第15 -潤くん2

 目覚めてから結構経って、なんとなく体と意識に慣れてきた頃、僕は退屈で死にそうだった。


 普段なら走り回ってるのに走れない。


 体がウズウズしてくる。


 ママは今日も来るって話だけど、たぶんムリだろうな。ほんと、家に帰れないのは結構辛いな。



「こんにちは、潤くん」



 そう思ってたら、またあのお姉さんがお見舞いにやってきた。



「また来たの? お姉さん暇なんだね」


「ふふ。潤くんに会いたくって…ダメだった?」


「そ、そんなことは…ないけど…」


「ほんとう? 嬉しいな…」



 そう言って、大人なのに顔を赤くして可愛らしい笑顔を向けてくる。


 このお姉さんは僕の近所に昔住んでいた人らしく、記憶喪失の中でもダントツに覚えていない人だった。


 同い年だから、多分おんなじ小学校だと思うけど、こんな人いたかなって感じ。


 ママは最初はこのお姉さんを嫌がっていたけど、何があってそうなったのかわからないけど、好きなだけワガママ言って甘えなさいって言い出した。


 甘えるってなんなのさ。


 僕そんな年じゃないし。



「ほら、今日もしてあげるから脱ごうね」


「…また? いいのに…」


「だーめ。ふふ。気持ちくしてあげるね」



 お姉さんは、僕の体を拭いたりマッサージをしたがる。無事な部分だけだけど、お医者さんも許可したみたい。


 確かに気持ち良いんだけど、恥ずかしいし、わざとかは知らないけど、微妙にくすぐったいところをサワサワしてきて、ちんちんがなんとなくイライラするから恥ずかしくて嫌なんだけどな…


 ちんちんと言えば、大人過ぎてもう怖い。色も形も何もかも記憶と全然違ってて、毛もワサってしてて形もツチノコみたいで大きさも怪物みたいだし、おしっこの時の勢いもめちゃくちゃあっていやだ。



「自分でするから良いってば!」

 

「だーめ。汚くしてると病気になるんだから」


「…そうなの? あ、あ!? ちょ、ちょっと!」


「病院では静かにしないと、ね?」


「ええ……お姉さんのほうがいつもうるさいじゃ──あっ!?」


 

 そんなとこ拭かなくていいんだけど…このお姉さんの言葉は、何故か断りづらい。



「ちょ…ちょっと! そこ、もう、ああっ…ひゃっ!?」


「ふふ…もうちょっとかな…」


「な、何がですかっ!?」


「んーん。はい綺麗になりました」


「はぁ、はぁ、はぁ、…あ、ありがとう…」


「どういたしまして。ふふ。そんなに怖い顔して、どうかした?」


「な、なんでもない…」


「…言ってくれたら、なんでもしてあげるからね」



 ほんとうになんでもなんだよ。そうにっこり笑って、ムズムズさせるだけして、お姉さんは帰っていく。


 お姉さんは少し変わっていた。いつも暑いね、って最初に言ってカーテンを閉める。


 個室だし、クーラー効いてるし、僕以外いないし、閉める必要ないと思うけど、閉める。


 長めの黒のひらひらした上着をだいたい着てくるんだけど、その下は凄く薄着だ。スカートも短い。


 特に大きなおっぱいがすごく汗をかいていて、つい目がいってしまう。


 それからおっぱいの間とか、脇とかをこっちをチラチラ見ながら拭く。


 目が合ったら何も言わずにもっと開くし、そんなの恥ずかしすぎて、心臓がもたないよ。


 拭いてくる時もいろいろ当たってるし…


 僕はちんちんを見下ろした。


 

「はぁ…でっかくなるのが一番恥ずかしいなぁ…」


 

 もっこりしてて恥ずかしいけど、これが友達グループのケンちゃんが言ってたやつだとしたら、ティッシュ三枚は最低いる。


 僕はもうひとつ溜息を吐いて、とりあえずティッシュ箱に手を伸ばした。

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