっと可愛いと思ってしまった。


「数ヶ月前、とある侯爵貴族と食事会があったのですが・・・その際にアリーシャ殿下は命を狙われたのです。全ての元凶は侯爵貴族で、殿下の暗殺を計画した紙なんかも私が見つけたのですが・・・」

「止める事が出来なかったんだね。計画は実行されて、なんとか命は奪われず逃げてきたと」

「その際に侯爵貴族が雇った殺し屋に殿下は切り傷を負わせられましたが、幸いにもすぐに治療したので問題はなかったのです。ですが、逃げている途中で自分達の居場所も分からなくなり、この家を見つけたので入ろうとしたら・・・」

「うん、臭い人達に襲われたって事だね」


なるほどなるほど・・・。

つまりはアリーシャは他の貴族からしたら、あまり良い印象は持たれてないのか。

えぇ・・・こんなに可愛い娘が?目はぱっちり二重で可愛いし、お人形さんみたいに綺麗なのに。

肌も綺麗でこのまま成長していけば、美女間違いなしなのに?嫌われるの?えぇ・・・。


「えっと、そんなに見つめられると・・・恥ずかしい、です」

「ごめんごめん。アリーシャは可愛いから、つい」

「えへへ・・・ルゥ様も可愛いです」


うん、やっぱり可愛いし、嫌われる事なんてないと思う。

なら狙われる理由は政治的問題だね。

きっと王位継承権争いなんかが問題かも。

第八王女殿下となると王位継承権なんて別に気にもならないだろうし、ましてやある訳でもない。

でも王になる可能性がない訳でもない。

もしもの話になるが、戦争が始まって王の子供である王子や王女が戦場へと赴き、戦い死んだとしよう。

そして残る子供がアリーシャだけだったら、アリーシャが王になる事になる。

そしてアリーシャを王にしたくない連中がいるのは明確だろう。

なにせこうやって命を狙われて逃げてきたのだから。


「私はシャワーを浴びてくるね。これからの事については二人でよく話し合って決めて。内容は後ほど聞くから」

「畏まりました。ゆっくりとお休み下さい」

「しっかりと身体を温めてね。ルゥ様」

「うん、そうする」


そう言って俺はリビングから出て浴室へと向かった。

偶に思うが、アリーシャの口調が段々と崩れていっている気がする。

まぁ仲良くなるのも別に良いんだけどね。

正直に言うとものすごく仲良くはなりたくないけど・・・。

王族相手だと命が幾つあっても足りない気がするし、暗殺者とか相手だと瞬殺される可能性も高い。

大体、人の気配とかそういうのはまだ分からない。こういうのは修行を積んだりとかしないと習得できないだろう。

浴室の前で服を脱ぎ、扉を開けていざシャワータイム。

浴室には大きな鏡があるのだが、そこには汚れのない白く透き通った肌が写し出されていた。

うわぁ〜えっち〜。

少し膨らんだ胸なんかを触ってみると、若干だが柔らかい。

流石に女神ソフィの胸には負けるが・・・いや十二歳でこの胸だ。

もしかしたら成長してボインになる可能性もある。

あとそれと気になる事がある為、確認しようか。

俺は女性の大事な部分──股に縦筋が入った場所を見る。

正確にはその上部分を見た。


「えっ、毛がない!?しかも産毛なんかもない。・・・元から無毛なのね。よかったぁ」


俺個人の主張になるが、下の毛は処理してないと嫌な人間だった。

だからこそ俺も男の身体の時は、下の毛は処理していたし、その方が蒸れなくて済む。

確認したい事は終えたから、俺はシャワーを浴びた。

真っ白な髪からキラキラと光る青い粒子が出る髪を濡らしながら身体の汗も流していく。

気持ちいい・・・。

水が流れる感触でさえ、少し違ってくるのは不思議だ。

もちもちすべすべの肌は触っていて気持ちがいい。


「ふぅ・・・気持ち良かった〜。そろそろ出よう。話も聞かないといけないし」


浴室から出て身体をバスタオルで拭いた。

髪は特に優しく痛めないように拭いた。

せっかく綺麗な身体を貰ったんだ。

そうだ!後でアリーシャにでも聞いてみようかな?やっぱ女の子の身体の事は女の子に聞かないとね。

例えば、今だってそうだ。

きっと徹底してる人ならお風呂上がりやシャワーを浴びた後は、すぐに乾かす人やそうじゃない人だっている。

ましてや髪を梳くって行為もあるみたいだし、んー女の子って難しいな。

肌については保湿クリームなんてあれば良いんだろうけど、この世界にあるのか?

あー成長したらお化粧とかしないといけないのかなぁ。

やり方全く知らん!お化粧って何やねん!


「戻ったよ〜。はぁ〜気持ち良かった〜」

「──っ!?」

「わぁ!ルゥ様って濡れるとえっち・・・」

「ぬ、濡れるとえっち!?」


髪を拭きながらリビングへと戻ると、いきなりアリーシャにそう言われた。

アリアさんも同じ風に思ったのか、俺を見た瞬間に口を閉じて目を開いている。

え、そんなにえろいの?この身体は確かに女神であるソフィが色々と選んで出来た身体だけども、まさか相手を魅了するなんて変な事を身体に仕込んでないよな?ソフィならやりかねないぞ。

しかも裸って訳じゃないのにえっちとは・・・困ったなこれ。

一応ダボッとしたティーシャツに短パンというスタイルなんだけど、髪が濡れてるからえっちなのかな?

因みにティーシャツには『怠け者万歳』とプリントしてあった。何なのよこれは。

アリアに持ってきたティーシャツも『怠惰一番』だしさ。

まぁそんな事は置いといて、話を聞かないとね。


「ごほん、二人はこれからについて話し終わったの?」


椅子に座りながら聞くと、アリアとアリーシャは頷いた。

そうかそうか、なら良かった。


「きっと王女殿下が行方不明となって、国中は騒いでいる筈です。捜索隊も出ているでしょうし、見つけてもらうのを待つしかありません」

「もし見つからなかったら?」

「そこは大丈夫だと思うよ、ルゥ様。私達王族には小さい頃に何があっても困らないよう『王族痕』って呼ばれる魔法式を埋め込まれる様になっていて、それで行方不明になった時や死亡した時なんかが分かるようになってるの」

「おぉ、そんなものがあるのね」


つまりは数日待てば探しに来るって事か。

でも最悪のケースも考えた方がいい。

確か侯爵貴族がアリーシャを殺そうとしたと言っていたが、王族──家族の中でも殺し合いがあったとなれば国に帰った瞬間から殺されるだろう。

ましてやアリアさんなんて帰っても何かしらの罰を受けるに違いない。

いや別に罪なんてないが、人なんて気に入らない邪魔者がいれば排除したくなる生き物だ。

実際アリアがいなければアリーシャは死んでいただろう。

そんなの侯爵貴族にとって邪魔者でしかない。

つまりアリアさんは国に帰っても牢屋に入れられたり、本当の最悪の場合は死刑だ。

貴族の圧力に勝てるメイドなんて一人もいない。

例えそれが王女殿下の専属メイドだったとしてもだ。


「アリーシャ・・・ちょっとだけ、私の部屋にいてくれる?アリアさんと話がしたいの」

「う、うん。終わったら呼んでね」


アリーシャを自室に行くように促し、アリアと二人きりになった。

そしてアリアも真剣な表情で俺を見つめる。

きっとこれは覚悟しているのだろう。


「分かってますよね?国に帰れば──」

「承知しています。侯爵貴族に消される運命なのは、覚悟の上です」

「そう・・・でもアリーシャはそれで喜ぶの?侯爵貴族の事だから、アリーシャの目の前でわざとやると思うの。実際に会ったことはないけど、そんな気がする」

「しかし、私はアリーシャ殿下のっ!」

「専属メイドなら尚更、生きなきゃダメ。途中で投げ出すなんて許されないよ」


アリアは身体を震わせて、テーブルに置いていた手にはポタポタと水滴が落ちていた。

それはそう、俺だって泣きたくなる。

国に帰ってもそれで人生終了、だから本心は行きたくない。でも仕えてきた主の傍にいたいっていうのも心にある。

矛盾しているからこそ考えが分からなくなり、それがぐちゃぐちゃになって泣いてしまう。

俺は椅子から立ち上がり、アリアさんの座る椅子の前まで来た。

そして優しくぎゅっと抱きしめる。

するとアリアさんもそんな私を抱きしめた。


「アリアさんもアリーシャも・・・帰らなくていいんじゃない?ずっとずっと私の傍にいればいいの。だってそうでしょ、帰ったら二人とも離れ離れになるんだよ?そんなの悲しいよ」

「でも、でも!そうしたら、ルゥ様に・・・うぅ、迷惑──」

「ううん。迷惑じゃないよ。アリーシャの『王族痕』に関しては私がどうにかする。それに近いうちにこの家とは離れる予定なの。何処か別の国で・・・やり直そう?」


アリアさんは抱きしめる力を強め、震える身体で一生懸命に・・・泣いていた。


「ルゥ様・・・ありがとう、ございます。どうか、私達のことをお守り、ください・・・」

「任せて!絶ッ対、守るから!その代わりアリアさんもサポートよろしくね」

「・・・・・・はい!今日から私はアリーシャ様とルゥ様の専属メイドです!」


アリアは意を決したのだろう。

アリーシャの事を殿下とは呼ばず、アリーシャ様と呼んだ。

それはもう王族としては見ず、一人の主として見るという決心だろうな。

そういえば、どうして俺もルゥ様って呼ばれるのだろうか?

普通にルゥさんとかルゥって呼び捨てで良いのに。まぁ後で聞こうかな。


「あ、あの・・・ルゥ様」

「ん?どうしたのアリアさん?」

「キスしてもいいですか?」

「ぴゅっ!?!?」


キス?・・・え、キス?・・・・・・・・・キッス!!

ちょ、ちょっと待て!どうしてそうなるんだよ!?

ま、待ってくれ!瞼を閉じるな!顔を近付けるな!!


「・・・んちゅ」

「・・・はむ」


軽いキスをするとアリアさんは顔を真っ赤にして、俺を見つめる。

何この人、もしかして女の子が好きなの?いや別にそれはそれで良いけど。

いきなりキスはびっくりするよ。

それにアリーシャに見られたりでもしたら──


「あわわわわ!ルゥ様とアリアが、ききき、キスを・・・・・・私もする!!」


はぁ!?!?

いやいやいやいやこっち来ないで!

そんな蕩けた顔で来ないで!!


「熱くなってきました。脱ぎますね」


そう言って勝手に脱ぎ出すメイド。


「ルゥ様って可愛い・・・二人でこんな事をしていたなんて、仲間外れはダメだよ?」


アリーシャも最初の頃より慣れてきたのか、全く敬語を使わなくなってるし。

それよりか距離が近すぎるよぉ・・・。


「ベッドに行きましょうか?ルゥ様、アリーシャ様」

「気持ちいい事、沢山しようね!」

「え、えっと・・・」


アリーシャは俺と年齢は変わらない筈、なのにえっちの知識があるとか凄いな。

いやいずれ嫁に行くなら小さい時から教わるのかな?はぇーすごいなぁー。

って関心してる場合じゃない!


「ルゥ様の肌、もちもち〜」

「ルゥ様はお耳は弱いですか?舌でほぐしてあげますね。あ〜ん、ちゅ・・・」

「う、わぁ・・・あんっ、変な声、でちゃ・・・うぅよぉ・・・」

「ルゥ様・・・ここ、凄く濡れてるよ。気持ちよくしてあげる」


え、ちょっと待って!本当に待ってくれ!!

しかしアリーシャは待ってくれなかった。

細い指が俺の身体の一番弱い場所に触れている。

そして暫く快楽に我慢していると、指が自分の中へと入っていく感覚がした。


「も、もしかして・・・」

「私の指で、もっと気持ちよくなろ?」

「う、動かさないで!ぁあん、いやぁ・・・うぅ、きもちぃぃ」


ダメだ、完全にメスになるこれぇ・・・。

この世界の女の子、怖い。でももっとして欲しい。

あぁぁ堕ちゃうぅぅ・・・。


この日、昼間から行為に勤しむ元王女殿下とその専属メイドと元男の美少女。

小さな家に美しくも可愛らしい妖艶な喘ぎ声が響いた。

ソフィ、俺ちゃんとやっていけるか不安になってきた。

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