【三】場末の居酒屋か(ツッコミ

 おはようございます、沙崎あやしです。

いつも応援ありがとうございます。拙作「青い光のエルツ」頑張って更新中です。ようやく佳境に入ってまいりました。どうぞ宜しくお願いいたします(必死に宣伝。





 昔、オーディオコーナーで働いていたことがありました。主にイヤホン、ヘッドホンの売場です。イヤホンの性能は非常にざっくり言うと「価格帯」で決まります。千円以下、一万円以下、三万円以下、五万円以下といった感じで、素人の私が聞き比べても分かる性能差が存在するんですね(家電量販店やオーディオ専門店では試聴機が置いてあることが多いので、購入される際はお気に入りの音源を持っていった試聴することを是非オススメします)。なので、価格帯以上に音が良い場合は、その製品はお買い得ということになります。


 某社は元々オーディオメーカーではありませんでしたが、経営の多角化の為でしょうか、自社でイヤホンを製造して発売しました。社長の肝煎りだったそうです。で、出来上がった製品は非常に良かったんですな、これが。老舗オーディオメーカーからパーツ供給を受けたりして、非常に本格的だったのです。しかも安い。性能的に価格帯が一段安かった。


 オーディオマニアからの評判も上々で、ナントカドットコムでも高評価のレビューが上がったりしてました。いやー、売れて欲しかった。


 そう、残念ながら。一年足らずでオーディオ部門からは撤退してしまいました。売れなかったんでしょうな……。オーディオ業界はブランド指向が強いです。某社は祖業の分野ではトップクラスのメーカーなのですが、それでも他業種への参入は難しいのですね。





 私のようなドリームボールの如き底辺を掬うような弱小作家は、つまるところ無名の新規参入メーカーであります。今や過当競争時代にある小説投稿界隈では、まず土俵に上がることすら難しい訳です。


 「趣味だからいいじゃん」という声もありましょうが、ですが人は社会性の高い生き物です。結局のところ、生物的に食べ物を摂取しなければ死ぬように、精神においてはコミュニケーションを糧としなければ生きていけないのだと思っています。この場合、コミュニケーションとは「他者による反応がある」という意味で使っております。極論、それが幻想でも構いません。他者(と認識できる)相手と情報のやり取りによって精神は活動するのだと思います。それが自分自身だけで完結できるのは、非常に希有な存在でしょうね。


 だから「読んで貰いたい」とか「感想が欲しい」とかいうのは、ごく当たり前の感情であるのと同時に、精神的に正常に進歩していく為にも不可欠だと思います。


 例えば、物理学や数学の探究といった分野であれば、やり取りする対象が自然ネイチャーになるので自己完結はありえるでしょうが、特に創作物たる分野ではそのやり取りの対象が人(他者)になるのは仕方が無いというか必然です。





 更に言えば、読者視点で観た場合、娯楽というものが娯楽自体を消化した後のコミュニケーションを含むのが、今風の解釈かなと思います。映画を見てその感想をSNSで見る、友人と話す。そこまでして一つの娯楽として完結すると。


 メジャーなスマホゲームがその点で強いと思うのは、ゲームのプレイから感想のやり取りまで、同一端末上で完結しやすいということですね。スマホゲームやる人ならごく自然にSNSは利用しているでしょう。しかもメジャーであれば感想や同志を探しやすい。


 マイナーなものは、その点でも不利である訳です。まだ電話が黒電話だった時代は、例え有名なアニメでも同好の士を近くで探すには難しかったです。雑誌で同好サークルを探して手紙で参加したり、どこかに年数回集まって駄弁る。そういう時代は、感想のやり取りに多大な労力をさいてました(またそれが楽しかったりもした)。


 今もそういう活動はありましょうが、多くの部分はネット上で済んでしまいます。多大な労力を必要としない。こういった希薄化は、マイナージャンルにとっては不利なんじゃ無いかなと思ったりします。





 カクヨムに来て、懐かしいと思ったのは自主イベントで「読み合い」の企画が多いことですね。


 昔は、有志が数人〜数十人集まって創作誌を作ると行ったことが流行りました(今でもあると思いますが)。思えばあれも一種の「読み合い」でしたね。時代が代わっても、同じ事はあるんだなあと思いました。


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