第59話 どうやら何かをやらかしているらしいのです
お昼ごはんのシルバさん特製オムレツプレートは、トマトソースがたっぷりかかったトロトロ金色卵と新鮮なサラダの盛り合わせ。
目にも鮮やか、かつ超絶級な一品だった。
もうね、言葉も出ないっていうか、皆が無言でスプーンを口に運ぶのだ。
それであっという間に食べ終わっちゃったわけで、それほどに美味しかったということだろう。
フェル様やアメリ様なんて、さげられてゆく空のお皿を名残惜しそうに見送っていたくらい。
そしてデザートは、闇苺のムース。
ピンク色の層と濃厚なミルク風味の白い層とが交互に重なっている可愛らしい見た目で、絶妙なプルプル食感を味わうことができたのだった。
すでにこのメンバー全員が、シルバさん料理にぞっこんなのである。
食事のときは何もかも後回しで、皆で美味しく食べていた。
でもその後で、神妙な表情でラス様が二枚の書類を差し出してきた。
思わずそれを受け取って、しげしげと
えぇっと、何々……
──────────────
【
初期設定及び能力数値設定】
本体材質:
特殊焼成強化磁器
強度:
耐熱性抜群・非常に硬い
稼働燃料: 魔素自然吸収型
稼働持続時間:
満量充填からおよそ五日
稼働指示方式:
魔法術式入力固定型
魔導回路形式:
図形循環処理・術式演算処理
稼働出力値 :
平常時)10u-maji-kara
全出力)100000u-maji-kara
魔法陣・魔法術式登録記号 :
(魔法登録局)
Np*этже¶▲※Vn/сесет
gO¶※//жээетт⊿∟Å∴
個体能力設定:
手仕事・力仕事・労働全般
禁止事項等 :
戦闘・登録使用者に対する敵対行動
指示系統 :
登録音声・登録魔力
音声・魔力登録者:
最優先)グラース
準優先)エドワード
準優先)シルバ
※上記登録者以外の指示には
従わないこととする
意思表示方式:
登録者にのみ魔素振動発生信号方式にて返信
別個体との業務連絡として魔素振動発生信号方式での交流を許可
・
・
・
・
・
──────────────
この用紙には、スケルトンたちの初期データが記載されているとのこと。
魔導回路形式とか出力単位とか、まだまだ知らないことが多いのに……これを読んでどうしろというのでしょう。
それに、これが何か私と関係があるのかしらとラス様に視線を向ける。
すると彼は、私にもう一枚にも目を通すようにと促した。
さて、次の用紙は……
──────────────
【
王国歴1278年/蒼月期間
/第二土の日現在の設定及び能力数値】
本体材質:
特殊焼成強化磁器
強度:
耐熱性抜群・非常に硬い
稼働燃料:
魔素自然吸収型
稼働持続時間:
満量充填からおよそ五日
稼働指示方式:
魔法術式入力固定型
魔導回路形式:
図形循環処理・術式演算処理
稼働出力値 :
平常時)10u-maji-kara
全出力)100000u-maji-kara
魔法陣・魔法術式登録記号 :
(魔法登録局)
Np*этже¶▲※Vn/сесет
gO¶※//жээетт⊿∟Å∴
個体能力設定:
手仕事・力仕事・労働全般
//追加事項……臨機応変・気づかい・自己保全
禁止事項等 :
戦闘・使用者に対する敵対行動
//追加事項……自己に対する破壊行動
指示系統 :
登録音声・登録魔力
音声・魔力登録者:
最優先)グラース
準優先)エドワード
準優先)シルバ
準優先)クラウディーラ
※上記登録者以外の指示には
従わないこととする
意思表示方式:
登録者にのみ魔素振動発生信号方式にて返信
別個体との業務連絡として魔素振動発生信号方式での交流を許可
・
・
・
・
・
──────────────
えぇっと。
「こちらの用紙は……私の名前も登録していただいているのですね」
まず、現在は私も登録されているみたいなのは理解した。
そうじゃなければスケルトンたちが私の言うことに耳をかたむけ……いや、耳の骨? をかたむけ……じゃなくて耳の骨ってどんなのか知らないし。
あれって軟骨なのかしらね?
……まぁ、骨の話は置いておくけど、とにかく話を聞く態度をとってくれるはずがない。
そのことが私も塔の一員として認めてもらえているようで、とっても嬉しくなった。
今はちょっと、それどころじゃないけれど。
それから再度、一枚目と二枚目を見比べる。
はじめの頃と現在とで何か違いはあっただろうかと。
「んんっと、追加事項って何かしら。あと、別個体との業務連絡
向かい側に居る彼に問えば、相手は目を閉じフルフルと力なく首を横に振る。
「え? ……違うんですの!?」
今度はウンウンとでも言うように、思いきり
「ええっ? それって、どういうことでしょう?」
ラス様は細めた視線をこちらに向けてから
それから机上に広げた別の紙束たちを見せられた。
「この図形が連なっている書類はフローチャートといって、スケルトンたちが熟す仕事内容の流れ図になっている。こうやって作業ごとに、使う仕組みや手順が指示されているんだよ。それから、こっちの目がチカチカしそうな一面全部が文字列だらけの紙束は、……その指示書の、ほんの一部分だ」
ラス様の説明を聞いて、差し出された指示書とやらに目を通す。
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【Åэее▲▲▲※е<ゝэж⊿】
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何かの図っぽいこと以外、さっぱりわからない。
強いて言えば家系図とか組織図みたいに見えなくもないけれど、仕事内容の流れ図ということは作業手順とかを記したものなのよね、たぶん。
細かすぎて見えないが、図形の中にも記号や文字が書き入れられている。
たとえ見えても魔法言語って初歩の初歩しかわからないのでお手上げだった。
それから、もう一方の紙束へと目を移す。
用紙一面が文字列で埋め尽くされていて、もはや模様に見える。
新聞の活字よりも緻密で、謎の単語ばかりが何らかの規則によって並べられているようだ。
こんなのが数十枚ほどの
ラス様によると、これでスケルトンたちに任せている仕事内容の指示書の、ほんの一部分なのだとか。
よく見ると、所々に線で印がつけられている。
「あの、この印の所は?」
「ああ、これは初期データと違うところに線を引いてわかりやすくしているんだよ。急いで全部をチェックしたから、さすがの俺も目がチカチカになっちゃってさ」
眉間をグリグリしながら、ラス様が仰った。
「お疲れさまです……っというか、申し訳ないですわ……」
……そうなのだ。私のために皆様が徹夜で色々と調べたり話し合ったりなさっていたのよね。
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──────────────
うん。緻密にしっかりと書き込まれた書類たち。
申し訳ないけれど……穴が空くほどにジィーっと見ても、何が何やら理解不能。
私にはさっぱりわからないことだけは理解した。
そのように正直にラス様に申し上げたら、彼はガックリと肩を落とした。
「うわぁ……やっぱり。そうだとは予想していたけれど、そうすると明らかにこれって無自覚改変なんだよね……ぅわぁぁ」
書類束の上に突っ伏して云々と唸りはじめたラス様の肩を、フェル様が慰めるようにポンポン叩く。
え? えっと、フェル様も私に書類を見ろと仰るの?
何々……チョーカー型魔力吸引及び幻影効果付与魔道具における初期数値と改変についての考察の記録……ええっと、もしかして私の首に着いてるコレのことです??
まさか、こちらにも何か問題が? ……ありすぎる? 大問題ですって?
まぁ、困ったわね……どうしましょう。
・ー・ー・ー・ー・
お久しぶりでございます〜(*^^*)とともに、いつも作品を読んでいただきありがとうございます。
またまたしても、こちらに作者のボヤキを書いちゃいました。
作中で頑張って書類の書式などを載せてみたのですが、どうにも思い通りに作れなくってグダグダになってしまいまして(^^ゞ
それでも読者さまのイメージの一助にしていただけたらと、そのまま更新しちゃうという暴挙にww……マジで、力足らずで申し訳ないッス。
なので、お見苦しい点が多々ございますことをご了承いただけましたらありがたいです💦
もうもう、ホントにいつも色々とグダグダでごめんなさいです〜(_ _)💦💦
作者の脳内設定での魔道具への術式付与は、電化製品やロボのマイコンやAI制御っぽいイメージでおります。
実際のその辺りの知識にも疎いのですが……何も考えずゆるゆる&ふんわり設定で、プログラミング風味のフローチャートもどきやソースコードっぽい何かを出してみました。
ヒロインのクララさんは、それらを一瞬で書き換えちゃうヤバい感じの存在なはずなのですが彼女の凄さを表現できるかどうか、じつは書く前から頭を抱えておりまするw
稼働出力値の単位…… 平常時)10u-maji-kara……u-maji-kara→馬力から連想しました。
我ながら、ウマジカラって。ちょっとないわ〜(笑)
主人公二人のあれやこれやを、今後もノロノロながらウダウダ書いてまいりますので……ゆるっと生あたたかく見守ってくださると嬉しいです♪♪
どうぞよろしくお願いいたします(_ _)ペコリ☆
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