第4話 政令指定都市警察部10課最後の事件

10課に親しみを覚えて来た僕は、部屋の窓がガタ付いていた箇所をみつけ、どうせ予算もあまり出ないだろうと、道具箱を持参していた。

出勤途中で夢想していたが、昨日の腰巾着の春見邦文は、気の抜けたような状態でフラフラしていた、風景が浮かんだ。

細野が10課に入ると、思いの外、部屋は薄暗く、課長の大きな背中があるだけだった。課長の金田の推察通り、生き甲斐を無くしたようで、春見の、署内に姿はなかった。「今日も欠勤だし、春見は警察辞めるんじゃないか」と金田は溜息を付いた。僕は同意を示す様に、「そうかも知れませんね」といった。

相変わらずの東高と酒木はおらず、「あれ、それにしても静か過ぎますね。他の刑事は?」と、訪ねると、課長は、「さっきまで居たんだが、歓楽街の事件要請があって、泪は現場が好みのママの店の近くで、馬場は馴染みのダフ屋もあるから、ネットの賭け事に飽きたようで、新人を待たなくていいのか聞いたが、耳に入らないようで、出ていった」と、いった。僕は「呆れましたね」と、いい、道具箱を取りだした。しかたないなという感じで、

修理でもしようかとおもったのだ。


やや緊張感のある声で、課長が「細野祝お前はカラッポな人間だな」と、「戸籍も怪しい、出世の経路も怪しい。何者かの意思で配属された気がする。前の部署の係長は人格者であるだけでなく、洞察力もある。お前を刑事課に置かせる危うさを感じて、こちらに寄越したんだ。お前は何者だ」

俺は識らない内にスパナを握っていた。ひざからガクガクと抜けそうになった。俺消されちゃうのかな、とおもった。交通課のミニスカポリスかおりちゃんカワイかったな。レイプしとけばよかった。とおもった。

すると、突然課長は、「金田練也というのは本名だとおもうか?」といって背中を向けた。俺はスパナを持ったままだった、、、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

政令指定都市警察部10課 @nekochansong03

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る