第3話居座り強盗犯✰県警トップスキャンダル


僕、あたることはじめも、なんとなくこの部署に慣れて来た気がする昨今、、、


久々の緊急事件要請、

刑事部からで、

これもそこの手柄のようで、、

生存者のおばあちゃん、軽症者の証言があってだが、

そうそうに容疑者の特定が出来た。

昔一度捕まった、腕のいい空き巣専門の泥棒だった。

刑事部が以前の手口から割り出したものだ。

元々腕のいい空き巣だが、年齢には勝てず、偶々家人と出くわしてしまい、

居座り強盗に替わったが、抵抗された為、家人の主婦の中年女性をナイフで刺し、挙げ句女性は死亡。夫は別居中、息子は遊びに出ていて居なかった。おばあちゃんの腕を切り付けたところで、正気に戻り、逃走したもようだとの事。

犯人も気が立っていると、予想されたようで、警察も気を入れて捜索していた。

安い飲み屋を聞き込みに、、、というか、うちの部署の酒木刑事が、昼間から飲んだくれていたところで、容疑者の仲間とおもわれる者からそのネグラを聴き出し、容疑者逮捕にいたった。

犯人は素直な感じだったが、細かいところは、証言は聴き出せなかった。


後に酒木優次刑事は、課長に折り入って話があるといってきたので、課長も「すぎるちゃん、つぐちゃんどうしたの?」とからかっていた。「課長実は私、事件の犯行後に容疑者にあの飲み屋で会っているんです。何故かその時、その男は嬉しそうだったんです」、、、

何故か、軽症のおばあちゃんは退院したがらず、

ひとり息子は平然として葬儀に出ていたが、、、

刑事部も不審に思い捜査を続けた結果、元々素直な、成績もよいこどもだったが、

軽いイジメに合っており、そのために成績も落ち、父親の悪口を言われた為、カッとした末の犯行だったようだ。

空き巣犯が入った時は、おばあちゃんに切り付けたところで、まさか殺そうとはおもってなかっただろうが、空き巣犯に驚き容疑者は逃走した。

空き巣犯は、孫はおばあちゃんまで殺そうとはおもっておらず、ただその場にいた事で、確実に、その後の罪を重ねる事が防げたと思い、その事に人の命を救ったと喜んだ。

空き巣犯は、両親が厳しく、成績が悪い事を叱られ、反抗して、家を飛び出し、手先が器用だったので、空き巣などの犯罪で暮らしていた。

親は既に他界しており、近ごろは結果親に孝行出来なかったと悔やんでいたので、

おばあちゃんを説き伏せて、罪を被ろうとしたのだった。



ある日課長は、

あたることはじめに、「春見みなかったか?」といった。

確かに常日頃課長に影のように付き纏っていた姿が視えない。

探して来てくれといわれ、僕は廊下を探した。

すると程なく春見刑事を見付けた。

何故か県警トップとふたり連れで、

しかもトップの方がオドオドしていた。

春見刑事はこちらを視てドキッとしたようだった。

背広の陰に、白い封筒が覗いていた。


そのことを報告すると、「また病気が出たか」と、はじめに、「すまない、春見刑事を暫く見張っててくれ」と頼まれた。

後から考えると、かなり緊迫した案件、春見刑事にとって切迫した時間だった、ようにおもう。

珍しく東高刑事が出勤し、

課長とコソコソと話し合っていた。


程なくして、それも警視庁のエリートのスキャンダルが出た。

東大卒で、警視総監も夢ではないという人物の犯行だった。

ひとり息子の私立高校の裏口入学の為に、

嫁の実家も優秀で、金持ちだったが、

その学校の代表のひき逃げ事件を隠し、さらにそれをネタに強迫したのだ。

裏口入学の金を積めば良い話しだったが、ひとり息子は優秀ではあったが、ノイローゼで登校も拒否するようだったので、相手側も渋った為、、、


エリートの甥の失脚に、署長も高齢で叩き上げであったが、権力をおもいのまま奮っていたが、勇退というかたちで署長も退いた。

春見刑事のおねだりネタは、

やはり親戚で似ており、

こどもの中でひとりだけ出来の悪い息子の大学の裏口入学で、

こちらはもっと悪どかった。

なにより、親しいヤクザ組織との癒着が酷かった。

つまり刑事のひとり消して、何事もなかったとするのは簡単な事で、、、

本人は全く自覚が無く、

課長も、部署として預かった以上、責任もあり、摑んでいた情報を週刊誌にリークする際、警視庁内部の政治を鑑み、自分の身の危険を感じながら、行動したのである。

僕は、課長は思いの外面倒見も良いと感じた。


春見刑事は救われたが、

春見刑事が署内をウロウロするのは、誰かの秘密を暴き、おねだりする為である。そのことを皆承知し、大きな失うものが無い者は、相手にしなかったし、他は煙たがった。皆に避けられるようになり、

春見刑事は結局、激しい恐怖が去った後、残ったのは、孤独だけだった、、、

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